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増税なしでも10年で80兆円賄える 増税によらない財源案

前回は、増税の前にやるべきことがある! 財務省による10の増税誘導についてまとめた。ここでは、増税なしでも10年で80兆円賄える 増税によらない財源案について解説する。

増税によらない財源案

大震災や原発事故といった突発的な事象に対処する臨時異例の支出には、増税という本来恒久的な財源措置よりも、「埋蔵金」のような一回限りの財源のほうが適している。また、復興に関する事業は将来世代に便益が及ぶため、子や孫たちにも負担してもらうのが筋である。そこで、著者やみんなの党は、以下のような「増税によらない財源案」を提言している。「最大10年間で80兆円+@」の財源案である。

  1. 国会議員、国家公務員の人件費カット:10.0兆円
  2. 公務員宿舎・独法等国有資産の売却:4.5兆円
  3. 日本郵政株の売却:6.4兆円
  4. 日本たばこ産業(JT)株の売却:2.0兆円
  5. 政策投資銀行株の売却:2.3兆円
  6. その他政府株の売却:0.8兆円
  7. 一般会計から国債整理基金への繰入れ停止等:13.4兆円
  8. 労働保険特会雇用勘定の積立金:4.0兆円
  9. 民主党の4K予算見直し:33.0兆円
  10. 原発予算・原発埋蔵金の活用:4.7兆円

 

知れば知るほど寒々しくなる野田総理の正体

国会議員の月給3割・ボーナス5割カット、そして国家公務員の人件費2割カットによって、年間1兆円、10年間で10兆円の財源が生まれる。これらは、みんなの党がこれまで6回にわたって国会に提出してきた法案や、著者が実現を提唱してきた案である。そして、これが実現すれば復興増税は不要になる

しかし、野田総理は国民には増税を押しつける一方で自らの総理給与の全額返上もすることなく、著者の追及後に30%自主返納しただけであった。総理には月額129万4000円の議員歳費も支給されているため、暮らしていけないわけではないのである。

 

国会議員の実態も悲しいほどひどい

2011年9月末には、4月から続いていた「国会議員の歳費月額50万円カット」も終わってしまった。国会議員には、年間2000万円ほどの議員歳費のほかに、年間1000万〜2000万円の政党助成金や月100万円の文書通信交際費、秘書3人分の給料、議員事務所や宿舎の提供も受けられるにもかかわらずである。国会議員の「我が身を切らなければならない」という発言が、いかに軽いものかを証明していた。

 

本気で実行するつもりのない野田総理の口先答弁

民主党マニフェストの最大の嘘は、公務員労組から大々的な支援を受けていながら、その公務員の人件費カットを始めとする「行革」を最大の柱に据えたことである。公務員労組に世話になっているからこそ、公務員の首は切れない、給料カットもできない、天下りも禁止できない、これが民主党政治の本質だった。

 

凍結した宿舎を復活させ財務省に媚を売る総理

埼玉県朝霞の公務員住宅を復活させ、着工を認めたのが、当時財務大臣だった野田氏だった。100億円以上もの税金をかけて建てるのである。この公務員宿舎や庁舎(全部で9.6兆円)のうち不要なものを売却すれば、最低でも1.5兆円が捻出できる。また、政府が保有している株式21.8兆円も売却していくべきである(2010年3月末時点の簿価総額)。

 

なぜ「埋蔵金」を有効活用しないのか

埋蔵金(資産負債差額)とは、特別会計にある剰余金や積立金のことである(特別会計には資産負債差額がある 「埋蔵金」とは何か参照)。一般会計から国債整理基金への定率繰入れを停止すれば、9.8兆円が捻出できる。また、新発国債の想定利子2%と実勢金利1%の差額が約1兆円になるため、今後も国債の消化が安定的に行われて金利が2%を下回っている限り、毎年、実勢金利との差額分が剰余金として出てくる。これらを平成24年度予算ベースで合計すると、13.4兆円を捻出できる。

労働保険特別会計の雇用勘定(労働者と事業主が保険料を支払い、失業給付に充てる勘定)には、4兆円超の剰余金がある(2012年3月末時点)。これはつまり、国民から雇用保険料をとりすぎているということである。さらに、この雇用勘定には一般会計から毎年2000億円前後のお金が補填されている。これは、雇用保険の国庫負担分として一般会計から特別会計に繰り入れているものだが、当面は繰入れを停止してもよいだろう。

 

民主党はバラマキを即刻ストップせよ

バラマキ4Kとは、民主党政権が計上してきた子ども手当、高速道路の無料化、農家の個別所得補償、高校無償化のことである。子ども手当の廃止で2.2兆円、高速道路の無料化を廃止すれば0.1兆円、農家の個別所得補償の廃止で0.6兆円、高校無償化廃止で0.4兆円が捻出できる。合計3.3兆なので、10年間で33兆円になる計算である。

また、政府が「脱原発」を宣言すれば、当面必要な立地交付金などを除いた原発予算を0.2兆円削減できるため、10年間で2兆円が出てくる。さらに、「原発埋蔵金」という使用済み核燃料の再処理や最終処分のために各電力会社が積み立てたお金(3.5兆円)があり、このうち「最終処分用」の0.8兆を除いた2.7兆円は原発事故の賠償や関係経費に流用することができるだろう。

 

国民を絞るのではなく、知恵を絞れ

これまでに挙げた財源ほどには確かではないものの、知恵を絞ることによって見込める税収もある。具体的には、①年金保険料や健康保険料の徴収漏れ、②税の補足率、③消費税への「インボイス方式」の導入である。

まず、最も大きいのが年金の掛金や健康保険の保険料の徴収漏れである。これは、国民に税と社会保障の共通番号を付与し、国税庁と日本年金機構の統合で「歳入庁」を作って税と社会保険料を一体的に徴収すれば、本来、保険料を払うべきなのに払ってこなかった人を捕捉でき、その分だけ徴収額が増えるのである。年金保険料を支払っている法人は、納税している法人の半分程度しかない。つまり、ここで数兆円規模の「保険料の徴収漏れ」があると推測できる。

健康保険についても、主に大企業の社員が入る「組合健保」の被保険者数は約1590万人、中小企業の社員が入る「協会けんぽ」の被保険者数が1950万人で、給与所得者数5388万人と比べて著しく少ないという実態がある。

また、税の補足率の問題もある。サラリーマンは給与からの源泉徴収によって所得のほぼ10割が捕捉されているが、自営業者の場合は5割、農林水産業に至っては3割ともいわれている。

さらに、消費税に「インボイス方式」を導入すれば、3兆円の増収になると考えられる。インボイス方式とは、商品の流通過程で仕入先が発行するインボイス(納品明細書)の提出を義務づける方式である。納品明細書には、前段階までの支払税額が記されるので、これによって控除額が確認でき、脱税や二重課税の防止に効果がある。

このように、財源をかき集めれば、総計で「10年間で80兆円+@」となる。まずはこのうち、国債整理基金関係の12.8兆円を活用するか、国家公務員の人件費2割カットで10兆円を捻出すれば、それだけで増税することなく復興経費は十分賄うことができるのである。

 

最後に

増税なしでも、国会議員、国家公務員の人件費カットで10兆円、政府資産売却で16兆円、埋蔵金の活用で17.4兆円、民主党の4K予算見直しで33兆円、原発予算・原発埋蔵金の活用で4.7兆円捻出できる。まずは国債整理基金関係の12.8兆円を活用するか、国家公務員の人件費2割カットで10兆円を捻出せよ

次回は、予算査定権と国税査察権が力の源泉 財務省支配のカラクリについてまとめる。

財務省のマインドコントロール


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