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ジョアン・クチェラ‐モーリン アロスフィアの旅

「巨大な金属球内部にあるアロスフィアを活用して、数学・科学・アートの新時代を生み出したいと思います」ジョアンは語りかける。ここでは、50万ビューを超える JoAnn Kuchera-Morin のTED講演を訳し、アロスフィアの旅について理解する。

要約

ジョアン・クチェラ‐モーリンが、科学的なデータを見て、解釈するための全く新しい方法を紹介します。フルカラーとサラウンドサウンドを使用した、巨大な金属球内部にある「アロスフィア」です。脳内に飛び込み、電子スピンを感じ、分子の音楽に耳を傾けてみてください…

Composer JoAnn Kuchera-Morin is the director of the Center for Research in Electronic Art Technology (CREATE) at UC Santa Barbara.

 

1 残響除去室にある3階分の高さの金属球「アロスフィア」

アロスフィア、それは残響除去室にある 3階分の高さの金属球です。アロスフィアを 大きな スーパーコンピュータに繋いだ 動的可変デジタル顕微鏡と考えてください。20人の研究者が球の中に吊るした 橋の上に立ち 自らのデータ内に すっぽりと入ることができるのです。物理学者の一団が原子の中に立ち 電子が回転するのを見たり聞いたり している姿を想像してみて下さい。彫刻家の一団が原子格子の 中に入り彼らの材料で 彫刻している姿を想像してみて下さい。外科医のチームが脳内の世界に入り 組織を景色として感じ 血液密度レベルを音楽として 聞く姿を想像してみて下さい。こういったものが 今からご覧いただく アロスフィアで取り組んでいる研究の一部です。

 

2 マクロな生物学的データから電子スピンまで5つのプロジェクト

しかしまず これに関わるアーティスト 科学者とエンジニアのチームについて 少しお話します。私は オーケストラの作曲家であり アロスフィアの発明者です。チームのビジュアルアーティスト達と共に 時間と空間に展開する複雑で数学的なアルゴリズムを 視覚的・音響的にマッピングします。チームの科学者達は 情報における新しい パターンを見つけています。エンジニア達は この種のデータ探査でいえば 世界最大級の動的可変コンピュータを 製作しています。それでは これからアロスフィアの5つの 研究プロジェクトをご紹介しましょう。マクロな生物学的データから 電子スピンまで

 

3 美しさを数値化するのが目的の「アロブレイン」

まず最初はアロブレインです。美しいものを見ながら 脳のどの部位が相互作用しているか発見し 美しさを数値化するのが目的です。ご覧になっているのは私の同僚の脳の大脳皮質です。これらの動きは 視覚的・音響的に マッピングされた実際のFMRIデータです。脳内を飛び回ったり 作用できる世界になっています。脳内で一緒に飛んでいる 12の小さな 長方形のコンピュータエージェントが見えますか。あれは血液密度レベルを調べているんです。そして 音響的に報告してくれます。密度レベルが高いということは 脳のその部位はより活発に活動していることを指します。実際に 密度が高いところでは高いピッチで エージェントが歌って教えてくれるのです。

 

4 人工の自然をつくる生物発生アルゴリズム

次に 本物の生物学的データから移動し アート的かつ科学的な展示を用い 人工の自然をつくる 生物発生アルゴリズムをご紹介します。アート的かつ科学的な展示の中で 微生物発生のアルゴリズムが 自己生成と成長を行う 仕組みを教えてくれます。これはナノスケール科学のシミュレーションにとても重要です。アーティストとして 発見・探求ができる 新世界を創造しているのです。この発生アルゴリズムは 昆虫の一群のように 時間を経て成長し 作用しあい 情報交換します。研究者達は この生物の成長を促進させる コンピュータープログラムである バクテリアのコードを実行し データに作用しています。では今度は生物学的 マクロな世界から 原子格子に飛び込み 原子世界へ移動しましょう。これはSSLECで働く私の仲間の 実際の原子間力顕微鏡データです。彼らは 新しい原子結合をもった 透明な太陽電池用の新素材を発見しました。

 

5 どんな原子格子の中でも結合節を発見できる

現在酸素 水素 亜鉛からなる2,000個の 原子格子の中を飛んでいます。三角形の原子結合が見えますね。青い亜鉛原子4個と 白い水素原子1個が結合しています。アーティストが科学者向けに作った流線に 沿って電子が流れているのが見えますか。これで どんな原子格子の中でも結合節を発見できます。美しい構造芸術だと思いませんか。今お聞きいただいているのは 実際の 原子発光スペクトルの音です。これを音声領域にマッピングしました。このため人に向けて歌ってくれるのです。酸素 水素 亜鉛には それぞれの音があります。さあここからもう一段階小さくなります。今からこの原子格子を出て 水素原子に進みましょう。

 

6 水素原子下部にある3本の電子軌道上の電子の重なり

3次元時間依存シュレディンガー方程式の 数式計算を行ってくれた 物理学者の仲間達と仕事をしています。今ご覧になっているのは 水素原子下部にある 3本の電子軌道上の電子の重なりです。実際に線に沿って電子の流れが見えますし 聞こえますよね。白い点は 時間的・空間的に この3つの軌道のどこに電子が 存在するかを示す 確率波になります。それでは 次は2つの軌道配置へ移動しましょう。まもなくパルス音が聞こえます。そして 音の間にうねりが聞こえてきます。これは 実は発光体なのです。音が脈うち収縮し始めますが 物理学者はこれにより光子がいつ放射されるか分かるのです。

 

7 電子スピン1回におけるレーザーのデコヒーレンスを測定

この計算により 新しい数学的構造が 発見されようとしています。量子数学についての理解も深まっています。さて さらに一段階下の階層に行きましょう。単一の電子スピンの世界に移動します。これが今日ご覧いただく最後のプロジェクトです。量子計算スピントロニクスセンターに勤める仲間は 電子スピン一回におけるレーザーの デコヒーレンスを測定します。その情報をもとに 数学的モデルを作りました。今実際に量子情報の流れが見え 聞こえてますね。これは量子コンピュータとITをシミュレートする 次のステップとして 非常に重要なものです。

 

8 数学・科学・アートの新時代を生み出したい

さて 以上ご覧になった簡単な例が カリフォルニア大学サンタバーバラ校で 我々が取り組んでいる仕事の一部です。アート 科学 工学を統合し 数学・科学・アートの 新時代を生み出したいと考えています。ぜひ皆さん 実際のアロスフィアを見に来てください。そしてサンタバーバラ製の このユニークな装置を もっと活用できるようインスパイアしてください。どうもありがとう (拍手)

 

最後に

残響除去室にある3階分の高さの金属球「アロスフィア」。美しさを数値化するのが目的の「アロブレイン」。人工の自然をつくる生物発生アルゴリズム。どんな原子格子の中でも結合節を発見できる。水素原子下部にある3本の電子軌道上の電子の重なり。数学・科学・アートの新時代を生み出そう

和訳してくださった Junko Fundeis 氏、レビューしてくださった Yuki Okada 氏に感謝する(2009年2月)。

アートを生み出す七つの数学


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