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サキ・マフンディクワ 古代アフリカのアルファベットに宿る優美と洗練

「さかのぼって手に入れよ。つまり、過去から学べというのが”サンコファ”の意味です」サキは語りかける。ここでは、55万ビューを超える Saki Mafundikwa のTED講演を訳し、古代アフリカのアルファベットの多様性に宿る優美と洗練について理解する。

要約

単純なアルファベットから秘密結社の象徴的言語まで、グラフィック・デザイナーのサキ・マフンディクワは、アフリカ大陸における文字コミュニケーションの多様性を称賛します。彼は文字やシンボルが体現する歴史や過去からの遺産に光を当てる一方で、アフリカのデザイナーが新たなインスピレーションを得るため、そのような記号を使うことを強く勧めます。彼の主張は、お気に入りのガーナの絵文字「サンコファ」に要約されます。サンコファの意味は「さかのぼって手に入れよ」、つまり過去から学べということです。

Saki Mafundikwa wrote the book on Africa’s graphic design heritage — then opened a school of graphic arts in his native Zimbabwe.

 

1 アフリカが私を呼び戻した

アメリカに20年住んだ後 ― 15年前に故郷に戻りました。アフリカが私を呼び戻したのです。そして国内初のグラフィック・デザインと ニュー・メディアの学校を設立しました。ジンバブエ・デジタル視覚芸術学校です。理想と夢は バウハウスのような学校 ― 新しいアイデアを探り 研究する学校を作って 創造性豊かなアフリカの 伝統を土台にした新しい視覚言語を生み出すことです。学校では高等学校の課程を 修了した才能豊かな学生達に2年課程の修了証を 授与しています。教育課程ではタイポグラフィを重視していますが その際 学生には自分の内面に目を向けるように言っています。このポスターは ある学生が「教育は権利」というテーマでデザインしました。こちらは学生達がデザインしたロゴです。

 

2 『アフリカのアルファベット』

アフリカには古くから文字の伝統がありますが あまり知られていないので 『アフリカのアルファベット』という本を書きました。アフリカには様々な文字があります。まず ンシビディ文字のような 「原文字」です。これはナイジェリア南部の エジャガム族の秘密結社で 使われる独特な文字体系です。ガーナとコートジボワールに住むアカン族は 400年ほど前にアディンクラ・シンボルを発明しました。これらが表しているのは ことわざや歴史的な格言や モノや動物や植物です。私のお気に入りは 一番上の左側の記号「サンコファ」です。意味は「さかのぼって手に入れよ」つまり過去から学べということです。アンゴラに住むチョクウェ族が書いた ― この絵文字は創世神話を表しています。上には神 下には人間が描かれ 左には太陽 右には月が 描かれています。すべての道は神につながっています。ヨルバ教 コンゴ教 パロ教の 秘密結社は それぞれナイジェリア コンゴアンゴラにありますが 複雑な文字体系を発達させました。キューバやブラジルトリニダードやハイチなどの 新世界で 今でも盛んに用いられています。

 

3 模様の構造は多声構造で一種の楽譜

コンゴ民主共和国の熱帯雨林にある ― イトゥリ地方では 男達が特殊な木をたたいて布を作り 神を讃える歌を歌う女達は その布に込み入った模様を描きます。模様の構造は 彼女達の歌と同じ 多声構造で 一種の楽譜といってもいいでしょう。南アフリカでは ンデベレ族の女達がこの記号と幾何学的な模様で 家を鮮やかに彩ります。ズールー族の女達はビーズでブレスレットや ネックレスを編むときに 様々な記号を使います。

 

4 エチオピアには紀元4世紀から文字の伝統がある

エチオピアには非常に古くから文字の伝統があり 紀元4世紀には エチオピア文字が発明され 2,400万人以上が話す アムハラ語を書くために使われています。カメルーンではバムン王国のイブラヒム・ンジョヤ王が 25才の時にシュモンを作りました。シュモンは音節文字なので 正確に言えばアルファベットとは異なります。ここにあるのは30年に渡って シュモンが経た3つの発達段階です。リベリアに住むヴァイ族には1800年代に初めて欧州人と 接触する以前から読み書きの伝統がありました。これは音節文字で左から右に読みます。隣国シエラレオネではメンデ族も 音節文字を発明しています。ただ読む方向は右から左です。

 

5 アフリカはコンピューティングと数学に大きく貢献できる

アフリカのデザインの伝統は古く デザインへの感性がはっきり表れています。一方 問題もあります。特に現在 デザイナー達は デザインに苦戦しています。アイデアやインスピレーションを外に求めようとする傾向が 強いからです。アフリカの創造性とものづくりの伝統は 今も昔も変わらず優れています。デザイナー達が内面に目を向ければいいのです。このエチオピア十字は ロン・エグラッシュ博士の主張を裏付けています。すなわち アフリカは直感的にフラクタルを理解することで コンピューティングと数学に大きく貢献できるのです。

 

6 アルファベットの起源は西エジプトテーベ砂漠の岩に刻まれた文字

古代のアフリカ人は文明を創造しました。今も残る建造物は 彼らの偉大さの証です。アルファベットの発明も 人類の偉大な業績の一つです。その起源は紀元前1600年の メソポタミアにおけるくさび形文字の発明で その後エジプトのヒエログリフが続くという説が これまで史実として認められてきました。ところが1998年に イェール大学のジョン・コールマン・ダーネル教授により 西エジプト テーベ砂漠にある石灰岩の崖で 岩に刻まれた文字が発見されました。しかも その年代は紀元前1800-1900年の間で メソポタミアより何世紀も前のものでした。発見場所にちなんで ワディ・エル・ホルと命名された この文字の 調査は現在も続いています。文字がいくつか解読されただけですが 研究者の間では 人類最初のアルファベットとして意見が一致しています。これは現在までに 解読された古代文字の一覧表です。一番上のA 「アレップ」で始まって 真ん中の「ベット」以降に続きます。今こそアフリカでデザインを学ぶ学生は セネガルの偉大な先人シェイク・アンタ・ジョップの 著作などを読むべきです。彼のエジプトに関する独創的な研究が この発見によって証明されたのですから。

 

7 「サンコファ」は未来を創る力を与えてくれる

最後に触れたいのはジャマイカの偉大な指導者 ― マーカス・ガーベイと ガーナのアカン族が書いたアディンクラ・シンボルの 「サンコファ」についてです。このシンボルは 過去を現在に生かし 私達や子ども達の未来を創る力を与えてくれます。また 今こそアフリカのデザイナーは 外だけに目を向けるのを止める時です。外を向いてきましたが 彼らが求めるものは 手の届くところ自分達の内面にあるのです。どうもありがとう(拍手)

 

最後に

アルファベットの起源は西エジプトテーベ砂漠の岩に刻まれた文字。アフリカはコンピューティングと数学に大きく貢献できる。温故知新

和訳してくださった Kazunori Akashi 氏、レビューしてくださった Masami Mutsukado and Kacie Landrum 氏に感謝する(2013年2月)。


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