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金利が低下すれば株価と地価は上昇する 金利と資産価格

前回は、金融にはフローとストックの2つの側面がある 資金循環と金融市場についてまとめた。ここでは、金利が低下すれば株価と地価は上昇する 金利と資産価格について解説する。

1 金利とは

金利と利回りと収益率

普通預金や定期預金に対しては、一定期間ごとに利息(利子)が支払われる。この利息を元本(元金)で除した値に100をかけたものが金利(利子率)である。収益率とは収益を投資元本で割った値に100をかけたものである。資産を満期まで保有したときの収益率を利回りという。

 

2 金利の決定

金利決定の2つの考え方

金利決定にはフローの資金の貸借取引によって決まるという貸付資金説と、ストックの取引において決まるという流動性選好説の2つがある。

 

資金の貸借の価格としての金利

貸付資金説によれば、金利は資金を貸し付けようとする黒字主体の資金供給と、資金を借りようとする赤字主体の資金に対する需要とが一致するように決定される。

 

資金の供給曲線を決める要因

資金の供給曲線を決める要因は、消費の犠牲に対する代償としての金利と、金融の取引費用としての金利である。

 

金融機関の登場と金利

金融機関最終的貸し手と最終的借り手とを仲介する場合には、金融取引費用が節約される。

 

流動性プレミアムとしての金利

流動性選好説における流動性とは、ある商品をどれだけ容易かつ確実に決済手段である貨幣に転換できるかという概念である。流動性を決定する要因は、①取引費用、②可分性(小口化できるかどうか)、③確実性の3つである。現金は100%の流動性を持つため、利息がつかないのである。

 

債券の価格と利回りの決定

債券の市場価格が上昇(低下)すれば、その利回りは逆に低下(上昇)する。それは債券の額面価格やクーポン・レートがその発行時点において確定されているからである。

 

短期金利と長期金利

長期金利が現在の短期金利よりも高くなる関係があるとき、利回りは順イールドであるという。反対に、長期金利が現在の短期金利よりも低くなる関係があるとき、利回りは逆イールドであるという。

 

3 資産価格と金利

経済のストック化

1980年代の半ばから、地価と株価が急騰し、土地や株式などの資産総額の対GDP比率が急速に上昇した。このような現象を、経済のストック化と呼ぶ。

 

地価と株価と予想収益

資産の価格に影響する第一の要因は、その資産の保有から毎年どのような大きさの収益が、現在から将来にかけて得られるかという予想である。もう1つの利益は、土地の値上がり益である。株式についても、配当と株式の値上がり益の2つである。

 

株価と地価と金利

株価と金利の関係は、金利が低いときには、低い金利で資金を借り入れて株式を購入しようとする人や企業が増えるため、株価は上昇する。逆に、金利が高くなれば株価は低下する。同様に、地価と金利の関係も、金利が低いときには地価が上昇し、金利が高くなれば地価は低下する。

 

最後に

金利とは利息を元本で除した値に100をかけたもの。金利決定は貸付資金説と流動性選好説の2つの考え方がある。資産価格に影響する要因は、収益率と値上がり益である。株価も地価も金利が低くなると上昇し、金利が高くなれば低下する。金利と資産価格は反比例の関係

次回は、金利スワップ・先物取引・オプションの機能 デリバティブとリスクの移転についてまとめる。

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