asteroids

フィル・プレート 小惑星から地球を守るには

「直径10キロの大きさで、瞬く間に文明を終わらせるものとは何か?それは小惑星であり、宇宙に多く存在しています」フィルは語りかける。ここでは、170万ビューを超える Phil Plait のTED講演を訳し、小惑星から地球を守るために我々がなすべきことについて理解する。

要約

直径10キロの大きさで、瞬く間に文明を終わらせるものとは何か?それは小惑星であり、宇宙に多く存在しているのです。小惑星が破壊する過程とそれを食い止めるために我々がすべき事を、ユーモアと優れた視覚効果を交えたトークで、フィル・プレート氏がTEDボルダーの観客達を魅了します。

Phil Plait blogs at Bad Astronomy, where he deconstructs misconceptions and explores the wonder of the universe.

 

1 6500万年前、恐竜達には不運な1日だった

話しておきたい事があります。重要な話です。始めましょう。6500万年前 恐竜達には不運な1日でした (笑) 直径10キロの大きな隕石が ライフル銃の 約50倍の速さで 地球に衝突しました。そのエネルギーは一瞬で放射され 大爆発し 全てが終わりました。冷戦の最中に造られた 全ての核兵器を 集めて一度に 爆発させたとしても その隕石が衝突した時の 100万分の1のエネルギーにしかなりません。恐竜達には本当に不運な1日でした。いいですか?

 

2 直径10キロの隕石は非常に大きい

直径10キロの隕石は非常に大きいです。我々はボルダーに住んでいます。窓の外の ロングスピークは 見慣れた景色です。では ロングスピークをすくい上げて 脇に置いておきます。ミーカー山もとって1つにまとめて エベレストとK2(山) インディアンピークスも 一緒にしておきます。では考えてみましょう。いくつの山について話しましたか? その隕石が巨大だったのは その衝撃やクレーターから明らかです。隕石が落ちたのは メキシコ湾のユカタンです。こちらに見えるのが ユカタン半島です。コスメル島は 東海岸から離れたところにあります。

 

3 地球上の全生物の75%が絶滅した

クレーターの大きさが見てとれますね。巨大でした。規模を測ると こちらですが 大きさは頂上が80キロで ふもとは100キロです。直径300キロ(約200マイル)の 巨大なクレーターは 大量の大地を削って世界中に撒き散らし 日光を遮る程の粉じんと共に 地球全体を火の海にしてできました。地球上の全生物の75パーセントが 絶滅しました。全ての小惑星がこんなに大きい訳ではなく 小さいものもあります。これは 1992年10月に アメリカに落下した隕石です。金曜日の夜でした。なぜそれが重要か? 当時ビデオカメラは 普及し始めたばかりで 誰もがビデオカメラを携帯し 子ども達のフットボールの試合を撮りました。金曜日に落下したことで この素晴しい映像が各地で撮影されました。ウエストヴァージニア メリーランド ペンシルバニア ニュージャージー ニューヨークの車にまで (笑)

 

4 直径10キロ無くても大災害は起こり得る

これは直径300キロもありませんね。しかしここにあるような フットボール位の隕石でも ぶつかると 車が損傷しています。この隕石は恐らく元々は スクールバス程の大きさでした。それが大気圧で砕けて 粉々になり かけらが落下して 被害を与えたのでしょう。こんな隕石が足や頭の上に落ちてきたら 大変なことになりますね。最悪でしょう。しかし地球上の全ての生命が 絶滅する事は無いので大丈夫です。しかし直径10キロ無くても 大災害は起こり得るのです。隕石には小さなものと大きなものだけでなく 中ぐらいの大きさを持つものもあります。アリゾナのウィンズローに行くと 砂漠の中に”アリゾナ隕石孔”と呼ばれる 非常に象徴的なクレーターがあります。

 

5 30-45メートル程度の隕石は砂漠から生物を絶滅させた

規模を測ると 直径1.5キロです。頂上は駐車場になっています。RV車も停まっています。直径約1,5キロで深さ200メートルです。この隕石孔を形成した物体の大きさは およそ30~45メートル程で このマッケイ公会堂位のサイズです。それは驚異的な速さでやって来て 地面に衝突し 粉々になり およそ20メガトンの核爆弾のエネルギーで 爆発しました。非常に大きな爆弾です。5万年前にその隕石は バッファローかアンテロープの様な生物を 砂漠から絶滅させました。しかし地球規模の災害の原因には ならなかった様ですね。

 

6 小惑星が衝突しなくても大災害は起こる

次の事例からは小惑星が衝突しなくても 大災害が起こる事が分かります。1908年のツングースカ大爆発ですが ”ゴーストバスターズ”を観ると ダン・エイクロイドが 1909年のツングースカ大爆発以来の 超常現象だと言いますが 間違っていますね。1908年です。大丈夫、間違ってても生きていけます (笑) この時小惑星は大気圏に入ると 地上から数キロ上空で 爆発しました。爆発による高熱で 森は炎上し その空振で 数千平方キロメートルの木々が なぎ倒されました。これは非常に大きな破壊規模でした。繰り返しますが これは恐らく この公会堂位の小惑星の仕業でしょう。

 

7 世界経済を支えている都市に隕石が降ったとすると…

アリゾナ隕石孔は鉄金を成分としたとても頑丈な隕石が衝突した事で 形成されました。ツングースカについては恐らく とても砕けやすい小惑星の仕業で それ故に空中分解しました。いずれの事例も20メガトンの大爆発でした。この位の規模の爆発では 地球規模で生態系に影響を及ぼすことはないでしょう。恐竜が絶滅したような事態には ならないでしょう。それ程の破壊力はありません。しかし世界経済には損失を与えます。地表に衝突しなかったとしても 損失が出ることがあります。地球規模の惨事になる必要はありません。もし隕石がどこかに落ちてくるとしたら パニックを引き起こすでしょう。もしこれが最も重要な都市― どの都市もそれぞれ重要ですが 世界経済を支えている都市に 隕石が降ったとすると 我々の文明や生活に大きな影響が あるでしょう。

 

8 まずは小惑星を見つけること

みなさん怖くなって震えてますね (笑) 我々に何ができるでしょう? これは潜在的脅威です。この6500万年の間 恐竜が絶滅したような 巨大衝突は起きていません。めったに無い事です。小さな隕石の衝突はしばしば起きますが 恐らくは1000年周期 数世紀から数千年に一度の出来事です。それでも注意を向けるべき事です。さて 我々はどうしましょう? まずは見つける事です。これは2009年に地球の近くを通った 小惑星です。ここです。とても見えづらいでしょう。後方にあるものが見えるでしょうか。これらはただの星です。直径30メートル位なので ツングースカやアリゾナに衝突した 物体とほぼ同じ大きさでしょう。

 

9 地球に向かってきている物体を確認し、食い止めること

かすかにしか見えません。見えづらい上に 空は広大です。我々はこれらを見逃してはなりません。幸いな事に 我々は常に見張っています。NASAはこの監視に予算を充てています。アメリカ国立科学財団や諸外国は この事にとても関心を持っています。これらの脅威を見つけ出すために 我々は望遠鏡を作っています。重要な第一歩です。次に行う事は 地球に向かってきている物体を確認し 食い止める事です。何をするか? 小惑星アポフィスをご存知でしょう。知らなくてもいつか耳にします。2012年のマヤの予言についてご存知なら アポフィスを知る事になるでしょう。地球の終末についての情報は 互いに結び付いているのですから。

 

10 アポフィスが2029年4月に地球の近くを通過する

アポフィスは2004年に発見されました。直径およそ250メートルの大きさで かなり大きいですね。フットボール競技場よりも大きい物体が 2029年4月に地球の近くを通過します。どれ程近くかというと 気象衛星よりも近くを通ると 思われています。地球の引力はアポフィスの軌道を 曲げてしまいます。もしアポフィスが この豆型の ”鍵穴”とよばれる場所を通過すると 地球の重力で軌道が変わり そうすると 7年後の2036年4月13日には… ちなみに13日の金曜日ですね(笑) ―天体の動きに計画は立てられません― アポフィスが地球に衝突するでしょう。それは直径250メートルで 衝撃は想像を超えるでしょう。

 

11 アポフィスは不幸中の幸い

幸いな事に その確率ですが 鍵穴を通過して 地球に衝突する確率は100万分の1です。とても低い確率でなので個人的には 心配で夜眠れない様な事はありません。アポフィスは問題ではありません。アポフィスは不幸中の幸いです。こうしたことに対する我々の危機意識を 目覚めさせたからです。これはたった数年前に発見されたもので 数年後に衝突することもあり得ました。実際には衝突しませんがこれを機に この類の小惑星の調査が始まりました。以前は鍵穴のことなどわかりませんでしたが 今はわかっています。小惑星の衝突をどう食い止めるかにおいて これはとても重要です。

 

12 小惑星なら弾丸を衝突させることで動かせる

お尋ねしますが もし道路の真ん中に立っていて 車がこちらに向かってきたらどうしますか? よけるでしょう?車は通過します。地球は簡単に動きません。しかし小惑星なら動かせます。それはもう実際に行われています。2005年にNASAは”ディープインパクト”という 探査機を打ち上げ その一部分を 彗星の核に衝突させました。彗星は小惑星によく似ています。目的は軌道を変えることではありませんでした。目的はクレーターを作り 彗星の成分を掘り出し その内部構造を調査することで 多くの成果がありました。我々はほんの少しだけ彗星を動かしました。しかしそれは重要ではありません。考えてみましょう。これが太陽の周りを 毎秒15~30キロで回っています。探査機から彗星に弾丸を衝突させました。とても困難なことを成功させたのです。もう一度行うこともできるということです。

 

13 何かをぶつけるのはとても簡単

もし地球に向かってくる小惑星を確認して すぐ近くまで来た時 必要であれば 2年でそこに行って ブーン!ぶつけます。そうですね…映画を観ると こう考えるでしょう。核兵器を使えば良いのに 試しても良いですが タイミングが難しい 小惑星に核弾頭を発射すると 数ミリ秒以内に爆破させる必要があります。さもないと失敗するでしょう。他にも多くの問題があって 実施するのは困難です。何かをぶつけるのは とても簡単です。NASAだってできると思います。彼らは出来る事を証明しました(笑) 問題になるのは 小惑星に弾丸を当てて軌道を変え 新たな軌道を測ってみたら 小惑星が鍵穴に入っていて 3年後に地球に衝突するといった時です。

 

14 6ヶ月以内に衝突しなければ大丈夫

私に言わせれば それでも大丈夫です。6ヶ月以内に衝突しなければ上出来です。問題に取り組むのに3年あります。再び小惑星を撃つこともできますが 別の鍵穴に入ってしまうかもしれませんし それはやめておきましょう。ここからが私の大好きな箇所です (笑) 勇ましく「ブルブル バン! ど真ん中に弾丸を撃ち込んでやる」 と言った後で穏やかな方法を取るのです (笑) 科学者と技術者 宇宙飛行士の あるグループは自らを “B612″財団と呼んでいます。”星の王子様”を読んだ事があれば 何か分かりますね?星の王子様が住んでいた 小惑星がB612と呼ばれていました。

 

15 行うべきは1,2トンの探査機を打ち上げること

B612には男女共に優秀な人達がいます。今言った様に 宇宙飛行士や技術者 アポロ9号のラッセル・シュウェイカートも ここに属しています。私の友人で この映像を作ったダン・ダルダもその一人で サウスウエスト研究所で働いています。彼はこの映像の制作者で これから話す計画に取り組んでいる 天文学者の一人です。地球に向かってくる小惑星があっても 十分な時間があれば弾丸を撃ち込んで 軌道を修正できます。しかしむしろ行うべきは 1,2トンの探査機を打ち上げることです。巨大である必要はなく 2トン程のものを 小惑星の近くまで行かせます。回転する小惑星に着陸するのは 困難なので 着陸はしませんが 近くまで行くと。

 

16 小惑星と探査機の重力によって安全な軌道に乗せられる

小惑星の重力が探査機を引っ張ります。重さが2トンほどの探査機にも ほんの小さな重力があり その重力で小惑星を引っ張ることができます。そのためのロケットも搭載しています かすかにロケットの煙が見えます。小惑星と探査機は 互いの重力で結ばれていますから 探査機をとてもゆっくり丁寧に動かせば 簡単に小惑星を安全な軌道に乗せられます。地球の軌道に乗せて 採鉱することもできますが それは別の話なので今はしません (笑) でもそれを行えば金持ちになれます(笑)

 

17 イオンエンジンはもう実現している

想像して下さい。巨大な隕石が3つ降ってきたとします。地球に衝突したら被害が出るでしょう。しかし対策はもうわかっています。そのための準備も万端です。天文学者達は望遠鏡で 常にそれを見張っていて とても優秀な人達がこの事に関心を持って この問題の解決策を導き出しています。そのための科学技術もあります。この探査機には化学燃料は使えません。化学燃料は推進力が強すぎて 探査機は彼方に飛んで行ってしまいます。我々はイオンドライブという 非常に低推力のエンジンを開発しました。1枚の紙が手を押すのと同じ位の 非常に小さなエネルギーしか出しませんが その小さな推力を 何ヶ月も何年も出し続けることができます。オリジナルの”スタートレック”には イオンエンジンを持つエイリアンの船があり スポックが言います 「彼らは技術的にとても優れている 我々の100年先を行くエンジンだ」 イオンエンジンはもう実現しています(笑) 彼らのような宇宙船はありませんが イオンエンジンはもうあります (拍手) おわかりですか スポックさん (笑)

 

18 恐竜と我々の違いは宇宙計画と選挙

と言う訳で これこそが 我々と恐竜の違いなんです。恐竜は隕石で絶滅してしまいましたが 我々はそうはなりません。恐竜と我々の違いは 宇宙計画 そして選挙です。我々は未来を変えることができます (笑) 我々には未来を変える能力があります。6500万年後 ホコリまみれの我々の骨を 博物館に展示しなくても良いのです。ありがとうございました (拍手)

 

最後に

直径10キロの隕石で地球上の全生物の75%が絶滅した。小惑星が近づいていることを発見し、食い止め、動かせばいい。イオンエンジンはもう実現している。恐竜と人間の違いは宇宙計画と選挙。人間には未来を変える能力がある

和訳してくださった Yuko Masubuchi 氏、レビューしてくださった Wataru Narita 氏に感謝する(2011年9月)。

オデッサ隕石標本 (隕鉄) Odessa


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>