「この技術はインターネットの次のパラダイムシフトになるでしょう」ミルズは多くのデモを交えて語りかける。ここでは、50万ビューを超える Matt Mills のTED講演を訳し、スマートフォンの画像認識技術を利用したAR(拡張現実)の可能性を理解する。
要約
マット・ミルズとタマラ・ルーカーツが新しいAR(拡張現実)ツール「オーラズマ」のデモを行います。「オーラズマ」を使えばスマートフォンを通して見る世界に生命を吹き込むことができます。従来のAR技術の枠を越えて、彼らの「オーラ」は肖像画に喋らせたり、新聞紙上でライブ中継を見たりすることができます。
Matt Mills comes from Aurasma, a startup that makes augmented-reality technology for mobile phones.
Tamara Roukaerts is head of marketing at Aurasma, working to build an augmented-reality lens via smartphones.
1 もしスマートフォンが人間のように認識できたら
もしもスマートフォンが我々の目のように ものを見ることができたなら素晴らしいと思いませんか? 歩いている時に スマートフォンを向ければ その画像や物体を人の脳のように認識し そして無限と言っていいような知識・経験 そしてアイデアのストックから 情報を引き出すことができたなら?かつてなら そんなのSFの世界ですが 今やそれが 現実に可能となったんです。
2 肖像画から演奏や詩の朗読が流れる
実際にご覧いただくのが一番でしょう。こちらのタマラがスマートフォンを 手にしています。では始めましょう。ここに一枚の絵を用意しました。偉大な詩人ロバート・バーンズの ごく普通の肖像画です。上のスクリーンにスマートフォンの画面を映します。我々の技術を通してスマートフォンの画面上で 彼女が見ている映像をご覧下さい。スマートフォンを肖像画に向けると 不思議なことが起こります。
(笑)(バグパイプの演奏) (笑)(バグパイプの演奏) (バグパイプの演奏) (バーンズの詩の朗読)。
3 スマートフォンを進化させる技術
この技術のすごいところなんですが 何かトリックを使ったわけではありません。この絵自体には何も仕掛けをしていません。この技術がすごいのは まるで人間の脳が ものを見て理解するように スマートフォンが ものを見て理解することを可能にするのです。それだけではなく私が絵を動かしても その動きを追って途切れなくコンテンツを重ね合わせます。繰り返しますがこの技術のすごいところは スマートフォンをここまで進化させるという点です。これを可能にする全ての仕掛けは スマートフォン本体にあります。
4 デジタル・コンテンツと実在物の紐づけができる
この技術はあらゆるものに応用できます。例えば今ご覧いただいたような美術館の芸術品 あるいは広告や印刷された記事などにも使えます。新聞の情報は 印刷されたその時から古くなります。これは今朝の新聞ですが ウィンブルドンの記事が載っていますね。この新聞の第一面にスマートフォンのカメラを向けると その場で続報が得られます。
(音声:….柔軟に対応しなければいけません) (音声:そしてほんの一瞬の間に) (音声:方向を変える必要もあります) (音声:彼女はそれらを全てやって勝利しました)
このデジタル・コンテンツと実在物との紐付けを 我々は「オーラ」と呼んでいますがこの「オーラ」という言葉は このプレゼンの中で何度となく出てきます。現実世界でただ単に速くそして便利に 情報を得られるというだけでなく、この方法を使うことで これまで不可能だったやり方で 情報を提示することが可能になるのです。
5 この技術があれば説明書を探さなくてよい
ここにワイヤレスルーターを用意しました。皆さんに解っていただくためにアメリカ人の同僚が これは「ラウター」と呼べと言うので・・・(笑)。ともかく これがその装置です。この技術があれば私はわざわざインターネットで 説明書を探さなくてもただカメラを向ければ 装置を認識して・・・
(音声:まずグレーのADSLケーブルを接続して下さい) (音声:そして電源に繋ぎ 最後に 黄色の イーサネット・ケーブルを接続して下さい) (音声:セットアップ完了です)(笑)素晴らしい ありがとう(拍手)
こうしたことを可能にする驚くべき技術は ここイギリスで我々の会社で働く ケンブリッジの科学者が作ったのですが 彼らの写真を持ってきました。皆をこのステージに連れてはこれなかったので 彼らの「オーラ」を持ってきましたよ。あまり元気そうではありませんが・・(笑) これでも4回撮り直したそうです(笑)
6 立体映像を私たちの世界に重ね合わせられる
さて ケンブリッジの次は 技術的な素晴らしさについてお話しましょう。この技術をスマートフォンに実装できるようになってから 12ヶ月も経っていないわけですが スマートフォンの処理速度は 本当に目を見張る速さで進歩しています。そのおかげで映画のような立体映像を撮影し 私たちの周りの世界に重ねる合わせられるようになりました。それではご覧にいれましょう。タマラ やってくれるかい?
(音楽) (恐竜の咆哮)(笑) 逃げましょうか (音楽)(恐竜の咆哮) (拍手)
7 使いたい人は誰でも無料で使える
お楽しみの次は感動的な側面もお見せしましょう。というのもこの技術は効果的に 他の誰かが見た世界を見ることを可能にします。本人にとっても ある瞬間を この世界に実在するモノに 紐付けすることが できるようになります。そして何よりこのツール自体は無料です。使いたい人には誰にでも使っていただけます。学校の先生達も実際に授業で使っています 教科書に何かをタグ付けしたり 教室の中のものにタグ付けしたり とあるイギリスの学校の例を紹介しましょう。ビデオから切り取った写真があります。ちょっと見てみましょう。
(教師:さぁ何が起こるかな?)
(子ども:テレビだ)
(子ども:わぁ!すごい!)
(教師:ちょっと動かしてみよう何が起こるかな?) (教師:一度画面から外して また戻してごらん)
(子ども:ワオ!これスゴい!)
(教師:戻ってきたかな?)
(子ども:すごいよ!一体どうやってるの?)
(子ども:魔法みたいだ!)
(笑)魔法じゃないんです。誰にでもできますよ。どれくらい簡単か 実際にやってご覧にいれましょう。これは「ウェーブ」と呼ぶそうですが それではこちら側から始めましょう。3つ数えてこちらから反対側へ行きます。タマラ 録画してください。皆さん準備はいいですか? 1・2・3・スタート!(聴衆:歓声)皆さんは中々ノリがいいですね(笑)。ではアプリに戻りましょう。タマラが今撮影したビデオを 私の持っている名札にタグ付けします。私が今日のことをずっと覚えていられるように。
8 思い出を共有したり解説書代わりにも使える
さて・・・こうしたことは多くの人がすでにやっています。教育的な側面について少しお話ししました。また思い出を共有したりするために 家族に送る絵はがきやクリスマスカードに 「オーラ」でメッセージを付ける人もいます。他にも例えば 古い車のエンジンの写真に 様々なエンジンの部品をタグ付けして 故障してしまった時に調べるための 解説書代わりに使う人もいます。
9 インターネットの次のパラダイムシフトになる
私たちにとってインターネットはとても身近なものです。これまでの20年間で私たちの生き方や 働き方 ものの見方に 大きな変化をもたらしました。この技術はインターネットの次のパラダイムシフトになるでしょう。というのも私たちが共有し発見し 楽しんでいるコンテンツを文字通り 私たちが生きている世界の一部にできるからです。このアプリケーションは完全に無料です。WiFiや3Gの良好な接続さえあれば このような処理は短時間で行えます。
10 プロ版は色々な内容やリンクを付け足し可能
先程の映像を保存して 撮った写真を変換するために ちょっとした処理を行っています。デジタルフィンガープリントのようなものに加工します。さらにすごいことにプロフェッショナル版は このデモで新聞を使って行ったようなことが なんら遜色なくできます。色々な内容やリンクを 付け足すことが可能です。さてできたかな?(タマラ:できました)準備ができたようです。カメラを名札に当てて・・・皆さんの登場です。(音声:1・2・3・スタート!)。素晴らしいオーラズマでした ありがとう(拍手)
最後に
AR技術は教育にも思い出の共有にも解説書代わりにも利用できる。何よりも子どもがこの技術を見たときの表情が印象的。感動して、すぐに受け入れる。そして恐らく彼ら彼女らがまた新しい技術を開発するのだろう。「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」(アーサー・C・クラーク)。教師は敏感であれ。
和訳してくださった DSK INOUE 氏、レビューしてくださった Yasushi Aoki 氏に感謝する(2012年7月)。
![]() |