biomimicry-in-action

ジャニン・ベニュス 行動するバイオミミクリー

「デザインの問題を解決するときは、まず自然に眼を向けることです」ベニュスは語りかける。ここでは、80万ビューを超える Janine Benyus のTED講演を訳し、行動するバイオミミクリー(生物模倣技術)について理解する。

要約

ジャニン・ベニュスは発明家に伝言があります:「デザインの問題を解決する時は、まず自然に眼を向けること。あなたはそこで防水性や、航空力学や、太陽エネルギーなどに関する直感的で的確なデザインを見つけるでしょう」この講演で彼女は、自然からきっかけを得た様々な新しい製品と、その驚くべき成果について話します。

A self-proclaimed nature nerd, Janine Benyus’ concept of biomimicry has galvanized scientists, architects, designers and engineers into exploring new ways in which nature’s successes can inspire humanity.

 

1 バイオミミクリー(生物模倣技術)は新しい分野

もし私が、なにか 隠されているものを明らかにするとしたら 少なくとも現代文化においては それは、我々がかつて、自分の名前のように 良く知っていたのに、忘れてしまったものを 明らかにするようなものでしょう。そしてそれは、私たちが高性能な世界、 素晴らしい星に住んでいるという事でしょう。自分たちが天才に囲まれているという事です。「バイオミミクリー(生物模倣技術)」は、新しい分野で、 このような天才から学び そこからデザインのアドバイスを得ることです。ここが私の住んでいるところです。大学もここにあります。私は天才に囲まれています。私は、この惑星に 優雅に暮らす方法を知っている 生物やエコシステムのことを思い出さずにはいられません。もしそれを忘れるようなことがあれば これを思い出して下さい。これを 毎年これが起きます。自然は約束を守ります。我々が救済対策に追われている間に、これが起きました 春。

 

2 生物たちはみな優先順位を正しく守る

春を設計することを想像してみて下さい。その指揮を想像してみて下さい。TEDを運営するのは大変だと思うでしょう(笑)そうよね? 想像してみて、そしてこれをしばらくやっていないなら、やってみて タイミングや協調のしかたを想像してみて下さい。このすべてが、トップダウンの法律や 政治や、気候変動に関する議定書なしに これが毎年起こるのです。数々のショーがあり 空には愛が満ちあふれる 様々なものが花開きます。約束しますが、生物たちはみな 優先順位を正しく守るのです。

 

3 「どうやってこんな蜂の巣を作ったの?」

私にこのことをいつも思い出させる隣の子どもがいます。彼はたいてい仰向け寝転がり それらの草を見上げながら過ごします。あるとき彼がやってきて その頃彼は、7歳か8歳でした 私の家の、ドアのすぐ前には スズメバチの巣があって 成長するに任せていました。たいていの人は小さいうちにそれをたたき落とします。でも私にはそれが魅力的でした。なぜならこういう感じのイタリア製の綺麗な本の見返しを見たことがあったからです。そして彼がやってきてノックしました。彼は毎日何かを見せにやって来るんです。そして私がドアを開けるまで、キツツキの様にノックし続けるのです。彼が言いました 「どうやってこんな蜂の巣を作ったの?」と 彼はそういうものを見たことがなかったんです。私は言いました:「コディ、 これはハチが作ったのよ」 そして一緒にそれを眺めました。そして彼がなぜそう思ったかわかりました。なぜって、それはとても綺麗にできていたからです。それは建築的で、精確でした。

 

4 造ることを始めたのは私達が最初ではない

でも私は思いました:こんな小さな子どもがどうして もし何か綺麗なものがあると それは我々が作った、という俗説を 信じているのだろう、と。なぜ彼は造ることを始めたのは私達が 最初ではないという、私達が皆忘れてしまったことを 知らないできたのだろう。セルロースの処理を始めたのは我々ではありません。初めて紙を作ったのは我々ではありません。我々が初めて 空間を最適化したのではないし 防水で、暖かく、かつ涼しい構造を作ったのではないのです。私たちは初めて、若い世代のために家を造ったのではない。

 

5 バイオミミクリー技術者たちは自然の見習い徒弟

今「バイオミミクリー」と呼ばれる分野では、人々が 他の生物、自然界の他の生物が、 我々がする必要があることと 非常によく似たことを 行っているのを思い出しているのです。実際のところ、他の生物たちは この惑星で、何十億年も生きられる上品なやり方で それを実現しているのです。だから、バイオミミクリー技術者たちは 自然の見習い徒弟なのです。彼らは機能に注目しています。ここでお見せするのは、彼らが学んだことの いくつかです。彼らは自問しています 「何かを発明する時に『自然はどうしているか?』と 聞いてみるのはどうだろう」と。

 

6 昔の新幹線は「弾丸列車」と呼ばれていた

彼らが学んだことをお見せします。これはチェコの写真家、ジャック・ヘドリーの素晴らしい写真です。これはJR西日本の技術者の話です。新幹線を作った人たちです。以前はこれは「弾丸列車」と呼ばれていました。先端が弾丸型からです。しかし、これはトンネルに入るたびに 圧力波を生み出し トンネルを出る時に衝撃波を発生させていました。そこで技術者のリーダーは言いました 「もっと静かになる方法を見つけなくては」と。

 

7 カワセミをまねたら速度が10%向上し、電力が15%削減された

彼はたまたま、野鳥観察が好きでした。彼はアメリカのオーデュボンソサエティのような(国内の)団体に行きました。彼は研究し、そこにはカワセミの映像がありました。彼は思いました「カワセミはある密度の媒質である空気から 違った密度の媒質の水へ飛び込むが 水しぶきをあげない。この写真を見ろ。水しぶきがないから魚も見える」 そして思いました「これをやってみたらどうだろう?」 それで列車が静かになりました。速度が10%向上し、電力が15%削減されました

 

8 ガラパゴスザメは表面に細菌がおらず、嫌な臭いもしない

自然はどうやって細菌を排除するのか? 細菌から身を守る必要があったのは 我々が最初ではありません。実はこれはガラパゴスザメです。その鮫は表面に細菌がおらず、いやな臭いもせず、フジツボも付着しません。速く泳ぐからではありません。のんびりとした、ゆっくり泳ぐ鮫です。ではどうやって細菌が増殖しない体になっているのでしょう。化学物質によるのではありません。実は、ある種の歯のような突起がそうしているのです。オリンピックで非常に多くの記録を更新した Speedo社の水着にあるようなものです。

 

9 病院の壁に突起のパターンを配置して細菌を防いだ

それは特殊なパターンをしています。その突起のパターンの 建築的構造が 細菌が付着しないようにしているのです。シャークレットテクノロジーという会社があって 病院の壁にこのようなパターンを配置し 細菌がつかないようにしています。その方が、今や多くの細菌が耐性を持つようになっている抗菌剤や 強力な洗剤で洗い流すよりも効果的です。合衆国では、毎年10万人が 院内感染で死亡していて それはエイズ、がん、自動車事故を合わせたよりも 数が多いのです。

 

10 ナミビア砂漠にいるある生物は霧からの水を飲める

これはナミビア砂漠に住む生物です。飲めるような新鮮な水はありません。でもこの生物は霧からの水を飲みます。鞘羽の後ろにでこぼこした突起があり それが水に対する磁石のように働きます。好水性の突起があり、側面はすべすべしています。霧が発生すると、それは先端に結露し 側面を滑り落ちてこの生物の口に入るのです オックスフォード大学にはこれを研究している アンドリュー・パーカーがいます。そしてグリムショーのような動力学を取り入れた建築会社は これでビル壁をコーティングして 霧から水を集める手段として 考え始めています。霧採取用ネットより10倍すぐれています。

 

11 植物や殻を作る生物、 珊瑚は二酸化炭素を建築素材と見なす

建築用ブロックとしての二酸化炭素 生物は二酸化炭素を毒とは思っていません。植物や、殻を作る生物、 珊瑚はそれを建築素材と見なしています。合衆国に、クララという名の セメント製造会社ができています。彼らは珊瑚礁からレシピを借りています。そして二酸化炭素を建築ブロックに使用し セメントやコンクリートにしています。反対に、セメントは通常は 1トンのセメントから1トンの二酸化炭素を放出します。今やその方程式は逆転し 2分の1トンの二酸化炭素を分離固定しているのです 珊瑚からのレシピのおかげです。これには生物を使いません。生物から得た青写真あるいはレシピを 使用するだけです。自然はどうやって太陽エネルギーを集めるか? これは、葉っぱの機能に基づいた 新型の太陽電池です。自動組み立て式です。どんな材料にも定着できます。非常に安価で 5年ごとに再充電できます。これは、実は私が、ポール・ホーケンと共に係わっている OneSunという会社です。

 

12 赤血球の孔のアクアポリンをまねた脱塩膜

自然界には水から塩をろ過する方法が 沢山あります。我々は加圧によって水を膜に押し当てます。そして、なぜ膜がそんなに詰まるのか なぜそんなに電力を食うのかと不思議に思うのです。自然はもっとずっと優美に行います。それは全ての細胞にあります。あなたの身体の全ての赤血球には こういう砂時計形の孔があり アクアポリンと呼ばれます。それは水を通過させます。「前進浸透」の一種です。水分子を通過させ 溶質を反対側に残します。アクアポリンという会社が、この技術を真似た 脱塩膜を作り始めています。木や骨は、ストレスの方向にしたがって、常に 自分を組み替えています。現在では、このアルゴリズムが、橋を軽量化するための ソフトウェアに用いられ 橋脚を軽量化しています。GMオペルはこれを用いて こういう骨格を作り バイオニックカーと呼ばれています。それは骨格を最小量の素材で作り ―それは生物の必須条件ですが― 最大限の強度を確保しています。

 

13 防水で強く、弾力性で呼吸可能なキチン質を利用する甲虫

この甲虫は、こちらの木材チップと違って ただ一つの素材、キチン質を利用します。そしてそれにたくさんの機能を 与える方法を見つけています。それは防水で、 強く、弾力性で、 呼吸可能です。構造から色を生み出します。木材チップはこういう機能を持つのに7層を必要とします。我々がこのような生物に いくらかでも近くづくために 発明しなくてはならないのは 素材を最小量だけ、最小種類だけ使い、 それにデザインを加える方法を 見つけることです。自然界では、ここに示すことをするのに 5種類のポリマーを使いますが 人間界では、そのためには350種類のポリマーが 必要です。

 

14 自然はナノ粒子を常にモノに定着させている

自然は微細です。ナノテクノロジー、ナノ粒子、などに多くの懸念を耳にします。野放しのナノ粒子。とても興味を惹かれるのですが こう聞く人があまりいないのです: 「ナノテクを安全にするには自然にどう尋ねたら良いのか?」と 自然界はそれを長いことやってきました。たとえばナノ粒子を常にモノに定着させています。硫酸還元菌は その合成過程で 副産物として、水中に ナノ粒子を放出しています。しかしその直後に、細菌は、そのナノ粒子を 集めて凝集させるタンパク質も放出しているのです。それが溶液から分離されるようにです。

 

15 アリやハチの群知能技術や合成木も活かせる

エネルギー利用、生物はエネルギーをちびちびと使います。自分が得る全てのものと交換制だからです。現在ここで最大の分野は エネルギーグリッドです。スマートグリッドって聞いたことがあるでしょ? 社会性昆虫から学べることが沢山あります 「群知能技術」です レージェンという会社があります。彼らは、アリやハチがどうやって 巣全体として最も効率的に 食料や花を見つけているかを 調べています。そして彼らは、そのアリゴリズムで互いに会話し、 家庭のピーク使用電力を最小限におさえる 電気器具を開発しました。コーネル大学の科学者グループは 「合成木」と呼ばれるものを開発しています。彼らは言います:「木の底部にはポンプがないんだ」と。毛細管現象と蒸散により、水を 一滴づつ汲み上げ、 持ち上げ、葉から放出してはまた根から汲み上げています。そして彼らは―一種の壁紙と思って下さい―を作っています。これをビルの内壁に貼り ポンプ無しで水を汲み上げるつもりです。

 

16 アマゾンデンキウナギ、ザトウクジラのヒレ…

アマゾンデンキウナギ、絶滅が非常に危惧される 種族のひとつで 体内の化学物質により 600ボルトの電圧を発生します。そのことでさらに面白いのは 600ボルトでも彼らは焼け死なないのです。ポリ塩化ビニル(PVC)をご存知ですね。電線を 絶縁するのに使います。こういう生物は、どうやって自分の出す 電気から絶縁しているのでしょうか? まだ採り上げていない疑問があります。

これは鯨を参考にした風力発電タービンのメーカーです。ザトウクジラのヒレは、縁が波打っています。そしてこの波形が 水流に対する抵抗が 32%減るように作用しています。結果として、このタービンは、極端に遅い風速でも回るのです。MITが、つい最近、非常に少ない電力で 動作する無線チップを開発しました。それはあなたの耳の蝸牛装置を基にしていて インターネット、無線、テレビ信号,ラジオ信号などを 全て一つで処理できます。

 

17 「解決に値する問題はなにか?」

最後にエコシステム規模の話ですが、私のコンサル会社バイオミミクリーギルドでは HOK建設と共同で 街全体の建設を 計画部門から見ています。私たちが言いたいのは 私達の街は、生態系の役割において 街自体が置き換える自然のシステムと 少なくとも同等のサービスを提供すべきではないでしょうか? そこで我々は「エコロジー機能標準」というものを作成し 街にこのより高い水準に合わせてもらうのです。問題は―バイオミミクリーは、信じられないくらい強力な イノベーションだということです。問いたい問題は:「解決に値する問題はなにか?」です。これをご覧になったことがなければ、とても面白いですよ。アダム・ニーマン博士 これは、地球上の全ての水と 地球の体積との比較を 描写したものです。全ての氷、全ての真水、全ての海水です。そして、地球の体積と我々が呼吸できる全ての大気の比較です。この球体の中身が、 38億年にわたり、生命が生きられる豊かな 環境をつくりあげたのです。

 

18 生命が受け継がれる環境を整える「AskNature.org」

そして我々は、この惑星に現れた 長い長い、生命の 流れの中にあり、そして自問するのです: この長い流れの中で、どうやって優美に行きていけるのか?」と。どうやれば、生命の法則に従っていけるか それは生命が受け継がれる環境を整えることです。そして今それをなすために、我々の世紀の デザインの挑戦として このような天才たちを思い出し 再び彼らと会う必要があるのです。その中の一つの大きなアイデア、大きなプロジェクトに 私はかかわることができ それはウェブサイトです。皆さんにもそこを見てもらいたいのです。AskNature.orgといいます。そこで行っているのは、TED的なやり方で、 全ての生物学上の情報を、デザインと 工学機能の観点で系統立てることです。

 

19 「自然はどうやって水と塩を分けているのか?」

我々はエド・ウィルソンのTED wishである Encyclopaedia Of Life(EOL)と協同作業しています。彼はそのウェブサイトに、全ての生物学の情報を 集めようとしています。そしてEOLに貢献している科学者たちが、質問に答えています 「この生物から何を学ぶことができるか?」 その情報はAskNature.orgへもたらされるのです。そして世界のあらゆる場所の全ての発明家が 創作の過程で「自然はどうやって水と塩を分けているのか?」と タイプできることを期待します。そうするとマングローブと、ウミガメと、 あなたの腎臓が表示される。そして我々は コディがしたように このような、 我々よりもはるかに長く この地球にいる先達の 信じられないようなモデルとつながることが できるようになるのです。そして、望むらくは、彼らの助けを借りて この地球、私たちの住処であり、しかも 私たちだけのものでもない地球で生きる術を学ぶのです。どうもありがとう (拍手)

最後に

バイオミミクリー(生物模倣技術)は新しい分野。造ることを始めたのは私達が最初ではない。バイオミミクリー技術者たちは自然の見習い徒弟。新幹線はカワセミをまねたら速度が10%向上し、電力が15%削減された。病院の壁はガラパゴスザメをまねたら表面に細菌が付着しなくなった。植物や殻を作る生物、 珊瑚は二酸化炭素を建築素材と見なしている。防水で強く、弾力性で呼吸可能なキチン質を利用する甲虫。生命が受け継がれる環境を整える「AskNature.org」。自然からマネぼう

和訳してくださった Masahiro Kyushima 氏、レビューしてくださった Kayo Mizutani 氏に感謝する(2009年7月)。

小さき生物たちの大いなる新技術 (ベスト新書)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>