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特別会計の資産負債差額、繰越利益・本年度利益 「埋蔵金」入門

「経済低迷の主因は財務省と日本銀行の経済オンチにある」著者は語りかける。ここでは、高橋洋一『霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」』を5回にわたって要約し、高校1年生からわかる日本経済入門について理解する。第1回は、埋蔵金とは何か。

埋蔵金の意外な名付け親

埋蔵金(特別会計の資産負債差額)の名付け親は、自民党の財政改革研究会(財改研)、いわゆる与謝野馨研究会だった(特別会計には資産負債差額がある 「埋蔵金」とは何か参照)。

 

歌って踊れるエコノミスト

著者は1980年に大蔵省に入省し、27年間務めてきた。入省3年目に、財政金融研究所(現・財務総合政策研究所)に配属され、そこで著者の上司となったのが、旧日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)から出向してきた竹中平蔵氏だった。当時、六本木のライブハウスなどに行って「歌って踊れるエコノミストになろう」などと冗談を言っていた。

 

財政赤字のトリック

「財政赤字で国が非常事態」というのは一般会計の話としては正しい。しかし、国の予算には一般会計と特別会計の2つがある。一般会計ではフローでも歳出と税収に差があるから、毎年その赤字を埋めるために国債を発行しており、ストックでも800兆円もの赤字があるとしている。一方、特別会計ではフローでもストックもほとんど赤字がない。また、一般会計も資産が500兆円あるため、資産負債差額(純債務)は300兆円にすぎない(日本の純債務は300兆円にすぎない 日本の資産と負債参照)。

 

年金の負債数字はショッキング

年金の負債数字は300兆円以上であり、民間基準で見れば破綻状態である。しかし、「給付を下げる」か「保険料を上げる」ことでバランスをとることができる(年金は決して破綻しない バランスシートで見る民営化と年金参照)。

 

「埋蔵金」が出るわ出るわ

年金以外の特別会計は資産の方が大きく、これがいわゆる「埋蔵金」である。この理由には、一般会計からの持ち出しがあるということである。

 

塩爺の「アドリブ」離れですき焼き

2003年、衆議院財務金融委員会で塩爺(塩川正十郎元財務大臣)が「母屋でお粥をすすっているときに、離れですき焼きを食べている」と言った。母屋(一般会計)が貧しいのに、離れ(特別会計)という離れでは資産で潤っているんじゃないの?と直観的に話したのだ。

 

予算の中の「伏魔殿」

特別会計は複雑で、財務省もほとんど査定していなかった。そこで、著者らがバランスシートを作ったら、資産負債差額という内部留保が約50兆円あった。特に大きかったのが、財政融資資金特別会計12兆円、外国為替資金特別会計8兆円という財務省管轄の特別会計だった。 

 

選択するのは、株主ならぬ国民

こうした資産負債差額(内部留保)の配分を決めるのは国民(株主)である。企業でも準備金の基準は決まっているため、特別会計も総資産の何%と決めていればこうした議論にはならなかった。そこで、2006年に「総資産の10%」という基準を作ったがその根拠は軽薄である。

 

「変人」が財務省に理論勝ち

2007年10月、著者は準備金10%の根拠を財務省に詰めかけ、5%に下げさせた。そして差額で10兆円出てきた。金融のリスクは金融工学によって定量化できるが、当時の財務省にはその知識がなかったのだ。

 

最後に

埋蔵金とは特別会計の資産負債差額のこと。バランスシートをしっかりと作れば、誰にでもわかる。国の予算に必要以上の内部留保は必要ない。金融工学の知識はリスク管理に役立つマーケット・信用・流動性・取引・法的・システム 金融工学とリスク参照)。

次回は、道路特定財源、財政再建 国のお金はどう動くのか—財政入門についてまとめる。

霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」 (文春新書)


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