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納税義務は売上1千万円超から 自営業者のための消費税入門

売上高が1千万円を超えると消費税の納税義務が発生する。すると納付税額を求めるために管理する項目が増え、記帳が煩雑になってしまう。ここでは、そういった煩雑な作業を減らすことができる簡易課税制度など、消費税にかかわる制度についてまとめる。

1 納税義務は1千万超から

消費税の納税義務は、前々年の売上が1千万円を超えた場合に発生する。現状は5%(4%が国で、1%が都道府県に入る)だが、2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げられる予定である。

 

2 課税取引と非課税取引

  • 課税取引:売上に5%の消費税が含まれているとみなされるもの(文筆業など)
  • 非課税取引:取引に消費税が課せられないもの(土地の譲渡や切手の譲渡など)
  • 課税対象外取引:雇用契約に基づく役務の提供(会社が支払う給料など)

 

3 消費税額の計算方法

実際に納める納付額は、課税売上の5%から経費として支払った消費税を差し引くことができる(仕入税額控除)。その金額を求める式は以下の通りになる。売上だけでなく、課税売上、非課税売上、課税された経費、非課税だった経費も管理する必要があるため、記帳作業が煩雑になる。

  1. 売上−非課税売上=課税売上
  2. 課税売上×105分の5=課税売上にかかる消費税額
  3. 課税売上にかかる消費税額−仕入税額控除=納付すべき消費税額

 

4 経費率が低ければ簡易課税で十分

簡易課税制度とは「みなし仕入率」で納付税額を求める制度のこと。この制度を利用するためには2つの要件を満たす必要がある。1つは前々年の課税売上高が5千万円以下であること。もう1つは前年までに消費税簡易課税制度選択届出書を提出していることである。経費率が高いカメラマンのような職業の場合は、通常の原則課税で行った方がよい。

簡易課税制度の事業区分は以下の通り。一般的に利益率が高い(経費率が低い)事業であるほど「みなし仕入率」が低く換算されている。

  • 第一種事業(90%):卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)
  • 第二種事業(80%):小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種事業以外のもの)。ネットオークションの転売益なども含む
  • 第三種事業(70%):農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業も含む)、電気業、ガス業、熱供給業および水道業。第一種事業、第二種事業に該当するものおよび加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除く
  • 第四種事業(60%):第一種事業、第二種事業、第三種事業および第五種事業以外の事業。具体的には飲食店業、金融・保険業など。車を下取りに出した場合の査定額なども含む
  • 第五種事業(50%):不動産業、運輸通信業、サービス業(飲食店業は除く)。第一種事業から第三種事業までの事業に該当する事業を除く

 

最後に

自営業者のための消費税入門として、納税義務の発生基準、課税取引と非課税取引、消費税額の計算方法、簡易課税制度についてまとめた。

複雑なのが複数の事業を兼業で行っている場合だ。例えば文筆業での売上は第五種、ネットオークションでの転売益は第二種、車の買い替えによる下取りは第四種事業売上として処理をしなければならない。その際は下取りの査定額を本体価格の値引額に充当してもらうことで、煩雑な手続きを行わずに済む。こういった実務については税理士に相談することをおすすめする。

次回は法人化についてまとめる。

フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。


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