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ネイサン・ミアボルド 前代未聞の料理

「料理の最中の食べ物の横断面図を見たことはありますか?」ネイサンは語りかける。ここでは、120万ビューを超える Nathan Myhrvold のTED講演を訳し、2438ページに及ぶ前代未聞の料理本を紹介する。

要約

料理本著者(料理本オタク)のネイサン・ミアボルドは自身の研究テーマ「現代の料理」について話をします。その中で素敵な図説(料理真っ最中の食べ物の横断面図)の秘密を明かします。

Nathan Myhrvold is a professional jack-of-all-trades. After leaving Microsoft in 1999, he’s been a world barbecue champion, a wildlife photographer, a chef, a contributor to SETI, and a volcano explorer.

 

1 科学は食べ物と大きく関係している

食べ物を再考することについて 少しお話したいです。私は長年 食べ物に興味がありました。このような大きな本を使って 自分で料理について学びました。フランスの料理学校にも行きました。この世界で 食べ物について考える方法で 書いて学ぶという方法があります。これらの本に書いてあるのはそういう内容です。それは素晴らしいことです。しかし 食べ物の概念が形成された時から ある類のものが存在しているのです。

ここ20年で 人々は気づきました。科学が食べ物と大きく関係していることに。実際 料理の仕組みを理解するために 料理の科学を知らなければなりません。ある程度の化学や物理学などです。しかしそれらの本には出てきません。またシェフが培った多くのテクニックがあり それは美意識であったり 食べ物に対する新しい取り組みであったりします。スペインにフェラン・アドリアというシェフがいます。彼はとても斬新な料理を生みだしました。イギリスのヘストン・ブルメンタールもまた 斬新な料理を生みだしました。こういった人たちがここ20年間で生み出したテクニックは いずれもそれらの本には 載っていません。いずれも料理教室では教えてくれませんでした。それらを学ぶためには 実際にレストランで働かなければなりません。結局 昔からある食べ物への見解は 時代遅れなのです。

 

2 科学とテクニックと超自然を繋げる「断面模型」

そのため数年前に 実際には4年前ですが 私は模索し始めました。科学とテクニックと超自然を繋げる方法はないだろうか。食べ物を今までに見たこともない方法で 人々に見せる方法はないだろうか。そして頑張りました。では我々の成果をお見せしましょう。これは断面模型と呼ばれる図です。実はこれは私が本に入れた最初の図です。このアイデアはブロッコリーを蒸す時に起こる 現象について説明しています。この不思議な見方をすることで ブロッコリーが蒸される間の 現象をすべて見れます。そして 周りにあるそれぞれの小さな記事は ある事実を示します。

期待は二重にありました。1つはブロッコリーが蒸される時に起こる現象を実際に説明できることですが もう1つは もしかしたら人々を魅了して 本来よりも もう少し技術的で もう少し科学的 そしてもう少し料理人っぽいところに 引きずりこめることです。なぜなら その美しい写真があれば たぶんこの小さな記事も宣伝することができます。これは蒸気が出る時間と沸騰する時間が 実際に異なることを説明する記事です。蒸気が出るほうが早いはずです。結果的に 膜状凝縮というものが原因ではないことがわかりました。これがそれを説明しています。

 

3 中華鍋、缶詰の断面図

最初の断面図が上手くいったので 我々は「よし、もっとやろう」となりました。これが2つ目です。我々はなぜ中華鍋があの形をしているか発見しました。この形の中華鍋はあまり効果がないです。これは3回発火しました。しかしある哲学があります。結局 1千分の1秒だけ上手く写ればいいのです(笑)そして缶詰の断面図の1つです。一度 物を真っ二つにしてしまうと ついつい夢中になってしまいます。だからここにフライパンだけでなくジャーの半身もあります。そしてそれぞれの記事が 何が起こっているかを説明しています。この場合 沸騰している缶詰は もうすでに酸性になっているものなのです。圧力鍋で料理するほど 高温で熱しなくてもいいのです。なぜなら 細胞胞子は酸の中では育たないからです。だから塩漬け野菜にはとてもいいのです。ちなみに缶詰の中身がそれです。

 

4 ハンバーガーは炭火ではなく脂肪が旨味を引き出す

これはハンバーガーの断面図です。本に書いてある哲学の1つは どの料理も 他のどんな料理よりも本質的に美味しいことはない です。そのため気前よく ハンバーガーに同じ手入れやテクニックを 施せるのです。ちょうど豪華な料理にやるように そして 出来る限りのテクニックを使って 最高品質のハンバーガーを作ろうとするなら 少しややこしくなります。私の出版が遅れた後 ニューヨークタイムズは記事を出しました。その見出しは「30時間のハンバーガーの待ち時間が さらに伸びました」です。なぜなら我々の究極のハンバーガーのレシピで バンを作ったり 肉をマリネにしたりと色々なことをしていると 約30時間かかるのです。もちろんあなたは実際に30時間働くわけではないです。ほとんどの時間はそこに座っているだけです。

この断面図でしたいことは 人々に今まで見たこともないハンバーガーの景観を見せて ハンバーガーの物理と化学を 説明することです。なぜなら驚くことに そこには物理と化学に関係するものがあるのです。特にハンバーガーの下にある炎にあります。炭火焼きの美味しさのほとんどは 木や木炭からくるものではないのです。メスキート木炭を買っても実際はそれほど変わらないのです。その大半は脂肪を熱分解して燃やすことに起因します。つまりポツポツと落ちて燃え上がる脂肪が その旨味を引き出すのです。

 

5 マシンショップで実際に半分に切った

さて どうやってこれらの断面を作るのか気になるところでしょうか。フォトショップを使うと大半の人が思います。答えは 実は違うのです。マシンショップを使うのです。結果的に物を半分に切るのに最良の方法は 実際に切ってしまえばいいのです。つまり我々は世界最高峰のキッチンを半分ずつ2個持っています (笑) 我々は5000ドルのオーブンを半分に切りました。製造者が言いました 「それを半分に切るのに何が必要なんだい?」 私は答えました 「タダにしてもらうこと」 そしてオーブンを手に入れて少し使ってから 半分に切りました。

 

6 何かを半分に切るともう半分ある

さて今ならどうやってこれらの写真を撮ったか少しわかるでしょう。我々はパイレックス もしくは 耐熱性ガラスを前面に接着しました。赤くて とても熱いシリコンを使いました。素晴らしいことに 何かを半分に切ると もう半分あるのです。だから全く同じ位置で残り半分の写真を撮って 代用として挿入できるのです。そしてその部分はフォトショップを使います。端っこだけですが そのためハリウッド映画のようになります。俳優はワイヤーを使って空を飛んでいますが デジタル処理でワイヤーを消すのです。実際に飛んでいますよね。

しかし ほとんどの場合ガラスをつけていません。ハンバーガーの時もただバーベキューセットを切っただけです。そのため端から落ちる木炭を 何回も元に戻す必要がありました。しかし再び言いますが1千分の1秒だけうまく写ればいいのです。中華鍋の写真では3回火をつけました。中華鍋を半分に切るとあることが起こります。油が火の中に落ちて シューッとなります。料理人の一人はそれで眉毛を失くしました。でもほら 眉毛はまた生えます。

 

7 断面の他に物理も説明している

断面の他に 物理も説明しています。これはフーリエの熱伝導方程式で 偏微分方程式です。偏微分方程式を載せた世界で唯一の料理本を 我々はもっています。それらを味のあるものにするために スチール板で形を作って火の前に置いて このように写真を撮りました。本の中に多くのちょっとした情報を載せてあります。様々な電化製品にワットがあることは 皆さんご存知ですよね。でもジェームズ・ワットについてはそれほど知らないでしょう。でももう大丈夫です。なぜなら彼の人物紹介を入れておきました。小さなパラグラフで 熱の単位をワットと呼ぶ理由とその背景を 説明しています。ワットはスコットランドの蒸留酒製造所で働いていて ウィスキーを蒸留するのにすごい量の泥炭を燃やす理由を 探っていました。

 

8 熱が10%以下になるスウィートスポット

我々はまた多くの計算をしました。私はこの料理本を作るために 何千列もの暗号を書きました。この計算は バーベキューあるいは他の熱源の熱が あなたが離れるにつれて どう変わるかを表しています。つまりあなたが熱源の表面から垂直方向に離れると 熱は下がるのです。左右に動いても熱は下がります。その角の形をした領域を 我々はスウィートスポットと呼んでいます。そこでは熱は10%以下にもなります。そこが本当に料理をすべきところなのです。そしてこの面白い角の形にしました。再度いいますが私の知る限りでは これを説明する最初の料理本です。もしかしたらそれを説明する最後の料理本かもしれません。実は製品を作る方法には 2種類あります。多くのマーケティングをして 消費者討論をしてもらい そして人々が本当に欲しい物を見つけるか あるいは とにかくやってみること。好きなように本を書いて他の人が好んでくれるよう願うのです。

 

9 ハンバーグの処理順序やポップコーンの物理学

ここにはハンバーグの処理順序が書いてあります。極旨のハンバーガーを作りたいときに ひき肉を均一に揃えると効果があるとわかりました。ご覧の通り本当にシンプルです。グラインダーで押し出すときに小さなトレーを置いておけば 小さな口から挽肉がでてきます。それを積み上げて垂直に切るのです。これが完成したハンバーガーです。30時間かけた完成品です。細かいところも我々は全てやりました。レタスには燻煙液が入れてあります。バンの作り方にも一工夫入れてみました。マッシュルームとケチャップも混ぜてみました。

よく見て下さい。ここではポップコーンを使って説明します。ポップコーンは物理学における 重要な事を示しています。美しいと思いませんか。我々はハイスピードカメラを持っていて 本を作る際にたくさん楽しめました。この物理の法則で重要な事は 水が沸騰して水蒸気になる時に 1600倍膨張することです。この現象がポップコーンの中の水分に起こっているのです。これは素晴らしい実例なのです。

 

10 2438ページに及ぶ料理本

では最後に珍しいムービーをお見せしましょう。本にはゲルについての章があります。皆さんはCSIなどのドラマを見ますよね。なのであるレシピを本に入れておきました。弾道ゼラチンのレシピを。さて もしハイスピードカメラをもっていて ブロック型のゼラチンがあれば だれかがこれをやるでしょう (息を飲む) 驚くことに 弾道ゼラチンは 銃で撃たれた時の人間の身体を上手く再現しています。これだから我々は銃で撃たれるべきではないのです。素晴らしいことがもう1つあります。このゼラチンが地面に着くころには 元々の綺麗なブロックの形に戻るのです。

何にせよ これがその料理本です。さあどうぞ 2,438ページです。大きくて素敵なページばかりですよ(拍手) 友達の1人が不満を言いました 「この本はキッチンに置くには大きすぎて可愛すぎる」と だから作りましたよ。6分の1サイズで防水加工をしたものを(拍手)

 

最後に

科学とテクニックと超自然を繋げる「断面模型」。中華鍋、缶詰、ハンバーガーの断面図。炭火ではなく脂肪が旨味を引き出す。断面の他に物理も説明している。ハンバーグの処理順序やポップコーンの物理学。水が沸騰して水蒸気になる時に1600倍膨張する。2438ページに及ぶ料理本

和訳してくださったNaoki Funahashi 氏、レビューしてくださった Hidetoshi Yamauchi 氏に感謝する(2011年3月)。

The基本200 (ORANGE PAGE BOOKS)


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