cymatics

エヴァン・グラント サイマティックスで音を可視化する

サイマティックスを用いることで、イルカの鳴き声の解析や複雑で美しいデザインを創り出すことができます」エヴァンは語りかける。ここでは、55万ビューを超える Evan Grant のTED講演を訳し、音波を可視化するサイマティックスの世界について理解する。

要約

エヴァン・グラントが音波を可視化するサイマティックスのサイエンスやアートの世界を紹介します。イルカの鳴き声などといった複雑な音の解析に有用であるばかりか、複雑で美しいデザインを創出することも可能です。

Evan Grant works with cymatics, the art of visualizing sound, and is the founder of the arts and technology collective seeper.

1 音を可視化するプロセス「サイマティックス」

私はクリエイティブ テクノロジストで、 パブリックインスタレーションを主に仕事にしています。私の情熱を突き動かすものの1つが、 自然を探検し、 自然界に内在する隠れたデータを探索することです。そして私たちの周りにこの潜在的なデータが どこにでも存在していると私には思えます。音や匂い、振動でもなんでも、物事は全て 何らかのデータに変換することが可能です。そして私は仕事を通して 自然界の情報を利用して、それらを明示する方法を探していました。これによって私は サイマティックスという分野に辿り着いたのです。サイマティックスとはご覧のように、 砂や水といった媒体を基本的に振動させることによって 音を可視化するプロセスのことを指します。

 

2 音の共鳴の観測

それでは、軽くサイマティックスの歴史の紹介から始めましょう。始めは音の共鳴の観測が、 ダヴィンチ、ガリレオ、英国科学者のロバート フック そして次にアーネスト クラッドニーによって行われました。そして彼は金属板に砂を敷き詰め、 弦楽器の弓を動かすことで、 右側に見られるようなクラッドニーパターンを創出する実験方法を編み出しました。

 

3 クラッドニー実験の再現

次に、この分野を開拓したのは ハンス イエニーという1970年代の紳士で、 彼は実際にサイマティックスという用語を新しく生み出しました。そして現在、この分野を開拓した人物の1人として紹介したいのが 私の共同制作者で、サイマティックスのエキスパートである ジョン スチュワート リードです。彼は親切にも私たちの為に、 クラッドニー実験を再現してくれました。ここで私たちが見ているのは、 金属板と、今回はそれに、周波数ジェネレーターを合わせた 音響装置に繋がっています。そして周波数が上がるにつれて 金属板に現れるパターンの複雑性も増します。ご覧のように (拍手)

 

4 鏡を通して隠された世界を覗き込むような感じ

サイマティックスのどういう所が私を興奮させるのでしょうか。私にとって、サイマティックスはまるで魔法のツールです。まるで鏡を通して隠された世界を覗き込むような感じなのです。様々な方法でサイマティックスを応用することで 私たちは実際に今まで視覚的に見る事が出来なかった内容を明らかにすることができます。ご覧のような、サイマスコープと呼ばれる装置は サイマティックなパターンを科学的に観測する為に利用されています。科学的な活用方法のリストは毎日増える一方です。

 

5 イルカの言葉の辞書を作ったり、ヒーリングや教育に利用することも可能

例えば、海洋学では、 イルカが発するソナーを可視化することで イルカの言葉の辞書が実際に作られています。そして将来的には彼らがどのように意思疎通しているのか より深く理解することができるでしょう。サイマティックスをヒーリングや教育に利用することも可能です。これは学校の子ども達と制作したインストレーションです。彼らの手が捕捉され、彼らが生み出す 反射のサイマティックパターンを位置づけ、 コントロールすることが可能です。サイマティックスを純粋な美しいアートとして利用することも可能です。

 

6 物事の見方や典型的な形の自然を再構築できる

この画像はサイマティックスの装置を通して ベートーベンの交響曲第9番の演奏の一部を元に作成されたものです。このように物事の見方を大きく変えることが出来ます。これはピンクフロイドの “Machine” を リアルタイムでサイマスコープを通して演奏した時のものです。サイマティックスを通して別世界の自然を見る事もできます。そして実際に典型的な形の自然を再構築することもできます。例えば、左に見られるような、自然に存在する雪の結晶があります。そして右側ではサイマティックスによって作成された雪の結晶を見る事ができます。これは実際のヒトデで、これはサイマティックスで作成されたヒトデです。このようなものが沢山存在します。

 

7 サイマティックスが宇宙の形成に影響を与えていた?

それでは、これらは全て何を意味しているのでしょうか。まだまだ探求すべき物事は多く存在しています。そしてまだ始まって期間も短く、この分野に取り組んでいる人々も多くはいません。それでも音には実際は形というものが存在する点を考えてみてください。そして私たちは音が物質に影響を与え、物質内で形を形成する事実も見ました。では、少々想像を膨らませて、宇宙の形成について考えてみてください。そして宇宙の形成における莫大な音を想像してみて下さい。そしてそれらを想像してみると、もしかしたら サイマティックスが宇宙の形成に影響を与えていたのかもしれません。

 

8 サイマティックスは誰にでも利用できる

それでは、皆さんの為に、 世界中のDIY科学者や、アーティストが作成した とっておきの作品をご紹介しましょう。サイマティックスは誰にでも利用できます。そして私はここにいる皆さんに、是非 皆さんの情熱や知識、技術で サイマティックスのような分野に取り組んで欲しいと思います。そして共同でグローバルコミュニティーを作り、 互いに刺激を与えれば、 見えざるものへの探求を更に進化させる ことができるでしょう。ありがとうございました (拍手)

 

最後に

音を可視化するプロセス「サイマティックス」。クラッドニー実験など音の共鳴の観測から始まった。イルカの言葉の辞書を作ったり、ヒーリングや教育に利用することも可能。物事の見方や典型的な形の自然を再構築できる。サイマティックスは誰にでも利用できる

和訳してくださった Yuki Okada 氏、レビューしてくださった Masahiro Kyushima 氏に感謝する(2009年7月)。

音のなんでも小事典 脳が音を聴くしくみから超音波顕微鏡まで (ブルーバックス)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>