前回は、販売手数料、信託報酬、信託財産留保額 投資信託は手数料のかたまりについてまとめた。ここでは、効率的なゼロ・クーポン債とリスク分散ができるREIT 投資信託について解説する。
1 毎月分配型投資信託
21世紀最初の大ヒット金融商品
21世紀最初の大ヒット金融商品は「毎月分配型投資信託」だろう。毎月分配型投資信託とは、毎月10日(休業日の場合には翌営業日)に、収益が分配される投資信託である。また、半年に1回は、特別な分配金がもらえる可能性もある。2005年には残高10兆円を突破し、2007年以降30兆円前後で推移している。
しかし、毎月の分配にしても特別な分配にしても、資産の一部を分配金として支払っているだけである。つまり、客が自分で引き出す金額と日にちを決めて自分で引き出す手続をするか、投資信託の運用会社が引き出す金額を適用に決めて、毎月決められた日に自動的に渡してくれるかの違いでしかない。また、外国債券で運用する投資信託の場合、為替リスクや金利リスクにもさらされていることも多い。さらに、資産が増えていないときでも分配が行われるため、毎月の分配金が所得税の対象となって税金の分だけコストが高くなる可能性があるのだ。
2 高金利国のゼロ・クーポン債
ゼロ・クーポン債は、毎月分配型投資信託とは対照的なタイプの資産運用商品である。本質的には、毎年の利息を自動的にすべて再投資する仕組みが内蔵されているようなもので、効率的な運用ができる。そのため、外国の高金利に注目して効率よく運用したいと考える人の中には、ゼロ・クーポン債を選ぶ人も多くいる。
発展途上国ゆえの高金利とリスク
発展途上国の国債が高金利な理由は、国としてのリスクが高い(国自体が借金を踏み倒す危険性がある=カントリー・リスク)からである。つまり、海外からの借金を返せなくなって、債務放棄(デフォルト)をする可能性があるのだ。また、発展途上国通貨で運用しようとすると、流動性リスクなどによって為替手数料が高くなりやすい。さらに、高い金利は高いインフレ率を反映している可能性があり(名目金利=実質金利+インフレ率)、高いインフレ率が続く国の通貨は長期的に見れば実質的な価値が大幅に低下する。結果としてその通貨は安くなり、通貨建ての債券も安くなってしまうのだ。
3 マンション投資
不動産投資で毎月分配を得る
不動産投資で毎月分配を得るという方法もある。例えば、マンションの1戸のオーナーとなり、家賃収入を得るというマンション投資である。こうした広告には「年利回り○%」という計算例が示されているが、多くはマンション管理費や修繕積立金や固定資産税などのコストが含まれていない。
4 REIT
REIT(Real Estate Investment Trust)とは、上場不動産投資信託のことで、いろいろな不動産を投資対象にして分散運用する投資信託である。ETFと同じように証券取引所に上場して取引されている。マンション投資などの方法で不動産投資をやるよりは、リスク分散や流動性やコストなどの面から、まだましである。
5 毎月分配型REITファンド
REITにも毎月分配型の商品があるが、前述したように全く魅力のない商品である。少なくとも、販売手数料・信託報酬・信託財産留保額という3つの手数料に見合ったリターンが入る可能性は、かなり少ないといえる。
最後に
毎月分配型投資信託は21世紀最初の大ヒット金融商品。高金利国ではゼロ・クーポン債が効率的。マンション投資は見えないコストにも気を配る必要がある。REITはリスク分散や流動性やコストの面から、まだましな不動産投資。毎月分配型REITファンドは、ひどい商品。目先の利益にとらわれず、効率的に動ける投資家は少ない。
次回は、リスク限定型、元本確保型、ロング・ショート型 流行の投資信託2についてまとめる。
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