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アンドレアス・ラプトポウラス 道路がないなら無人飛行体がある

「世界の10億の人々が季節により道路を失います。インターネットのような仕組みで、このような人々を助けるシステムを作ることができないでしょうか?」アンドレアスは語りかける。ここでは、60万ビューを超える Andreas Raptopoulos のTED講演を訳し、電気無人飛行体による新しい輸送ネットワークについて理解する。

要約

世界の10億の人々が 季節により 道路を失います。インターネットのような仕組みで このような人々を助けるシステムを作ることができないでしょうか?マターネットのアンドレアス・ラプトポウラスはできると考えます。電気無人飛行体を使い、必要としている人へ、薬、食料、必需品などを届ける全く新しい輸送ネットワークシステムを紹介しています。

Andreas Raptopoulos and his colleagues are building the flying internet of things, using drones to carry essential goods to otherwise inaccessible areas.

 

1 世界で10億人が年中通して使える道路のない地域に住んでいる

現在 世界で10億人が 年中通して使える道路のない地域に住んでいます。10億人です。地球上の7分の1の人々が 季節により 周囲から孤立しています。必要な時に薬を届けることもできず 彼らも 生活必需品を手に入れたり 売り物を市場へ送れず継続的な収入を得ることもできません。例えば サハラ以南のアフリカでは 雨期には 85%の道が 利用不可能になります。投資はされているものの 今のままでは 作業が追いつくのには50年かかると予想されています。米国だけでも 6.4億km以上の道路があります 建設にも 維持にも 莫大な費用がかかります。環境に大きな負担をかけ しかも大抵混雑しています。

 

2 最新テクノロジーで改善するシステムを作れないか?

この状況をみて良い方法はないだろうか? と考えました。ここ10年で飛躍的に発展した携帯電話のように 最新テクノロジーで 改善するシステムを作れないでしょうか? 現在 多くの国では銅線を張り巡らせなくても 素晴らしい通信が可能になっています。同じことが 輸送手段でもできないでしょうか?

 

3 整備されていない輸送路が問題

こんなシナリオを考えてみてください。あなたは マリの産科病棟にいて 新生児が緊急に薬を必要としています。あなたは どうしますか? 携帯電話で薬を頼めば すぐに誰かが 応答してくれます。ここまでは良いのです。しかし 薬が届くには 何日もかかります。整備されていない 輸送路が問題なのです。

 

4 自律電気飛行体は2kgの荷物を約10km運ぶことができる

自律型の電気無人機を飛ばせば この薬を 数時間で届けられると考えます。これが自律電気飛行体です。これで 2kgの荷物を 約10km運ぶことができます。ネットワークのほんの一部ですが これが 国 しいては大陸全体を 網羅できるかもしれません。柔軟性の高い 自動物流ネットワークです。物質の輸送ネットワーク 「マターネット」と名付けました。

 

5 自律電気飛行体、地上自動基地、制御システムを利用する

3つの主要なテクノロジーを利用します。1つ目は 自律電気飛行体です。2つ目は 地上自動基地です。飛行体が 長距離飛行の途中で電池を替えたり 荷物の授受を行うための基地です。3つ目は ネットワーク全体を管理する制御システムです。

 

6 無人飛行体は地上基地間を飛行し、着陸・電池交換をすべて自動で行い再び飛び立っていく

各技術を詳しく見ていきましょう。まずは 無人飛行体です。最終的に 荷物の重さ 飛行距離によって 飛行体を使いわけます。現在は 小さなクワッド・コプターを使っています。これで 2kgの荷物を 15分ほどで10km運ぶことができます。途上国で 悪路を 無理やり進んだり 先進国で 渋滞にはまる状況と比べて下さい。自律的に飛行しますが これが大変重要です。飛行体には GPSや様々なセンサーが搭載され 地上基地間を飛行をします。飛行体には 自動で 荷物の積み降ろしや 電池交換をする装置を備えます。無人飛行体は 地上基地間を飛行し 着陸 電池交換をすべて自動で行い 再び飛び立っていくのです。地上基地は 安全な場所に設置され 危険を伴う着地にも安全な環境を確保します。基地の認知は 飛行経路の確立にもつながり ネットワーク全体の信頼性という面からも とても重要です。基地は 充電という役割の他にも 荷物の受け渡し場所として 商業の中心地になっていくことでしょう。最後に ネットワーク全体を管理する制御システムについてです。各基地から観測している気象情報を元に 危険な天候を避けるだけでなく 他のリスクもまた ネットワーク全体のリソースを最大限に活用して 最適な飛行経路が選択されます。

 

7 無人飛行体で2kgの荷物を10km運ぶのにかかる費用は24セント

ここで 実際に飛行をお見せしましょう。去年の夏 ハイチで初めての野外実験を行いました。2010年に起こった地震の後 設置した難民キャンプへ 薬を運んでいます。皆とても喜んでくれました。次に 飛行体をお見せしましょう。これは3000ドルの飛行体です。この価格は どんどん下がっています。猛暑や極寒 また強風といった 厳しい気象下でも飛行可能です。アフリカ またはハリケーンに襲われたニューヨークで このパッケージがあなたの命を救うと想像してみてください。では 費用はいくらだと思いますか?実は この飛行体で2kgの荷物を10km運ぶのにかかる費用は たった24セントなのです(拍手)信じられないことですが 飛行に必要なエネルギーは たったの2セントです。このプロジェクトは始まったばかりです。初めて見た時 これは世界中に ものすごい影響を与えると思いました。

 

8 マンハッタンのおよそ1.5倍の広さでも、100万ドル以下で実現できる

では 世界のどこかで ネットワークを構築したら どのくらいの費用がかかるのでしょう。そこで アフリカのレソトで HIVサンプルを輸送するネットワークを考えてみました。ここで問題なのは どのように サンプルを 収集したクリニックから 分析を行う病院へ運ぶのかです。140平方キロメートルのエリアでのサンプル採取を想定しました。マンハッタンのおよそ1.5倍の広さです。費用は 100万ドル以下で 実現できることがわかりました。通常のインフラ投資と比べてみてください。新しいパラダイムが これを可能にするのです。

 

9 分散型ピアツーピアの順応性の高い双方向型ネットワーク

これが インターネットからアイデアを得て考案した 新しい輸送ネットワークです。分散型ピアツーピアの順応性の高い双方向型ネットワークです。更に インフラ投資額も環境への影響も 低く抑えられます。新しいパラダイムですが 他にも利用方法はあります。恐らく別の場所でも利用できるでしょう。

 

10 インターネットのように24時間365日稼働しても環境への影響は低い

では 正反対な地域を検証してみましょう。我々の住む都市はどうでしょう。世界の人口の半分は 都市に住んでおり 5億人は 大都市に住んでいます。私たちの周りでは 急激な都市化が進んでいます。中国だけで 2年ごとに NYに匹敵する大都市が生み出されています。大都市では 既に道路が整備されていても とても効率が悪く 渋滞が大問題になっています。そこで このような地域には 道路とインターネットの間に存在する 新しい輸送ネットワークが必要だと考えます。まずは 軽量で緊急を要するものから始め 徐々に発展していく中で これまで抱えていた問題を解決し 新しい輸送の形になることを望んでいます。インターネットのように 24時間365日稼働しても 環境への影響は低いのです。

 

11 「面白いが突拍子もないアイデアだ。今すぐに始められる代物ではない」と言われた

この構想を始めた 2年程前には 訪れる多くの人々に「面白いが突拍子もないアイデアだ」と言われ 「今すぐに始められる代物ではない」とも言われました。無人機の話は 敬遠されがちです。西洋社会だけでなく 貧しい国の多くの人たちにとっても 特に 仕事を失う人たちにとって喜ばしいことではないでしょう。

 

12 途上国でも新興国でも先進国でも高い効果が期待できる

では なぜ 着手したのでしょうか。簡単にできるから ではなく ものすごい効果が期待できるからなのです。想像してみてください 携帯電話で情報を得るように 10億人が 物質を得ることができます。次に世界に構築される 壮大なネットワークが 物質の輸送ネットワークだと想像してみてください。途上国の 多くの人々に より良いワクチンや薬が届けられることを望んでいます。HIV、結核、他の伝染病などにも効果をもたらしてくれることでしょう。多くの人たちを貧困から救い ゆくゆくは これが新しい経済取引の形となることを望んでいます。先進国や新興国では この新しい輸送手段で都市がより住みやすくなることを 望んでいます。

 

13 これはもう空想ではありません

まだSFに過ぎないと思っている方々 これはもう空想ではありません。ただ 実現させるためには現実社会を巻き込んでいく必要があります。ありがとうございました(拍手)

 

最後に

実際、Amazonは行おうとしているし(http://wired.jp/2013/12/03/forget-amazons-two-day-shipping-soon-you-can-select-drone-delivery/)、ドバイも実験を開始(http://wired.jp/2014/02/24/city-beating-amazon-drone-delivery-race/)している。もはやSFではない

和訳してくださった Ayako Inoue 氏、レビューしてくださった Misaki Sato 氏に感謝する(2013年10月)。


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