「土星の衛生の1つ、エンケラドスにおける氷の間欠泉から、驚くべきサンプルが採集されました」ポロコは語りかける。ここでは、60万ビューを超える Carolyn Porco のTED講演を訳し、土星の衛星が生命を抱く可能性について理解する。
要約
カッシーニ探査機が土星の衛星の1つ、エンケラドスを通過した際にもたらされた驚くべき新発見について、カロリン・ポロコ氏が語る。衛星にある氷の間欠泉から採集されたサンプルは、地下にある海が生命を抱いている可能性があることを示している。
As the leader of the Imaging Team on the Cassini mission to Saturn, Carolyn Porco interprets and shares the pictures coming back from this fascinating planet, its rings and its moons.
1 土星の小さな衛星の南端にある地質学的に活発な地域「エンケラドス」
2年前、ここTEDで 我々が発見したことをお話ししました。土星について、カッシーニ探査機が発見したことは 異常に暖かく、地質学的に活発な地域が 土星の小さな衛星の南端にあるということでした。その衛星、エンケラドスです。この地域が初めて観察されたのは カッシーニによって2005年に撮影された写真によるものです。これは南極地域です。有名な、タイガーストリップの裂け目が南極を横切っています。そして、最近、2008年の後半になって 再び、その地域が撮影されました。半分が闇に覆われているのは、南半球が 8月の始め頃 つまり、冬であったためです。
2 前生物化学か生命そのものをサポートできる可能性がある
目を疑うような発見がなされたことについてもお話ししました。まさに一生に一度の大発見です。高々と噴き上がるジェットは 南極にある裂け目から噴出されていますが 水が凍ってできた小さな結晶によって形成されており 水蒸気も含んでいます。また、炭素やメタンのような単純な有機化合物も存在します。2年前、 我々の予想についてお話ししました。このジェットは間欠泉である可能性があり、 地上のくぼみ、あるいは 地下にある液体の水の貯水池から、噴出されているのではないか、と。しかし、確証はありませんでした。一方、我々が得た成果から 予想された、この衛星の環境は 前生物化学、あるいは 生命そのものをサポートできる可能性があり、 興味が非常に高まりました。そして、この2年間にわたって さらにエンケラドスを注目してきました。
3 プロパンやベンゼン、シアン化水素やホルムアルデヒドを検出した
カッシーニ探査機によって この衛星を何度も探査しました。ジェットへさらに近く、さらに内側まで さらに濃度が高いところまで そして、今回、 その組成を詳細に計測することができました。その結果、 この衛星から放出されている有機化合物は 以前に報告されたものより、複雑なものであることが分かりました。アミノ酸ではありませんでしたが、 我々は プロパンやベンゼン シアン化水素、ホルムアルデヒドを検出しました。そして、小さな水の結晶は 非常に 凍った塩水のしずくと似通っていたのです。この発見から予想できることは ジェットが 液体の水がたまった窪みから噴出しているだけでなく その液体の水は岩盤との接触があるということです。そして、この状況においては 生命の維持に必要な化学的エネルギーおよび 化合物が供給されている可能性があります。
4 エンケラドスの惑星間間欠泉公園を訪れる日を想像しよう
非常に喜ばしい成果を得ることができました。我々は、2年前よりさらに確信を深めています。つまり この衛星の、南極の地下において 有機体に適した環境、地域が存在している可能性があるのです。もちろん、実際に有機体が存在しているかどうかは まったく別の問題です。それに関しては、再び エンケラドスに 探査機が接近するのを待つべきでしょう。それが近い将来であり、 探査機がその疑問に答えるための装備を備えていることを望みます。それまでの間は、想像をしてみようではありませんか。土星系まで旅をして エンケラドスの惑星間間欠泉公園を訪れる日のことを。それは可能なのですから。ありがとうございます(拍手)
最後に
土星の小さな衛星の南端にある地質学的に活発な地域が「エンケラドス」。プロパンやベンゼン、シアン化水素やホルムアルデヒドを検出した。エンケラドスの惑星間間欠泉公園を訪れる日を想像しよう。
和訳してくださった Kazuyuki Shimatani 氏、レビューしてくださった MaYoMo com 氏に感謝する(2009年2月)。
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