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アレックス・ウィスナー=グロス 知能の方程式

「知能の公式は、F = T ∇ Sτ です。知能は留まっているのが嫌いで、未来の自由度を最大限にするプロセスであるべきなのです」グロスは語りかける。ここでは、140万ビューを超える Alex Wissner-Gross のTED講演を訳し、知能の方程式の意味について理解する。

要約

知能に公式なんてあるのでしょうか?はい、 F = T ∇ Sτです。物理学者そしてコンピュータ科学者であるアレックス・ウィスナー=グロスが、この式が一体どんな意味があるのか、魅力的で、内容のある話で説明します。 (TEDxBeaconStreetにて収録)

Alex Wissner-Gross applies science and engineering principles to big (and diverse) questions, like: “What is the equation for intelligence?” and “What’s the best way to raise awareness about climate change?”

 

1 機械は考えることができるのか?

知能とは何でしょうか? 知能に関する議論について 歴史を振り返ってみると エドガー・ダイクストラの 有名な言葉につきあたります。“機械が考えることができるのか という問いはー 潜水艦が泳ぐことができるか という問いと 同じくらい興味深い” エドガー・ダイクストラのこの言葉は アラン・チューリングなど コンピュータ科学の先駆者達への 批判から出たものです。コンピュータ科学の先駆者達への 批判から出たものです。しかし考えてみるとー “泳ぐ機械”や“飛ぶ機械”を作ることができたー 最大の原動力とは何なのでしょうか? 単に泳ぎや飛行の物理的原理を 理解することによって 単に泳ぎや飛行の物理的原理を 理解することによって このような機械を 作ることができたのです。数年前 私が行った研究はー 知能における物理的な基本原理を 解明することでした。

 

2 エイリアンは地球の知的生命体の存在について考えが及ばない

その前に ある思考実験をしたいと思います。自分が地球のことを何も知らない エイリアンだと思ってください。生物学や神経学 知能について何も知りません。しかし高性能な望遠鏡で 地球を観察することができ かなり長生きなので 何百万年 いや 何十億年も地球を観察できるとします。かなり長生きなので 何百万年 いや 何十億年も地球を観察できるとします。すると変わったものを 見ることになります。千年も観察しているとー 地球に常に 隕石が衝突していることがわかります。しかし紀元2000年頃になるとー 不思議なことに 地球に衝突するはずの隕石はー 衝突前に進路を変えたり 爆発してしまうのです。衝突前に進路を変えたり 爆発してしまうのです。もちろん地球人は その理由は 自らを守ろうとしている事であると― 知っています。衝突を防ごうとしているのです。しかしエイリアンであるあなたは そんなことは いざ知らず 地球の知的生命体の存在について 考えも及ばず なぜ隕石がある時期から 地球に衝突しなくなる― 神秘的なできごとについて 物理的な理論を考えるしかありません。これは知能の物理的本質を 理解することと同じ問題なのです。

 

3 知能の背後にある原理、統一的な公式は存在するか

そこで 数年前に行った研究では 知能の統一的な原理を指し示す 科学の多くの分野に目を向けました。例えば宇宙論では 様々な証拠により この宇宙は 知能が発達し 特に宇宙の将来の多様性が 最大化するようにー うまく調整されていると 示されています。例えばゲームの碁を見てみましょう。だれでも チェスでIBMのディープブルーが 1997年にカスパロフを破ったことを覚えていますが あまり良く知られていないことは 最近の10年間において 分岐因子が非常に多くチェスよりも はるかに難しいゲームである 碁においてもコンピュータが 対戦する人間に 同様な理由で勝ち始めたことです。現状ではコンピュータにとっての 最善の方法は 将来の選択肢を最大にすることなのです。最後の例として ロボットの動作プログラムでは 複雑な仕事を達成するためー 行動の自由度を最大化する能力を 利用しようとする最新技法があります。数年前から問い続けてきたことですが 異なる分野を総合的に考えることで 知能の背後にある原理は 見えてくるのでしょうか?統一的な公式は存在するのでしょうか

 

4 「F = T ∇ Sτ」これが知能の公式

私の答えはイエスです。[F = T ∇ Sτ] E = mc2とよく似ていますが これは知能の公式です。それぞれ何を表しているかというと Fが知能 未来の自由度を最大にする力です。未来の自由度を最大にし 選択肢を広げる際に働くのがー 強度T そして ある時間タウτまでに 到達可能な未来の多様性がSです。要は知能は留まっているのが 嫌いだということです。知能は未来の自由度を最大にし 選択肢を広げ続けます。しかし 自然な疑問が湧いてきます。この式をどう使うのか? 何が予測できるのでしょうか? 人間の知能レベル? 人工知能の進歩予測? これからビデオをお見せします。このたった1つの式に様々な 素晴らしい応用があることを 示します。

 

5 知的行動は長期的なエントロピーの増加と関係があり、発生もしている

宇宙論における最新の研究によると “エントロピー”つまり乱雑さを 増大させる宇宙はー 知的生命体が存在するのに 最適な状態へと方向付けられています。しかし宇宙論的な意味で エントロピーと知能の間に 深いレベルで関係があるとしたら? 知的行動は長期的なエントロピーの 増加と関係があるだけでなく エントロピーそのものから 発生しているとしたら? それを確かめるために開発したのが エントロピカというソフトです。どのような系であっても 長期的エントロピーの増加を 最大化するように設計されています。驚いたことにエントロピカは 指示がなくても 様々な動物知能テストをクリアし 人間が行うようなゲーム さらには 株の取引きすらできたのです。エントロピカの行動を見てください。

 

6 エントロピカは目的を与えていないのに行動する

倒れることなく 人間のように直立二足歩行をし ご覧のようにカートを使って ポールのバランスを取ろうとします。驚くべきことの1つは エントロピカに― 目的を与えていないのに この様に行動することです。自分で判断し ポールのバランスを取ります。こうした能力はヒューマノイドや 障害者のための支援技術に応用できます。一部の動物は手の届かない所に 道具を使いますが エントロピカの場合を見てみましょう。動物を表す大きなディスクを動かし 道具を表す小さなディスクを 狭い場所に動かすことができました。もう一枚のディスクは 元の位置から解放させます。こうした道具を使う能力は 製造業や農業に応用できます。また エサをとるため協力して ロープの端を引っ張る動物もいます。エントロピカもモデルにおいて この課題をクリアできました。こうした協力する能力は 経済計画など多くの分野に応用できます。

 

7 エントロピカは自主防衛、物流、運送などにも応用できる

エントロピカは様々な分野に 広く応用できるのです。例えばポンというゲームを 自分だけで見事にプレイしており ゲームを遂行する能力を 示しています。また つながりを常に失いがちな ソーシャルネットワークにおいて エントロピカは新しい関係を 上手く築いていきます。このネットワークの組織能力は ヘルスケアやエネルギー 知能の分野にも応用できます。船の一群がパナマ運河を発見し 大西洋から太平洋へと 活動範囲を広げる様子も 再現しています。エントロピカは 自主防衛 物流 運送などにも応用できます

 

8 株取引で安く買って高く売る戦略などにも応用できる

最後の例ですが 株取引で 安く買って高く売る戦略を 直ちに発見し シミュレーションの 条件内でこれを実行し 管理可能なやり方で 資産を一気に 増やすことができるのです。こうしたリスク管理能力は 経済や保険の分野に広く応用できます。こうしたリスク管理能力は 経済や保険の分野に広く応用できます。これまで見てきたのは 人間の知能的な認知行動です。これまで見てきたのは 人間の知能的な認知行動です。道具の使用や直立二足歩行 社会的協力といったものです。これらは全てー 未来の行動の自由度を最大にする 1つの式から導かれます。

 

9 機械が私達に敵対し、立ち上がる?

ここでとても皮肉なのが ロボットという言葉を始めて使用した 戯曲“RUR”ではー “もし知能を持つ機械を作ったとしたら ロボットの反乱が起こるだろう” というコンセプトがありました。機械が私達に敵対し 立ち上がるというのです。ここ数十年における 我々の研究の主な成果として ロボットによる反乱について 全く逆の結果が得られたのです。なにも知能を持った機械がー 誇大妄想で世界を支配しようと するわけではありません。全くの逆でー 未来の全ての可能性を コントロールする自然の原理は― 知能よりも基本的で 可能性をコントロールしようとする 自然の原理により 知性というものが発生するのであり その逆ではないのでしょう。

 

10 ゴールシークは未来の行動の自由度を増加させる長期的な動機から直接発生する

もう1つの重要な結果がゴールシークです。よく質問されることですが 目標を探す能力が この原理に どのように従っているのでしょう。その答えは ゴールを探す能力は 次のことと直接的に関係するのです。様々な目的を達成するためにー 待ち構える障害を切り抜けたり 長期的に財産を増やすためー 短期的に資金が減ったとしても 生活資金保障に投資するなど ゴールシークは 未来の行動の自由度を増加させるー 長期的な動機から直接発生します

 

11 知能とは制限をなくすような物理的プロセスであるべき

最後に 有名な物理学者 リチャード・フェインマンの言葉 “もし人間の文明が滅びー 文明を再建するため ある概念を 1つだけ子孫に伝えられるとしたら「私達の周りの物は全て 小さな原子でできておりー 離れた時は引き付け合うが 引っ付いた時は離れる」という概念だ”。この言葉の私の解釈はー 人工知能の製作と 人間の知能の理解に役立つ― 次のようなものです。知能というのは 未来の自由度を最大にしー 制限をなくすような 物理的プロセスであるべきだということです。ありがとうございました(拍手)

最後に

知能における物理的な基本原理を解明すること。F = T ∇ Sτ」これが知能の公式。Fが知能で未来の自由度を最大にする力、選択肢を広げる際に働くのが強度T、そしてある時間タウτまでに到達可能な未来の多様性がS。知能は留まっているのが嫌い知的行動は長期的なエントロピーの増加と関係があり、発生もしている。エントロピカは目的を与えていないのに行動する。知能とは未来の自由度を最大にし、制限をなくすような物理的プロセスであるべき

和訳してくださった Hidehito Sumitomo 氏、レビューしてくださった Tomoyuki Suzuki 氏に感謝する(2013年11月)。

知能と心の科学―知能とは何か?意識とは何か? (ニュートンムック Newton別冊)


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