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シェリル・サンドバーグ 「リーン・イン」のその後1歩踏み出した先

「実業界のトップにいる女性としての孤独な経験について、初めて公式の場で話すのは怖かったです」シェリルは語りかける。ここでは、120万ビューを超える Sheryl Sandberg のTED講演を訳し、2010年のTEDトーク以降に起こったことと女性の現状について理解する。

要約

シェリル・サンドバーグは、2010年にTEDでステージに立つのは怖かったと言います。実業界のトップにいる女性としての孤独な経験について、初めて公の場で話すからです。トークが何百万回も再生され、本もベストセラーになった今、Facebook最高執行責任者(COO)であるサンドバーグは、あのトークの後押しをしてくれた女性、パット・ミッチェルと対談します。サンドバーグは、彼女のアイデアから何が起こったか紹介し、女性が成功に向け いまだに苦戦する状況について話します。

As the COO at the helm of Facebook, Sheryl Sandberg juggles the tasks of monetizing the world’s largest social networking site while keeping its users happy and engaged. A trailblazing journalist, Pat Mitchell is the president and CEO of the Paley Center for Media in New York and LA.

 

1 女性リーダーについて話したきっかけは何だったの?

パット・ミッチェル: TEDWomenの舞台はあのとき以来ですね。シェリル・サンドバーグ: また 皆さんにお会いできて光栄です。これだけ多くの女性が 集まるなんて 皆さんもそうでしょうけど 普段はないですから。嬉しいですよ。TEDでの講演をお受けいただいたとき ソーシャル・メディアについて お話しされるものと思っていましたが 意外にも あなたの心にあったのは― 特に技術やソーシャル・メディア分野で 欠けている女性リーダーのことでした。あなたの中で それがどう昇華され あのTEDトークに結実したのでしょうか?

 

2 当時、女性について話すのは怖かった

当時 ここで女性について 話すのは怖かったですよ。皆さん同様 私も ずっと実業界で生きてきたわけで 女性がどうとか決して言わないんです。気付かれると困るでしょう―自分が女性だって 「女性」なんて口にしようものなら テーブルの向こう側の人たちに 特別待遇を求めているとか 不満を言っているとか思われかねません。さらには 訴えようとしているとかね。ですから―(笑) 私はそれまで 仕事がらみでは一度も 女性であることに触れたり 公の場で話したことはなかったんです。同時に それが良くないことにも 気付いていました。

 

3 「怖がらなければ何ができる?」への私の答え

私が大学を卒業した 20年以上前 同期に女性はいたものの 上の人は全員 男性でした。でも それも変わるはず そう思っていました。あなたの世代が道を切り開いたお蔭で 私たちは平等を手に入れたのですから。でも 違ったんです。時間が経つにつれ 仲間は減っていき 今では― 会議室で女性は私一人なんて しょっちゅうです。ですから いろんな人に 意見を聞きました。TEDWomenで女性について話すべきって? 答えは「ノー」で 「キャリアが台無しになる」 「企業の幹部がすることじゃない」 「まともに取り合ってもらえなくなる」 と言われました。幸いなことに あなたのように 誇るべき支持者も少数ながらいました。ですから自らに問うたのです。マーク・ザッカーバーグ― Facebook設立者の 私の上司が 私たちに投げかけるように 「怖がらなければ 何ができる?」と 私の答えは TEDのステージに立ち 女性やリーダーシップについて話すことでした。そして うまく切り抜けました(拍手)

 

4 3歳の娘が私の足にしがみついて「ママ行かないで」と言う

切り抜けただけではないでしょう。シェリル あのときのことです。二人で舞台裏にいたとき あなたは私の方をふり向き ある話をしてくれました。そのとき― 本番直前でしたが 私は その話をステージでするよう言いました。そうでしたね― 話してくれますか? あれは この旅でも重要な出来事でした。当初 TEDWomenは ワシントンD.C.で開催されていて ここから 前日に飛行機で移動したのですが 当時3歳の娘が 私の足にしがみついて 「ママ 行かないで」と言うんです。パットには 友人だから話しましたが 予定していた講演は全然違って 事実や数字ばかりで 個人的な話は一切なしでした。パットにこう話しました 「今日はすごく辛いわ 昨日 娘が足にしがみついて 行かないでって泣くのよ」 すると パットは 「その話をしなさい」と。私は「TEDのステージで? 冗談でしょう?」という感じでした 「ステージに上がって 娘が足にしがみつくと言えと?」 あなたは そうだと言ったんです。女性のリーダーを増やしたいなら それが どれだけ大変なことか 正直に話すべきだと。

 

5 私自身の課題によりオープンで正直にあることが重要

それで 私はその話をして この旅の重要な転換点になりました。本を執筆したときも 同じことがあったんです。書き始めて第1章ができあがり 出来ばえに満足していました。データと数字がぎっしりのものです。マサイ族の母系制や その社会学的特徴に 3ページを費やしていました。夫はそれを読んで 「もうお腹いっぱいだよ」と(笑) 誰も こんな本なんか 読みませんよね。それで もっと正直にオープンになり 私自身の話をしなければ いけないと気づきました。ここぞという場面で自信が持てないとか そんな私の話です。離婚したことや 職場で大泣きしたこと。今でも 疎外感や後ろめたさを 覚えることも 私の旅は このステージに始まり 『リーン・イン』や団体設立につながりましたが 重要なのは こうした課題に よりオープンで正直にあることです。自ら示すことで 他の女性にもそうなってもらい 真の平等に向けて 皆で一緒に歩んで行けるようにするのです。

 

6 様々な障害や考えを異にする人とも向き合いながらの経験

あなたの本が 最も心を打つ理由の一つは― 人々を揺さぶり 世界中で反響を呼んだ 理由の一つだとも思うのですが― 自分自身をさらけ出し しかも 隠し立てすることなく― 他の女性が知っておくべき とても重要なことを分かった上で― 多くの人に共通する課題を 経験したことを書いているからでしょう。様々な障害や 考えを異にする人とも 向き合いながらの経験です。さて あなたがプライベートな部分も さらけだすと決め あなたは こうした問題を解決する いわば専門家のような 立場になられた。そのあたりについて伺えますか?

 

7 TEDトークの後、本を書くなんて思ってもみなかった

TEDトークのあと 何が起こったかというと― 本を書くなんて思ってもみませんでした。作家でも 文筆家でもないですから― トークは 何度も再生され 人々の人生に影響を与え始めました。まもなく私は ある女性から 素晴らしい手紙を受け取りました。その手紙によると 彼女は 職場での大きな昇進の機会を断り その話を親友にしたところ その親友に このTEDトークを 強く勧められ 実際に見たそうです。そして 翌日 彼女は昇進を受け 帰宅後 彼女は夫に 買い物リストを渡しました(笑)「私は これができるんだ」と。

 

8 実業界の女性以外の環境にいる人にも影響を与えていた

私にとって重要だったのは― 実業界の女性だけではなかったことです。実業界から色々な声を頂戴し 多くの方に影響も与えましたが それとは違う環境にいる方々にも 影響を与えていたのです。あるお医者さんとお会いしました。ジョンズ・ホプキンス病院の指導医の彼は― 私のTEDトークを見て 初めて気付いたそうです。彼が指導する医学生の半分は 女性だと言うのに 回診のとき 男性ほど 女性は発言をしていなかったのです。彼が注意して見ると 質問をしても手を挙げるのは男性だけでした。そこで 女性に もっと手を挙げるよう言いました。でも 効果は ありませんでした。そこで 皆に 挙手方式はやめ 指名して行くと宣言しました。男性も女性も 平等に当てて行きます。すると― 女性は 男性と同じか それ以上の出来でした。これでちゃんと評価を 伝えられたそうです。それから ある女性は専業主婦で 近所に良い学校がありませんでした。会社勤めの経験はないものの 彼女は 私のTEDトークに刺激を受け 学校に行き 子どものために 良い先生を雇うよう交渉を始めたのです。あのとき 私は声を上げようと していたのだと思いますし ほかの女性も男性も これを通じて 声を上げることができました。それで 私はトークの後 執筆に取りかかったのです。

 

9 リーン・イン(一歩踏み出すこと)の専門家になった

本にも 明確に強く表れている通り あなたは声を上げました。でも それだけではなく あなたが学んだことを共有し 他の人の経験も 共有してくれました。それこそ 私が考えていたことで― あなたが専門家になったんだと思います。リーン・イン(一歩踏み出すこと)のね。どのように感じましたか? 人生ではどんな意味が? 単に本や ベストセラー、人気トークを 世に出しただけでなく ムーブメントも起こしました。職場での行動を 文字通り 「リーン・イン」と 言うようになったんです。とても嬉しく光栄に思います。それこそ まさにスタート地点で 自分が専門家か そもそも専門家がいるのか わかりませんが 徹底したリサーチを行いました。あらゆる研究に目を通し 資料もじっくり読みました。教訓はとても明白でした 分かっていることはこうです。世界中で女性をリーダーから 遠ざけているのはステレオタイプです。衝撃的なことに 「リーン・イン」はグローバルです 世界各地で この話をしました。当然 文化は違います。国内でさえそうですし 日本、韓国、中国、アジア、ヨーロッパ どれも全然違います。でも ジェンダーは同じです。世界中の どんな文化においても 男性は強く、主張し、積極的で 発言力があるとされ 女性は 求められたときだけ話し 他人を助けるものだとされます。そして 世界中で 女性は― 「威張っている」と言われます。どの言語でも 女の子には 「威張っている」という 表現がありますが そのような言葉は 男の子には使いません。男の子がリードしても それに否定的な表現はありません。当然のことだからです。でも女の子なら 「威張っている」のです。ここでは男性は少数派ですが ご容赦下さい。

 

10 女性の方で職場で積極的過ぎると言われた方は?

男性の方には 男性代表ということでお願いします。職場で 積極的過ぎる と言われたことのある方は? いつも少ないんです(笑) まあ5%ですね。男性の皆さん 覚悟してください。女性の方で 職場で積極的過ぎる と言われた方は?(笑) 世界中 どの国で聞いても こんな感じでした。データによく 裏付けされているわけです。女性は男性よりも積極的なのでしょうか? いいえ もちろん違います。単に色眼鏡で 人を見ているだけです。仕事で成果を出し リーダーシップを発揮する姿は それが男性であれば 「リーダー」に見られますが 女性なら 「威張っている」のです。幸いなことに これを認めれば 私たちは変われます。

 

11 「経営者並みのリーダーシップがあるだけ」

この旅を通じて 最高に幸せと感じた ひと時は 出版後 シスコ社CEOのジョン・チェンバースと ステージに立ったときです。私の本を読んでくれた彼は 共に登壇し 女性もいる経営陣の前で 私を招き こう言ったのです 「私たちも 私も偏見はないと思っていました。でも この本を読んで気付きました 私たち―私の会社も言っていたのです。女性管理職は皆 積極的過ぎると。そこで このステージに立って お詫びします。同じことは繰り返さないと お約束します」 それ 知っている人全員に 送りたい感じですね(拍手)ジョンの発言は 会社のためを思ってのことです。こうして偏見を認めてこそ 変われるのです。ですから 誰かが女の子を 「威張ってる」なんて言っていたら その人のところに行き 満面の笑みで こう言いましょう 「その子は威張ってないわ。経営者並みのリーダーシップがあるだけよ」(笑) お嬢さんにもそう言っているんでしょうね。

 

12 対話は増えているが、大事なのは行動

―もちろん あなたが本に集中し― 本を書かれた理由は 対話を促すためでした。つまり 問題を日の目にさらし 事実に向き合おうと言うのです。これだけ門戸が開かれ たくさんの機会がある時代に 女性は まだリーダーから 遠い場所にいるという事実に 本が出版されてから 数ヶ月が経ちました。『リーン・イン』では この現状に焦点を当て まだ課題は残っているが その多くを自分の問題として捉え 自らを見つめ直すべきと提言しました。その後 どんな変化が? 何か変化は 見られたでしょうか? 確実に対話は増えています。素晴らしいことです。でも 私―いえ 皆にとって 本当に大事なのは「行動」です。どこに行っても CEOの方々― たいていは男性ですが―に言われます。「君のお蔭で お金がかかるよ。女性が皆 男性と同じ給料を要求するからね」 私の答えは 「ちっとも悪いと思わないわ」(笑) 全くですよ。女性は男性と同じ給料で当然です。行く先々で 女性から 「昇給を求める」と聞きます。行く先々で 女性から 「夫婦関係が良くなっている」 「家事をもっと助けてもらい 仕事でも 昇進を求める」と聞きます。重要なのは 自ら信じること。小さなことでもいいんです。ある州知事の方には 女性の多くが 文字通り部屋の隅に 座っていることに 気付かなかったと言われました。今では 女性スタッフ全員を テーブルに着かせると決めました。本にあわせて立ち上げた団体 「リーン・イン」は 女性や男性の 小さなグループ― サークル作りを手助けしています。10名でも何名でもいいのですが 皆で1ヶ月に1回会うのです。今頃までに500のサークルが できれば最高だと思っていました。約10名かける500ですよ。実際は 世界50ヶ国で 1万2千以上のサークルができています。それは 素晴らしいですね。

 

13 私たちが望むべき変化とは?

毎月欠かさずに 会合を重ねる人たちの中で あるグループに会いました。北京でのことです。29歳か30歳の女性の集まりで 北京初の「リーン・イン」サークルです。何人かは とても貧しい田舎の出身です。29歳の彼女たちは 世間では「残り物」と言われています。まだ結婚して いないからです。月に1度の集まりを 重ねることで 彼女たちは 自分探しをしています。キャリアで何を目指すかや どんなパートナーがほしいかなどです。彼らを前に 順番に自己紹介を始めました。それぞれ 名前と出身を言いました。私は「シェリル・サンドバーグです。これが私の夢でした」と言い 泣き始めて しまいました。そう 私は泣くんです。前にもお話ししましたね。世界の中心から遠く離れた 田舎の村で育った女性は 結婚したくもない相手と 結婚するよう言われてきました。でも 今は月1度仲間に会い 世間が押しつけるものを拒み 自分なりの人生を 探すことができています。これこそ 私たちが望むべき変化です。

 

14 世界中の女性はもっと自信を持つ必要がある

このメッセージが世界共通なのに 驚かされたことはありますか? この本が世に出たとき 多くの方が考えたと思うんです。これは 若い女性が人生を歩む上で 大切な教科書になると。若い女性こそ この問題に向き合い 来たる障害を予想し認識し 包み隠すことなく 話し合わないといけません。まさに こうした女性のためです。実業界でキャリアを積む人もです 今や この本は田舎や開発途上国でも 読まれています。何か驚いたことはありますか? 新しい気付きがあったでしょう。この本は 自信と平等について 書いていますが やはり 世界中の女性は もっと自信を持つ必要があるのです。世間は 私たちは 男性と違うと言います。世界中どこででも 男性は 仕事と家庭を両立できるのに 女性は どちらかだけです。どうやって両立させているかなんて 男性は聞かれないでしょう(笑)ここで 再び 会場の男性陣に質問です。どうやって仕事と家庭を両立させているか 聞かれた人は? (笑) 男性だけです。女性の皆さん どう両立させているか聞かれた方は? 男性は両方できて当然なんです。仕事も 子どもも持てます。でも 女性はできません。おかしなことです。アメリカを含め 世界中どこでも 大多数の女性は フルタイムで働き 子どももいるんですから。このメッセージの重大さを 皆 本当に理解していないのです。

 

15 リーダーや発言権は男性のもの?

マイアミで 元セックスワーカーのための 集まりができました。『リーン・イン』を活用して 未来のある人生に戻れるよう 支援をしています。売春あっせん業者から助けるのです。テキサスの「成功のための服装」を 提供するグループでは この本を使い 高卒女性の 就労支援をしています。遙か彼方のエチオピアにも サークルがあります。こうした平等のメッセージは― どれほど「女性だから無理」と言われているか、どれだけ「リーダーや発言権は 男性のものだ」とされているか 私たち皆に影響を与えるもので とても普遍的なことだと思います。TEDWomenも そうなのですが これは 信じるべき目標に向け 私たちを結集させてくれます。より多くの女性 より大きな声 より平等に という目標です。

 

16 「威張っている」という言葉をなくし「フェミニスト」を復活させるべき

またTEDWomenでの講演に 招かれたとしたら この経験から 個人的に何を得て この旅を通して 女性 そして男性について 何を学んだと 話しますか? そうですね。強く言いたいことは― より強く言える と思いますが― 現状に甘んじては いけないことです。まだ現状では不十分で 変化の速さも十分ではありません。TEDトークや 本の出版後 米国国勢調査の新しい統計が出ました。どうだったと 思われますか? 米国における男女の賃金格差は ちっとも変っていません。男性1ドルに対し 女性は77セント 黒人女性なら 64セントで ラテンアメリカ系女性なら 54セントです。これらの数字が 最後に上がったのはいつでしょう? 2002年です。ずっと停滞しているんです。色んな意味で 私たちは このことに 正直になれていないと思います。色んな理由があるでしょう ジェンダーは話しにくいことですし 本当は受け入れるべきなのに 「フェミニスト」という言葉も敬遠してしまいます。「威張っている」なんて言葉は なくして 戻すべきは― (拍手) ここは強調したいと思いますが 「威張っている」という言葉をなくし 「フェミニスト」を復活させるべきです。必要なんですから (拍手) 私たちは皆 もっと踏み出さないといけませんね。もっと踏み出しましょう。シェリル ありがとう 一歩を踏み出してくれて ありがとうございました (拍手)

 

最後に

2010年当時、TEDで女性について話すことは怖かった。 3歳の娘から「ママ行かないで」と言われる。女性のリーダーを増やしたいなら、それがどれだけ大変なことか正直に話すべき。自分自身の課題によりオープンで正直にあることが重要。「威張っている」という言葉をなくし「フェミニスト」を復活させよう

和訳してくださった Yuko Yoshida 氏、レビューしてくださった Mari Arimitsu 氏に感謝する(2013年12月)。

Lean In: Women, Work, and the Will to Lead


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