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アーサー・ベンジャミン 「フィボナッチ数の魅力」

「数学は論理的かつ機能的そして…スゴいのです」アーサーは語りかける。ここでは、150万ビューを超える Arthur Benjamin のTED講演を訳し、フィボナッチ数列の隠れ性質と数学のおもしろさについて触れる。

要約

数学は論理的かつ機能的そして・・・スゴいのです。数学マジシャンのアーサー・ベンジャミンが探るのは、不思議で奇妙な数の集合「フィボナッチ数列」の隠れた性質です。(それに数学は想像力を刺激することだってできるのです!)

Using daring displays of algorithmic trickery, lightning calculator and number wizard Arthur Benjamin mesmerizes audiences with mathematical mystery and beauty.

 

1 数学を学ぶ理由は計算、応用、発想するため

なぜ数学を学ぶのでしょうか? 本質的には3つの理由があります。計算するため 応用するため そして 発想するためです。発想に時間をかけないのは 残念なことですが・・・

 

2 数学とはパターンの科学

数学とはパターンの科学です。ここから論理的 批判的 創造的な 考え方を学べるのです。一方 学校で習う数学は 効果的に意欲を高めているとは言えません。数学を勉強する理由を生徒がたずねても 授業で いつか使うからとか テストに出るからと言われることも多いのです。でも 時々でいいから 面白くて美しくてワクワクするから 数学を学ぶという機会がもてたら 素敵だと思いませんか。でも そんな機会の作り方が わからないという声も聞きます。そこで私のお気に入りの数から ちょっとした例を挙げましょう フィボナッチ数です(拍手)ここにもフィボナッチ・ファンがいますね。素晴らしい。

 

3 フィボナッチ数は自然界にあふれている

この数列はいろいろな角度から 楽しむことができます。計算の面では わかりやすい数列です 1足す 1は 2で 1足す 2で 3 ― 2足す 3で 53足す 5で 8と 続きます 「フィボナッチ」の本名は ピサのレオナルドです。彼の著書『算盤の書』でこの数列が紹介されました。現在使われる計算方法は この本を通して西洋世界に伝わりました。応用の点から言うと フィボナッチ数は 自然界にあふれています。花びらの数は普通 ― フィボナッチ数です。ひまわりの花やパイナップルに見られる らせんの数も フィボナッチ数が多いです。

 

4 最も想像力をかき立てられるのはこの数列の美しい規則性

この数は さらにいろいろなものに見出せます。ただ最も想像力をかき立てられるのは この数列の美しい規則性です。お気に入りを一つ紹介します。平方数は 皆さん お好きですよね(笑)。フィボナッチ数の最初のいくつかを それぞれ 2乗してみましょう。1の 2乗は 1 ― 2の 2乗は 4、3の 2乗は 9 ― 5の 2乗は 25と続きます。さて 連続するフィボナッチ数を 加えると次の数を得ることが できますよね。そういう作り方ですから。でも 2乗した数 同士を 加えても何も起こらないと思うでしょう。でも ご覧ください 1 + 1 = 2 ― 1 + 4 = 5 ― 4 + 9 = 13 ― 9 + 25 = 34 になり このパターンが続くのです。

 

5 フィボナッチ数を2乗したものを最初から足していくと…

実は もう一つあります。フィボナッチ数を2乗したものを 最初から足していってみましょう。どうなるでしょうか 1 + 1 + 4 = 6 です。これに 9を加えると 15になります。25を加えると 40に 64を加えると 104になります。出てきた数を調べましょう。フィボナッチ数にはなっていませんが よく見ると フィボナッチ数が 隠れていますよ。わかりますか?ご覧に入れましょう 6 = 2 x 3、15 = 3 x 5 ― 40 = 5 x 8 です 2 3 5 8 ・・・わかりますか?(笑)フィボナッチ数ですよね。

 

6 なぜそうなるかを理解すればさらに楽しくなる

さて こんな規則性を見つけるのは面白いですが なぜそうなるかを理解すれば さらに楽しくなります。一番下の方程式を見てください。なぜ 1 1 2 3 5 8 の平方数を足すと 8 x 13 になるのでしょうか。簡単な図で示します。1 x 1 の正方形から始めて 隣に 1 x 1 の正方形を置きます。合わせると 1 x 2 の長方形ができます。その下に 2 x 2 の正方形 ― 隣に 3 x 3 の正方形を置き また下に 5 x 5 の正方形 ― 隣に 8 x 8 の正方形を置くと 大きな長方形が出来ます。

 

7 面積を2種類の方法で計算できる

さて 簡単な質問をしましょう。長方形の面積は? 一つのやり方は 面積は正方形の面積の 合計ですね。そう作ったのですから。1の2乗プラス 1の2乗プラス 2の2乗プラス 3の2乗プラス ― 5の2乗プラス 8の2乗ですよね。これが面積です。一方 これは長方形ですから 面積は たて x よこ です。たては 8ですね。よこは 5 + 8 なので 次のフィナボッチ数である13です。だから面積は 8 x 13 です。面積を2種類の方法で 計算できました。結果はお互いに同じなので 1 1 2 3 5 8 の平方数を足すと 8 x 13 になると言えるのです。

 

8 大きい方の数を小さい方の数で割ると「黄金比」に近づく

さて このプロセスを続けると 13 x 21や 21 x 34といった長方形を 作り続けることができます。では今度は 13を 8で割ってみると 1.625になります。大きい方の数を小さい方の数で割ると その結果は次第に およそ 1.618に近づいていきます。この数こそ「黄金比」と呼ばれる比率です。多くの数学者 科学者 芸術家達を 何世紀もの間魅了してきた数です。

 

9 考え方を学ぶ時に数学を応用することが重要

今回 この題材を取り上げた理由は 数学の大半がそうであるように 美しい部分があるからです。ただ学校で このような美は あまり注目されません。計算の仕方は長い期間をかけて学びますが 実際に応用することを忘れてはいけません。とりわけ重要なのは考え方を学ぶ時に 数学を応用することです。

 

10 数学とは xの解を求めるだけでなく、理由 “why” を解明する学問

一言でまとめるとすれば こうなるでしょう 「数学とは xの解を求めるだけでなく 理由 “why” を解明する学問である」どうもありがとうございました(拍手)

 

最後に

フィボナッチ数は自然界にあふれている。ひまわりの花やパイナップルに見られるらせんの数もフィボナッチ数が多い。黄金比の背景にはフィボナッチ数列がある。数学は「なぜ」を解明する学問

和訳してくださった Kazunori Akashi 氏、レビューしてくださった Yuko Yoshida 氏に感謝する(2013年11月)。


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