「断捨離」という言葉が流行って久しい。しかし、整理整頓はなかなか苦手という人も多いのではないだろうか。ここでは文書と文書をしまう場所であるファイルとディレクトリに関する基礎知識を3つ選び、コンピュータにおけるデータ管理のしくみについて解説する。
なお、情報処理推進機構のシラバスにおいては「46.ファイルシステム」に対応している。
1 ファイルとは文書のこと
アプリケーションソフトで作った文書(データ)は、ファイルとして補助記憶装置に記録される。
データの種類と代表的なファイル形式
共通フォーマットとして広く利用されているファイル形式には下記がある。
- テキスト形式:文字コードと改行やタブなど、一部の制御文字のみで作られるファイル形式
- CSV形式(Comma Separated Values):個々のデータである文字や数字をカンマ(,)で区切り、行と行を改行で区切ることで、表形式のデータを保存することに特化したファイル形式
- PDF(Portable Document Format):画像が埋め込まれた書類をコンピュータの機種やOSの種類によらず、元の通りに再現して表示することができる電子文書のファイル形式
- 画像用のファイル形式:BMP(そのまま保存)、JPEG(画像圧縮形式・不可逆圧縮)、GIF(画像圧縮形式・可逆圧縮)、PNG(画像圧縮形式・万能)
- 音声用のファイル形式:MP3(音声圧縮形式・不可逆圧縮)、MIDI(デジタル楽器演奏データを保存)
- 動画用のファイル形式:MPEG(動画圧縮形式・不可逆圧縮)
マルチメディアデータの圧縮と伸張
画像や音声、動画などのマルチメディアデータは、そのまま保存すると膨大なデータ量になってしまう。そのため、なんらかの圧縮技術を用いて、データサイズを小さくして保存する必要がある。その圧縮されたファイルを開くときは、逆方向の伸張という展開作業を行って、元のデータを復元するのである。
2 文書をしまう場所がディレクトリ
ディレクトリとは、ファイルをグループ化して整理するもの。補助記憶装置の中は、ディレクトリで管理されている。
ルートディレクトリとサブディレクトリ
ルートディレクトリ(/、¥)とは、階層構造の一番上位に位置するディレクトリのこと。サブディレクトリとは、他のディレクトリに含まれるディレクトリのことである。このように、ディレクトリはファイルだけでなく他のディレクトリも入れることができる。
カレントディレクトリ
カレントディレクトリとは、自分が今開いて作業しているディレクトリのことである(カレントとは「現在の」という意味)。また、カレントディレクトリを含む1段階上のディレクトリのことを、親ディレクトリと呼ぶ。
3 ファイルの場所を示す方法
ファイルは、ファイルへのパスを用いてその場所を指し示す。パスとはファイルまでの場所を指し示す経路である。パスには、ルートディレクトリからの経路を書き記す絶対パスと、カレントディレクトリからの経路を書き記す相対パスという2種類の書き表し方がある。
絶対・相対パスの表記方法
パスを表記するにあたっては、次の約束事に従う。
- ルートディレクトリは「/」または「¥」で表す
- ディレクトリと次の階層との間は「/」または「¥」で区切る
- カレントディレクトリは「.」で表す
- 親ディレクトリは「..」で表す
絶対パスにおいての3.4.、相対パスにおいての1.は、まず関係がない。
最後に
ファイルとディレクトリについて、ファイルの定義(文書)、ディレクトリの定義(文書をしまう場所)、ファイルの場所を示す方法についてまとめた。
ブログ初心者は特に、WordPressなどでローカル開発環境を作る際などで、「ルートディレクトリにファイルを置く」といった表現で混乱することも多いだろう。ファイルをしまう場所がディレクトリということを覚えておくだけで、こういった混乱は防げると思う。また、最近ではファイル制限なしで巨大ファイルを直接相手に送信できるフリーソフト「zeZebra」といった様々なサービスが提供されているが、ファイルの原理を知っておくことでより安全にサービスを利用することができるだろう。
次回はハードディスクについてまとめる。
|
キタミ式イラストIT塾 「ITパスポート」 平成24年度 CBT対応 |