「安く仕入れて高く売る」商売の基本は単純である。しかし会計となると、費用と利益、在庫管理、財務諸表といったカタチで正確にその数字を捉える必要が出てくる。ここでは、企業経営の成績書である財務会計の基礎知識についてまとめる。
情報処理推進機構のシラバスにおいては「3.会計・財務」に対応している。
1 費用と利益
売上高を伸ばし、費用を抑えることで、企業の利益は大きくなる。
費用には固定費と変動費がある
- 固定費:売上に関係なく発生するお金(人件費や事務所の賃料、光熱費など)
- 変動費:売上と比例して増減するお金(原材料や部品の購入費など)
損益分岐点
損失(赤字)と利益(黒字)とが分岐するところ。売上高−(変動費+固定費)=0 になるところ。
変動比率と損益分岐点
- 変動比率:売上に対する変動費の比率(変動費/売上)
- 損益分岐点:(損益分岐点売上高×変動比率)+固定費
2 在庫管理
売るたびに仕入れ値を確認するのは現実的でないため、在庫計算にはルールがある。
- 先入先出法:先に仕入れた商品から、順に出庫していったとみなす計算方法
- 後入先出法:後に仕入れた商品から、順に出庫していったとみなす計算方法
- 移動平均法:商品を仕入れる度に、残っている在庫分と合算して平均単価を計算し、それを仕入原価とみなす計算方法
3 財務諸表
取引に関係する資産、負債、資本、費用、収益といった5つの要素を集計し、企業のフトコロ事情を表すものを財務諸表という。
貸借対照表
資産、負債、資本を集計したもので、「資産=負債+資本」の関係を1つの表にまとめたもの。バランスシート(Balance Sheet:B/S)とも呼ばれ、企業の財政状態がわかる。資産が資金運用を表し、負債・資本が資金調達を表す。
参照:Wisdom
損益計算書
費用と収益を集計したもので、「収益−費用=利益」の計算をまとめたもの。ピーエル(Profit & Loss:P/L)とも呼ばれ、会計期間における利益や損失を明らかにできる。利益の種類には以下のものがある。
- 売上総利益:売上高−売上原価。荒利。最も基本となる利益
- 営業利益:売上総利益−販売費および一般管理費。本業の儲け
- 経常利益:営業利益+営業外収益−営業外費用
- 税引前当期利益:経常利益+特別利益−特別損失
- 当期純利益:税引前当期利益−法人税等。最終的に残った利益
参照:会計学を学ぼう!
最後に
進路指導の先生のための働き方入門—会社員と自営業の違いでも述べたが、財務会計の知識があると、今の自分の仕事の価値や役割について、シビアに考えることができる。会社員にとっては、給料をもらうだけの仕事ができているかという視点、自営業にとってはどうすれば最終的な利益(稼ぎ)を残すことができているのかを、客観視することができる。当然費用と利益の知識もかかわるし、在庫を多く持つ商売の場合は在庫管理の知識が必須となる。
自らの立ち位置を確認するためにも、財務会計の知識は役に立つだろう。
16回にわたってITに関する基礎知識をまとめた。下記のきたみりゅうじ氏の著書は、こういった内容についてかわいらしい絵とともに解説してくれている。よければ手に取ってみてほしい。ここまで読んでくださった読者の役に立てれば嬉しい。
|
キタミ式イラストIT塾 「ITパスポート」 平成24年度 CBT対応 |