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アンドリュー・マカフィー 未来の仕事はどうなって行くだろうか?

「人類が創ろうとしている世界は、ハイテクだらけになって仕事がどんどん減る世界です」マカフィーは語りかける。ここでは、140万ビューを超える Andrew McAfee のTED講演を訳し、未来の仕事とその仕事をつかむための教育について理解する。

要約

そう、恐らく人型ロボットが人間の仕事を、少なくとも今ある類の仕事を、奪ってしまうだろうと経済学者アンドリュー・マカフィーは示唆します。 未来を予見したトークでは、未来の仕事がどうなって行き、未来の仕事を掴むために次世代をどう教育するべきかじっくり考えます。

Andrew McAfee studies how information technology affects businesses and society.

 

1 今ある仕事はますます見つからなくなる

小説家のジョージ・エリオットは数ある過ちの中でも 予言が最も余計なものだと 警告しています。20世紀でたとえれば この小説家に匹敵すると皆さんも認めそうなヨギ・ベラもこれと同じ考えでした。彼も 「予測するのは難しくて 将来については特に難しい」と言っています。

今からその忠告を無視して ひとつ非常に具体的な予測をします。人類が創り出しつつある世界では まるでSFかと思うようなものを もっともっと目撃するようになり 今あるような仕事はますます見つからなくなります。もう今にでも 車が自動で走るようになります。そうなれば トラック運転手は今ほど要らなくなります。Siri をワトソンに繋いで 現状ではカスタマーサービスやヘルプデスクで 障害対応時や原因診断時に 行われているタスクをワトソンで自動化しようとしています。すでに R2-D2 を使っていて ボディをオレンジ色に塗って倉庫で荷物棚を 移動するタスクをさせています。そうなれば倉庫を右に左に移動する ほとんどの人々は要らなくなります。

 

2 仕事はどんどん減る世界

さて これまで約200年の間今 私がしている話と全く同じ話を いろんな人が言ってきました― 近い将来 技術革新のせいで失業する時代が来る ― 丁度2世紀程前には機械打ち壊し運動が起こり 英国の織機械を壊してまわりました。でも みんな間違っていました。先進国の経済はこれまで ほぼ完全雇用を保って 順調に推移してきました。

こんな批判的な質問が浮かんできます。なぜ今回は違うのでしょうか?本当に違うとしてです。今回が異なるのはほんのここ数年だけを見ても 機械が 以前なら 絶対に不可能だったスキルを習得して見せ始めたからです。理解し 話し 聞き 見て答え 文章を書くスキルです。しかも 機械は他の新しいスキルも習得し続けています。例えば 人間型で動き回れるロボットは まだきわめて原始的ですが 国防総省の研究部門がロボットに こんな風な数々の― 作業をさせるコンペを立ち上げました。これまでの実績が指標となるなら コンペによる推進活動はきっと成功します。こんな風に 身の回りを見れば今は人間が行っている多くのタスクを 人型ロボットにやらせる日も それほど遠くはないと考えます。今 人類が創ろうとしている世界は ハイテクだらけになって仕事はどんどん減る世界です。こんな世界をエリック・ブリニョルフソンと私は 「新しい機械の時代」と呼んでいます。

 

3 絶対に素晴らしいニュース

心に留めておいて欲しいのは これが絶対に素晴らしいニュースだということです。これは 近年では地上最良の経済ニュースなのです。別に競争が激しいわけではないですよね。これが近頃で最高の経済ニュースなのは 主に2つの理由があります。1つ目の理由は 技術の進歩が近年の驚くべき歩みを 継続可能にしていることです。この歩みでは 総生産が上がっていく一方で 同時に 物価は下がって 販売量と品質は まさに爆発的に向上し続けています。この現象を見て浅はかな物質主義と 言うひともいますが それはまったく間違った現象の捉え方です。これはモノが潤沢ということで 私たちが経済システムで提供しようとしているものなのです。新しい機械の時代が素晴らしいニュースという2つ目の理由は 人型ロボットがタスクを 実行するようになれば人間はそのタスクを行わなくていいのです。人間が苦役と労苦から解放されるのです。

 

4 「技術は神の賜物」

さて ケンブリッジとシリコンバレーの友人に このことを話すと彼らはこんなふうに反応します 「素晴らしい!苦役も労苦も なくなって 全く違う感じの社会に なるかもしれないね。クリエーターや探究者や パフォーマーや改革者が 彼らの支援者や出資者たちと集まって 問題を話し合ったりお互いを認め合って触発したり 刺激しあったりするようになるんだね」 そんな社会なら まさにTEDカンファレンスのようなものです。実は 非常に多くの真実がここにあります。驚くべき発展が湧き上がっているのを見ています。

文書を印刷するかのように 簡単に物体を生成できる世界では 新たな可能性が驚くほどあります。職人として また趣味で物作りをしていた人たちは今やメイカーズです。そして 彼らが 続々と数々の革新を引き起こすのです 以前は作りたくても作る方法が無かった― アーティストも以前は絶対にどうやっても不可能だったことが 今は できるようになりました。そう これは絶大な繁栄の時であり 身の周りを見れば見るほど確信が深まります。物理学者フリーマン・ダイソンのこの言葉にわずかの誇張もない という確信です。この文はただの事実です。私たちは驚愕的な変革期にいます [技術は神の賜物 生命に次ぐ最大の賜物で芸術と科学と文明の母なのです」- フリーマン・ダイソン。

 

5 労働者が経済に貢献することは困難になる

これが また大きな疑問を浮かび上がらせます。新しい機械の時代に悪いことなんて起きっこ無いですね? 起こらないよね?話は終わりファンファーレ じゃ帰りましょう。これから私たちが創る未来に向かって行くうえで 2つの厄介な課題に立ち向かわなければいけません。

1つ目は経済的なことでヘンリー・フォード2世と 自動車労働組合の会長だったウォルター・ルーサーが 交わしたとされる真偽の怪しい会話に よく表わされています。彼らは 新しい近代的な工場を視察していて フォードがふざけてルーサーにこう言います 「ところで このロボットたちから どう組合費を取るつもりだい?」 ルーサーは「じゃあ そっちは このロボットたちに どうやって車を売りつけるんだ?」と言い返しました。

この逸話でルーサーが抱えていた課題は ロボットだらけの経済になったとしたら労働者が経済に貢献することは 困難になるということです。このことは経済統計からも とても明らかです。過去数十年の資本収益率を見てみれば ― GDPに対する企業収益とも言えますが ― 上昇を続けているのが分かり 史上最高になっているのが分かります。労働収益率を見てみると―経済全体の給料が いくらだったかとも言えますが― 史上最低になっているのが分かり 企業収益と労働収益が逆向きに動いているのが分かります。

 

6 中間層は現在明らかに存続の危機にさらされている

ルーサーには明らかに悪いしらせです。フォードにはすごく良いしらせのようですが 実は違っていてそれなりに高価な品を 大量に人々に売りたいなら 多くの安定した豊かな中流層が必要になります。アメリカには戦後ずっと 中間層というものが存在していましたが 中間層は 現在明らかに存続の危機にさらされています。様々な経済統計に出ていて みんな知ってますが1つだけ取り上げます。実際 アメリカでの収入の中央値は 過去15年間下がり続けています。さらに 徐々に 不平等と格差を広げてしまうような 悪循環に陥る危機にさらされています。

これが引き起こす不平等と共にやってくる― 社会の課題はもっと注目を集めるべきです。社会の課題にも色々ありますが 私が懸念してないものもあります。こんな写真などに代表される課題です。この種の社会の問題は 私が心配している問題ではありません。機械が意思を持ち始めて立ち上がり 人間に組織的攻撃を仕掛けてきたらどうなってしまうのかという 悲観的未来像が尽きることなく描かれます。そんな心配は私のコンピュータが プリンターを自分で認識できるようになってからにします(笑)(拍手)

 

7 典型的な2種類のアメリカ人労働者の人生の話

ですので これらは本当に心配すべき課題ではないのです。新しい機械の時代に起こってくる― 社会の課題をお話しするために 典型的な2種類のアメリカ人労働者の人生の話をしたいと思います。もっと典型的な例にするために 2人とも白人男性にしましょう。1人目は大学卒の専門家で 創造性もあってマネージャーや エンジニア 医者弁護士などの労働者としましょう。彼を「テッド」と呼ぶことにしましょう。アメリカの中間層の最上部に属しています。一方でもう1人は大学卒ではなく 肉体労働か事務員として働き経済的には ホワイトカラーの下位職かブルーカラーの仕事をします。彼を「ビル」と呼ぶことにしましょう。

もし50年前に戻れば ビルもテッドもほぼ同じような暮らしをしていました。例えば 1960年なら2人とも同じように フルタイムの仕事があって少なくとも週40時間は働いてました。しかし 社会学者チャールズ・マレーが著書にまとめたように 経済の自動化が始まり― 1960年は コンピュータが業務に使われ始めたときでした― 新しい技術や自動化やデジタル機器による進歩を 経済に投入し続けるようになり― ビルとテッドの未来は違う方向に進み始めたのです。画面のこの期間にテッドの方は フルタイムの仕事を続けられましたがビルは違いました。多くの場合 ビルは経済には参加できなくなり ほとんどのテッドはそんなこととは無縁でした。時が経ってもテッドの家庭は幸せなものでしたが ビルは違いました。テッドの子どもは両親のもとで育ちますが ビルの子どもは ほとんどの場合両親のもとでは育ちません。他にはどんなことでビルは社会から 脱落しているでしょうか?ビルの大統領選挙での投票率は低下し もっと頻繁に刑務所に入るようになりました。このように この社会の流れに関しては幸せな話を伝えられませんし この流れを転換するような兆候は現れていません。どの民族集団や人口統計上の どの集団を見ても 当てはまる流れです。この格差はとても深刻なものとなって 公民権運動がもたらした― 驚異的な進歩でさえも圧倒されてしまう危険があります。

 

8 「仕事をすることで我々は倦怠 悪徳 貧困の三大悪から免れる」

シリコンバレーやケンブリッジの友人は 自分自身はテッドの1人なんだということを見落としてしまっているのです。彼らは 驚くほど多忙で生産的な人生を送っていて そこから得られる全てを手にしています。でも ビルは全く違う人生を送っています。その両者はともにヴォルテールの言葉が いかに正しかったかを実例で証明しています。仕事があれば無職からだけでなく三つの巨悪からも救われるのです。

[「仕事をすることで 我々は倦怠 悪徳 貧困の三大悪から免れる」―ヴォルテール]

これらの課題に対してどう対処すればいいでしょうか?経済上のゲーム戦略は驚くほど明らかで とりわけ短期的には驚くほど単純明快です。ここ1~2年でロボットが全ての仕事を奪ってしまうことは― ないでしょうから 経済学入門にでてくる古典的な戦略は十分効果があるでしょう。例えば 起業を促進し リスクがあってもインフラ投資を倍増させ 教育システムによって 適切なスキルを習得した人々を輩出できるようにする などの戦略です。

 

9 教育が戦略の大きな要

しかし 長期的観点ではもし 技術を重視し 肉体労働を重視しない経済に移って行くのなら また実際に 移っても行くのでもっと抜本的な 介入を考えるべきです。例えば 最低限所得保障制度などのようなものです。これを聞いて この会場には不快感を覚えた人がいることでしょう。この考えは極めて左派的なものを伴い 富の再分配をかなり過激に行う政策を意味するからです。少しこの考えを調査しました。結果を知れば不快感を和らげられるかもしれません。

社会主義者が熱く論ずる最低限所得保障制度の考えは フリードリヒ・ハイエクやリチャード・ニクソンや ミルトン・フリードマンも推奨したことがある考えだったのです。もし 所得保障のようなものがあると 成功を勝ち取ろうとする意欲を削いでしまったり 現状に満足してしまうことが懸念されるなら こんな話もあります。アメリカ人が誇りに思っていることの― ひとつでもある社会的流動性が 手厚い社会的なセーフティネットのある― 北欧諸国よりも低いことも注目に値しますよね。経済上の戦略は驚くほど単純明快な一方で、社会上の戦略の方がもっともっと難しいということです。

私にはビルが 就職できて 一生涯 働けるようにする戦略がどんなものかは分かりませんが、教育が戦略の大きな要なのは分かります。私自身が直接体験したからです。学校生活の最初の数年間 私はモンテッソーリ教育を受けました。私がこの教育から学んだのは 世界は面白いところで 私がやるべきことは世界を探検することでした。小学3年生の時学校が閉校になって 公立学校の仕組に入ることになりました。グーラグ収容所へ送り込まれたかのように感じました。今だから分かるのですが あの学校で私がやるべきだったのは事務員や肉体労働者に なっていけるように準備をすることだったのです。でも当時は退屈でも周りに合わせることが やるべきことだと感じていました。私たちは もっと上手く― やらなければなりません。ビルを輩出し続けるわけにはいかないのです。

 

10 5百万のアメリカ人が少なくとも6ヵ月以上失業状態のまま

改善に向けて色々と新しい芽が出ています。技術が教育に大きな影響を及ぼしていて すごく幼い学習者から老いた学習者に至るまで やる気にさせているのです。ビジネス界の非常に著名な人たちが 大切に守ってきたものでも考え直す必要があると言っています。我々の地域が抱える問題を解消するために どう介入すればよいか理解しようと 本格的かつ継続的な努力をデータに基づいて続けています。

そう 新しい芽が出ているのです。でも これで十分だ― なんてふりは一瞬でもしたくありません。とても厳しい課題に直面しています。1つだけ例を挙げましょう。5百万のアメリカ人が 少なくとも6ヵ月以上失業状態のままです。モンテッソーリ教育で 彼らがやり直せば解決するわけではありません。私が最も心配するのは我々が創り出す世界です。輝ける技術が傾きかけた社会に取り込まれて 機会ではなく不平等を生むような経済に 技術が引っ張られていく そんな世界が心配です。

実際には そんな方向には向かわないと思います。すごく単純明快な理由から もっとすごい何かをできると思っています。事実がそこまで迫っているからです。この新しい機械の時代の現実と 経済の変化はもっと広く知られてきています。この動きを加速したいなら私たちの最高の経済学者や 政策立案者にワトソン相手に「ジェパディ」で 戦ってもらえばいいでしょうね。他にも 議会に自律型自動車のツアーを贈ってもいいでしょうね。こんな感じのことを色々やれば 世界が変わっていくということについて理解が深まっていくでしょう。そして数々の競走を始めるでしょう。難しい課題を解決する方法を忘れてしまったり とても冷酷になり関心も失ったあまり 解決を試みようとさえしなくなるなんてことは絶対に無いと信じています。

 

11 新しい機械の時代の到来は明白な事実

私は今日の話を世紀と海を隔てた― 言葉を巧みに操る小説家の引用で始めました。同じくらい遠い世界の政治家の言葉で 締めくくりたい と思います。

ウィンストン・チャーチルが1949年に私の母校 MIT で言いました。「どこの国でも広範な大衆に 豊かな暮らしを送らせたければ あらゆる工業的生産手法のあくなき改良によってのみ 達成できるだろう」

エイブラハム・リンカーンが別な要素を語っています 「私は人というものを固く信じています。真実を伝えられれば人々を頼りにして 国家の危機に立ち向かえます。肝心なことは― 明白な事実だけを示すことです」

最後に楽観的な私の結論をお伝えします。大事なことです。新しい機械の時代の到来は明白な事実です。機械の時代を活用して豊富な経済を作るという挑戦に 正しいかじ取りができるであろうことを 確信しています。ありがとうございました(拍手)

 

最後に

仕事がどんどん減る「新しい機械の時代」。技術の進歩が進み、人間が苦役と労苦から解放される。教育が戦略の大きな要。技術は神の賜物。新しい機械の時代の到来は明白な事実

和訳してくださったAkinori Oyama 氏、レビューしてくださった Yuko Yoshida 氏に感謝する(2013年2月)。

機械との競争


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