前回は、ネットはテレビ番組や作品の認知度を高めるツール ネットと広告についてまとめた。ここでは、世界にモノを売る手段としてネットを活用せよ テレビと映画の将来について解説する。
日本の経営陣はバカだらけ?
テレビ局の売上が下がっているのは、制作側のレベルが下がったのではなく、経営陣や事務方のレベルが低いからである。テレビ局は、国から電波という限られた資源を与えられているだけでなく、その電波を受信する機械(テレビ)も日本に1億台以上あるなど、儲けるためのお膳立てが整っている。それでも赤字になってしまうのは、どう考えても経営陣が無能なだけである。
そもそもテレビとは、視聴者に番組を観てもらい、その番組の合間に流すCMを観てもらうことで、スポンサーからお金をいただくという仕組みである。つまり、内容がよかったりおもしろかったりすれば、多くの視聴者が集まり、CMもたくさん入るはずである。しかし、最近では自らの番組を宣伝するために広告枠を買っており、本末転倒になっているのだ。
テレビのモラルとネットのモラル
テレビは参入障壁がある分、ネットよりもモラルが高くなくてはならない。しかし、テレビはそのモラルを自ら捨て始めているのではないか。自社のイメージを保つからこそ企業はスポンサーとしてお金を払っているのであり、そのモラルを捨ててはスポンサーはつかなくなるだろう。なお、ネットは誰もが情報発信できるツールなため、そもそもモラルがない。
テレビ局の金遣い
テレビ局のコスト意識は高くない。例えば、テレビ局の社員の給料は非常に高いが、実際に番組を作っている制作会社の社員の給料は安い。テレビ局もそのレベルにまで人件費を下げてしまえば、本当におもしろい番組を作りたい人しか来なくなり、結果的に番組の質も上がるのではないだろうか。
「メディアの情報=すべて正しい」は大間違い
メディアの情報は全て正しいと信じることは危険である。ビジネス的な視点で考えれば、真実を実証するのはコストもかかり大変なため、諦めてある程度ウソをついてエンターテイメントとして報道するほうが楽だからだ。
インターネットはウソだらけ、テレビを見る人はバカだらけ?
現実世界でもネットの世界でもウソをつく人がいるのは事実である。匿名性の高いネットにウソが多いというのもあるだろう。また、テレビを観る人はバカな人の割合が多いのではないだろうか。バカな人とは、本当は騙されているのに騙されていることにすら気づかない。そのため、番組を作る側も視聴者を騙しやすいからと、状況によっては安易な方向に行きがちになるのではないか。
四大メディアの情報フィルタリングは権力
国家は表に出したくない情報を出さないようにするために、マスコミが情報をフィルタリングしている事実がある。例えば、元公明党の矢野絢也氏の家に、公明党の元国会議員が創価学会員を連れて押しかけ、脅迫したことに対する裁判があった。しかし、この事件はフィルタリングされてしまい、四大マスメディアが取り上げることはなかった。
一方、ネットは情報のコントロールがしにくい。フィルタリングをするにもどこまで、どのようなものをフィルタリングするかの基準を決めるのが難しいからだ。多くの情報は他人に迷惑をかけない範囲ならば、どうでもいいからだ。つまり、情報が流れてまずいのは「その情報を知ったことで容易に人を傷つけることができ、しかも罰を受けなくて済む」というものである。
新聞はおもしろい?
マスコミの情報とは、組織だって取材をし、そこに一般市民が思いつかないぐらいの見解が入っていたり、一般市民が知りうることのない情報が入っているからこそ、初めてお金を払ってもいいだけの価値のある記事になるのだ。つまり、必要とされるような情報が担保されていないのが、最も問題ではないだろうか。
雑誌の生きる道
雑誌の生きる道は、ある程度中立的な視点で情報がまとめられていることである。ネットで何かを調べようとすると、広告の分を差し引いて把握する必要があるため、多くの労力が必要になる。雑誌の特集やテレビの番組でも、タイアップという商品を紹介する特集を作り、広告主からおカネをもらう手法がある。しかし、例えば「週刊金曜日」や「マイニュースジャパン」のように、雑誌の売上やユーザーから会費をとることで運営を成り立たせているところもあるのだ。
ブランド価値は企業の将来的な価値ではない
ブランド価値とは企業の将来的な価値ではない。ブランドに10億円の広告費を使っている企業がすごいと思われる傾向にあるから、どのブランドも10億円を使わなければならないと思ってしまうという相対的な価値である。そうならないためにも、メジャーリーグで採用している「チームの総額年棒がある上限を超えた場合に課税をする」というようなシステムを導入して、企業が際限なく広告費などでお金を使っていくことを制限する方法がいいのだ。
目指せ世界マーケット!
日本のテレビ局は、テレビ番組を世界に売ろうという考え方を持って番組制作をしていないように見える。しかし、アメリカで制作されているテレビドラマは、世界中に流すことを前提として制作されている。そのため、そこにかける制作予算も桁が違うのだ。そうした世界にモノを売る手段として、ネットは便利なのである。
最後に
テレビ局の売上が下がっているのは経営者が無能だから。マスコミの情報フィルタリングは権力。新聞の売上が下がっているのは、必要とされる情報が提供されていないから。雑誌の生きる道は、ある程度中立的な立場での情報提供。ブランド価値は相対的な価値。広告費ではなく、制作費にカネをかけろ。
次回は、世界規模の広告モデルか魅力的なモノの課金モデルか 土屋敏男×ひろゆきについてまとめる。
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