「ウェブが世界をつなげているのは確かだが、メディアはグローバル化の逆に進んでいる」ザッカーマンは語りかける。ここでは、40万ビューを超える Ethan Zuckerman のTED講演を和訳し、世界中で話題を共有するための仕組みづくりについて理解する。
要約
ウェブが世界をつなげているのは確かですが、大部分の人が耳にする「声」というのは、自分たちに似た人たちの声です。ブロガー兼テクノロジストのイーサン・ザッカーマン氏は、世界中で話題を共有するための手助けをしたいと考えています。Twitterでの世界の広げ方や、読めない言語でニュースを読む方法について、お話しします。
Ethan Zuckerman studies how the world — the whole world — uses new media to share information and moods across cultures, languages and platforms.
1 Twitterにログインすると知らない言葉が飛び交っている
私はアメリカ人ですので、基本的に 「フットボール」と言われても 私のように大きな男性が、超特急でぶつかりあっているのでないと 興味がもてません。とは言え、ここ数週間「フットボール」を無視するのは とても難しくなっています。Twitterにログインすると、知らない言葉が飛び交っています。 FIFA、ブブゼラ、 タコに関する意味不明な冗談・・ 1つ、どうしても分からなくて イライラしたフレーズがあります。「Cala a boca, Galvao」です。 最近、1回でもTwitterを使っていたら このフレーズを見ているかと思います。 「人気のトピック」に浮上しています。
2 「Cala a boca, Galvao」の意味は
私は英語しか知らないアメリカ人なので、このフレーズの意味が分かりません。 そこで、Twitterで 「Cala a boca, Galvao」の意味を聞きました。 幸運なことに、ブラジル人の友だちが 助け舟を出してくれました。 Galvao、というのは鳥の種類で 絶滅寸前のオウムの種類なんです、と。 本当に危機的な状況です。 もう少し詳しく話しましょう。 ナレーター:ブラジルに生息するGalvaoという 貴重な鳥について説明します。 毎年、30万以上のGalvaoが カーニバルのパレードのために殺されます。 イーサン:明らかに、悲劇的な状況です。 まだ、続きます。 Galvaoというオウムは、とても美しくて かぶりものに使われるだけではなく、 ある幻覚誘発剤を含んでいるそうなのです。 つまり、困ったことに Galvaoの乱用が起きているのです。 Galvaoを「吸う」人も出てきています。 それで、絶命の危機に直面しているのです。 嬉しいことに、ブラジル人の友だちが言うには Galvaoの救援活動を 世界中の人たちが行っているそうです。 例えば、Lady Gagaが 「Cala a boca, Galvao」というタイトルの シングルをリリースしました。 正確には、5-6枚のシングルですね。 そして彼らに言うには 「Cala a boca, Galvao」とツイートするだけで この貴重で美しい鳥を救うための 世界的なキャンペーンに 10セント寄付されるとのことです。
3 「Galvao、おだまり!」
さて、これがジョークだということは、もうお分かりでしょう。 とても良く出来たジョークですね。 実は、「Cala a boca, Galvao」というのは ポルトガル語で「Galvao、おだまり!」という意味なのです。 具体的には、Galvao Buenoという テレビ局Rede Globoの メイン実況者を指しています。ブラジル人の友だちが言うには、彼は 決まり文句ばかり連発する癖があるそうです。陳腐なフレーズを何回も連呼することで どんなに面白い試合でも、つまらなくしてしまう。 そこで、ブラジル人は 対北朝鮮の一試合目の時に この垂れ幕を出して、Twitterのキャンペーンを始めたのです。 世の中の人々に、「Cala a boca, Galvao」と ツイートするように、と。 これがあまりにもヒットして、 Twitterで2週間も「人気のトピック」としてランクインしたのです。
4 オンラインで人の行動を促すのはそんなに難しくない
さて、この一連の事柄から 学べることは、いくつかあります。 まず1つ目は、 オンラインで人の行動を促すというのは そんなに難しくない、ということです。 あるフレーズをRTする、くらいの簡単な行動であれば 結構できてしまうものなのです。 これは、大事な教訓だと思います。 2つ目は、多くのブラジル人がTwitterを使っている、ということです。 500万人以上います。 国単位で見ると ブラジルのネット利用者の11%が、Twitterを使っています。 アメリカやイギリスに比べると、圧倒的に高い数字です。 日本に次いで 第2位の利用割合です。
5 SNSは自分が選んだ人と接点を持つスペース
あなたがTwitterや他のSNSを使っていて ここが多くのブラジル人がいるスペースだと 気づいていなかったとしても、 それは一般的なことです。 なぜかというと、ソーシャル・ネットワークというのは 自分が選んだ人と 接点を持つスペースだからです。 私のように、体が大きい白人のアメリカ人ギークであれば 他の、白人のアメリカ人ギークとからむ傾向があるのです。 必ずしも、Twitterというのは ブラジル人が多いスペースだという感覚はないのです。 同様に、多くのアメリカ人は アフリカ系アメリカ人が多いという事実に驚きます。 最近、Twitter社は ユーザ層を解析したリサーチを発表しました。 アメリカにおけるTwitterユーザの 24%が、アフリカ系アメリカ人だそうです。 これは、実際の人口比率の 約2倍です。 繰り返しになりますが こう聞いて驚くTwitterユーザは多いのですが、その必要はありません。 なぜかというと、「人気のトピック」を 眺めていると アフリカ系アメリカ人の会話として自己完結している トピックがたくさんあることに気づきます。
6 私たちは全体像が見えにくい状態にいる
Fernando ViegasとMartin Wattenbergという 優秀なビジュアリゼーションのデザイナーが 行った実験があります。 Twitterのトラフィックを 1週間分蓄積したところ 「人気のトピック」の多くは 人種によって分かれているということが 分かったのです。 例えば、石油流出を話題にするのは主に白人アメリカ人で クックアウトは主に アフリカ系アメリカ人が話題にするということです。 さらに、何が凄いかというと Twitterでの交流にバリエーションを求めるのであれば ワンクリックで実現する、ということです。 #cookoutタグをクリックすると、そこには違うグループの人たちが 参加している全く異なる会話があるのです。 しかし、私たちはあまりやろうとはしません。 わたしたちのつきあいは既に知っている人や 知っている人に似ている人とつるむことになります。 友人のEli Pariserはこれを「フィルター・バブル」と呼んでいます。 私たちは、全体像が見えにくい状態にいるのです。
7 インターネットはそんなはずではなかった
これは、驚きの事実です。インターネットはそんなはずではなかったからです。インターネットの黎明期を思い返してみましょう。 Nick Negroponteが 「ビーイング・デジタル」を書いていた頃です。 当時、インターネットというのは 文化の違いを撤廃し、何らかの形で世界中の人々を 同じ土台に持っていく強大な力になるだろう、というのが予想でした。 Negroponteの本は、アトムで構成される世の中で コネクションを作るのは難しいだろう、 という発言で始まります。 彼は、フロリダの技術系イベントに参加していて テーブルに置いてある Evianのペットボトルを眺め 「これはクレイジー」だと言います。 「オールド・エコノミーだ」と。 これらの重くて遅いアトムを 長距離運ぶのは、とても難しいことです。 未来は、全てがスピーディーで、軽くて いつでも、どこでも存在しえるビットで 構成される世の中に向かっている。 そして、世の中は変わるのです、と。
8 アトムはビットよりも可動性がある
さて、Negroponteの予想の多くは当たりましたが これは、大外れでした。 実際何が起こっているかというと アトム(原子)というのはビット(情報)よりも可動性があるということです。 例えば、アメリカで フィジーで詰められ、莫大な運送費をかけて 運ばれてきたペットボトルを 買うのは、とても簡単なことです。 一方で、フィジー映画を観るのは 案外難しいですね。 フィジーの音楽を聞くのは、とても難しいし フィジーのニュースを入手するのは、非常に困難です。 フィジーでは、クーデター、軍事政権 言論の自由が弾圧されるなど、いろいろ起きていますので 考えてみると、不思議な状態です。 フィジーは、 私たちが注目すべき場所だと言えるでしょう。
9 グローバリゼーションのインフラに注目しがち
私は、このように解釈しています。 私たちは、グローバリゼーションの インフラストラクチャに注目しがちです。 私たちが住むつながりの多い世界を 可能とするフレームワークに 注目します。 そこには、飛行機の路線や インターネットのケーブルが含まれています。 このような地図を見ると 拠点がつながっているので 世の中がフラットに見えます。 ロンドンまで飛べば 同じ日にはバンガロールに到着します。 ふたっ飛びすれば、フィジーの首都スヴァに着きます。 そのように見えますね。
10 世の中は私たちが想像しているようには機能していない
でも、これらのネットワークの上で 存在しているものを観察しだすと 違うものが見えてきます。 国際線の仕組みを 観察すると 世の中は、全然フラットでないことに気づきます。 とてもデコボコしているのです。 直結している拠点はありますよ。 ロンドンとニューヨークの間には 空上に大きな道ができていると言えるでしょう。 でも、この地図を 数分眺めていると 南アメリカやアフリカに 行く飛行機はあまりないことが分かります。 そして、仕組みから切り離されている 地域もあることが分かります。 コネクションを可能とするインフラを脇に置き 実際に何が起こっているかを観察すると 世の中は、私たちが想像しているようには 機能していないことが分かるのです。
11 メディアはグローバル化の逆へ進んでいる
これが、私がここ10年ほど 研究しているテーマです。 世の中は、グローバル化が進み どんどんつながってきています。 多くの問題は、世界規模で影響があります。 経済活動は、世界規模で影響があります。 そして、メディアは日に日にグローバル化の逆へ進んでいます。 1970年代のアメリカでは 夜のニュース番組は 35-40%が国際ニュースでした。 今は、12-15%まで落ちています。 世の中の歪んだ見方が提供されていることを意味します。 以前のTEDトークで、Alisa Millerが使ったスライドです。 Public Radio Internationalの社長です。1ヶ月の間で アメリカのニュース番組が ピックアップした 国の統計地図です。 注目度に応じて地図を作成すると アメリカのニュース番組が言う「世界」というのは 膨れ上がったアメリカと 侵入したいくつかの国で 構成されていることが分かります。 私たちのメディアは、こんなものなのです。 だからといってひどいのはアメリカのニュース番組だけであると決め付けるのは早計です。 ひどいことには賛同しますが ニューヨーク・タイムズなどのエリートなメディアを マッピングしたのですが、同じ結果でした。 ニューヨーク・タイムズや、他のエリートなメディアを見ると 裕福な国々と 私たちが侵入した国々が取り上げられています。
12 ニューメディアもこの状態を緩和していない
そして、ニューメディアは この状態を大して緩和していません。 Oxford Internet Instituteの Mark Grahamが作成した地図です。 ジオコードのついたWikipediaの記事を マッピングしたものです。 北アメリカと西欧に 大きく偏っていますね。 自分たちのコンテンツを オンラインで作成しているWikipediaでさえも 均等なのではなく Wikipedia の記事を書く人が多い 地域が充実しているのです。 ここはイギリスですが このセッションが終わったら、パソコンを立ち上げて インド、オーストラリア、カナダ、 アメリカの新聞を手にとることができます。 けれど、おそらくやらないでしょう。 オンラインのメデイア消費を見てみましょう。 インターネット人口のトップ10では ニュース購読の95%が 国内のニュースサイトを対象としています。 アメリカがイギリスより上を行っている 数少ないケースです。アメリカ人は イギリスのメディアを読むのが好きだからです。その反対よりも。
13 グローバルなソリューションにたどり着くには グローバルな会話が必要
これらの事象をまとめると 私が「想像的世界主義」と呼んでいる 状態が見えてきます。 わたしたちはインターネットを使えば 世の中のことが分かると思い込んでしまいます。 偶然、中国語のページに遭遇すると 世の中とつながる最高のテクノロジーを 目の前にしていると勘違いします。 ほとんどの場合、インターネットは レッドソックスの点数をチェックするために使っていることを忘れます。 これは、大きな問題です。 レッドソックスが順調でないことはさておき TEDでも議論が行われているように 世の中の問題、 解決しなければいけない問題というのは スケールもスコープも グローバルです。 グローバルなソリューションにたどり着くには グローバルな会話が必要です。 これが、我々が解決しなければいけない問題です。
14 世の中には注目されていない地域がある
さて、朗報があります。 6年前から、Global Voicesというグループと 活動をしています。 世界中のブロガーが集まったグループです。 世の中のメディアを直すことをミッションに、 2004年に始めました。 お気づきかもしれませんが、あまり進展していません。 そして、私たちだけで この問題を解決できるとは思っていません。 でも、考えれば考えるほど ここ6年間で学んだことは ウェブを活用してより広い世の中を作り出すための 「配線直し」の作業に使える、と思えてきます。 まず、世の中には 注目されていない地域があることを 気に留めなければいけません。 夜中の地球を表現したNASAの地図で 電気がないため、暗いエリアができています。 以前は、この暗いエリアというのは 生活に必要なものが他にもたくさんあるため ニュースが入手できないエリアかと思っていました。
15 暗いエリアの1つは、マダガスカル
でも最近は、入手可能だと思いはじめました。 ただし、莫大な労力と 莫大な応援が必要となります。 暗いエリアの1つは、マダガスカルです。 ここに住んでいる素敵な人たちよりも ドリームワークスの映画の方が 有名な場所ですね。 マダガスカルでFoko Clubを 設立した人たちは 自国のイメージを変えることは念頭にありませんでした。 もっとシンプルなことを成そうとしていたのです。 最初は英語を勉強し コンピュータやインターネットのスキルを身につけるクラブでした。 でも、マダガスカルで クーデターが起き ほとんどの独立メディアは、閉鎖されました。 Foko Clubでブログのスキルを 身につけていた高校生たちは 突然、インターナショナルなオーディエンスと デモのこと、暴力のこと、マダガスカルで起きていることを 話す状況ができたのです。 コンピュータの前に人を座らせて 日頃考えていることを投稿し、独立メディアを作る、という この小さな小さなプログラムは 私たちのマダガスカルに対する知識へ 巨大なインパクトを与えたのです。
16 難しいのは言語の壁
さて、ここで難しいのは ここにいるほとんどの人は、マラガシ語を話さないということです。 中国語を話す人も少ないでしょう。 ネットで最も使われているのが中国語であることを 考えると、寂しいことです。 幸いに、この問題を解決する取り組みが進んでいます。 Google Chromeを使っていて中国語のサイトに遭遇すると ブラウザの上部に可愛らしいボックスが表示されます。 このページが中国語であることを検知し ワンクリックで このページを翻訳することができます。 残念ながら、これは機械翻訳されたページです。 Googleは、いくつかの言語は得意としますが 中国語は、結構ひどいですね。 たまに、笑える結果が表示されます。 理想は ボタンをクリックしたら 人間が翻訳してくれるよう 順番待ちのキューに入ることです。
17 中国のYeeyanは1日約100本の記事を翻訳している
論外だと思うかもしれませんが、そんなことはありません。 中国に、Yeeyanというグループがあります。 150,000人以上の メンバーがいるグループです。 彼らは、毎日ウェブ上で 英語で書かれている面白いコンテンツを探します。 そして、主要の新聞やウェブサイトから 一日約100本の記事を翻訳します。 全て、無料でオンラインで読むことができます。 プロジェクトの発起人は Zhang Leiという男性です。 ラサ騒動が起きた時にアメリカに住んでいて アメリカでの報道の偏り具合に唖然としたことがきっかけでした。 双方の国の人たちが、少しでもお互いのことを 理解できるように、自分ができることとして 翻訳を始めたのです。 そこで、私からみなさんへの質問です。 もしYeeyanが、英語のコンテンツを中国語へ 翻訳するために150,000人を集めることができるのであれば 英語圏のYeeyanは、どこにあるのでしょうか? 4億人ものインターネット人口を抱える中国を 誰が追いかけているのでしょうか? 面白いことを言っている人間は、1人くらいいるでしょう!
18 ネット上での主な情報収集の手段は検索とSNS
そして、中国語から翻訳する方法を見つけたとしても そこにたどり着く保証はありません。 ネット上で情報を探す時 主に2つの手段がとれます。 まずは、検索です。 何を探しているかを知っていれば、問題ありません。 でも、偶然を求めている場合はいかがでしょうか? それを必要としていることさえも 分からない「偶然」を発見したい時は ソーシャル・ネットワークを使います。 友だちが見ているものは 自分も見るといいのかもしれない、と。 このスタンスの問題は 集団の知恵からしかインプットがないことです。 自分に似た人たち つまり自分と同じような興味がある人と 群がることになります。 そして、別の話題で集まり 盛り上がっている他の団体について 情報を得るのは、極めて難しいと言えます。 自分の集団から、他の集団に出るよう つついてくれる人が必要です。ガイドが必要なのです。
19 SNSのガイド役となるDJやキュレーターが必要
そのガイドが、Global Voicesの中東のエディター、Amira Al Hussainiです。 彼女は、非常に難しい仕事をしています。 イスラエルとパレスチナのメンバーが 喧嘩しないようにしないといけないし 読者が興味を持つような 中東の話題が何なのかを 見極めなければいけません。 例えば、あなたが慣れている話題から 少し背伸びをしてもらい、ラマダンの間は 禁煙をしている人について 注目してもらうためには、グローバルなオーディエンスについて知る必要があります。 さらに、何のストーリーがあるかを知る必要があります。 つまり、彼女はDJなのです。 目の前にある素材を把握し オーディエンスの声を聞き入れ 賢い選択をしながら 人を何らかの形で誘導することができる とてもスキルが高いキュレーターなのです。 これは、必ずしも計算可能なプロセスではないと思います。 DJの活動が、より大きなオーディエンスへ 届くことが、より簡単になっているのが インターネットの長所だと思います。 Amiraは、友だちなので 何を読むべきか、聞くことができます。 でも、インターネットがあれば 何を読むべきかをたくさんの人に教えることができます。 こういった話題の広がり方に興味があれば あなたも耳を傾けることができます。
20 ウェブを活用して世の中を広げるためには橋渡し役が重要
このようにして自分の世界を広げ始めたり 暗いエリアの声にスポットライトを当て始めたり 翻訳やキュレーションを始めると とても奇抜な発見があります。 これは、私の大好きなブログ AfriGadgetからとった写真です。 アフリカという切り口から テクノロジーを探求するブログです。 これは、車のシャフトを のみに変えている ナイロビのキベラにいる 鍛冶屋です。 この画像を見ると「私と何の関係があるの?」と思うかもしれません。 彼が説明してくれるでしょう。R Erik Hersmanです。このカンファレンスでお会いしたかもしれません。 彼のニックネームは、White Africanです。 顔の広いアメリカ人ギークですが スーダン産まれでケニヤ育ちのケニヤ人でもあります。 彼は、「橋渡し役」なのです。 アフリカの技術系コミュニティと アメリカの技術系コミュニティの両方に 軸を置いています。 ですので、キベラの鍛冶屋の話題を 技術の転用、 制限から生まれるイノベーション、 素材の使い回し、という切り口で ストーリーとして組み立てることができるのです。 彼は1つの世界を知っていて もう1つの世界に伝えようとしています。 彼は、両方の世界と深く関わっています。 ウェブを活用して世の中を広げるための未来は 彼のような橋渡し役にあると 確信しています。
21 世界に出ていって自分の居場所を探すためには、さまざまなテクニックがある
ただし、橋というものは 最終的には、渡る人が必要です。 そこで、外国との接し方に話題をうつしましょう。 もし私がNFLに所属していれば きっとオフシーズンは、体を休めて 自宅でゆったりするかと思います。 ヒップホップのアルバムを作ってみるかもしれません。 シンシナティ・ベンガルズの Dhani Jonesは、 少し違います。 彼は、「Dhani Tackles the Globe」という テレビ番組を担当しています。 この番組では 毎週どこかの国に旅をして 地元のスポーツ・チームを見つけます。 一週間一緒にトレーニングをして、試合をします。 なぜこのようなことをするかというと ムエタイをマスターしたいからではなく 彼にとってスポーツというのは この大きな世界の 素晴らしさと 交じるための「言葉」だからです。 ある人にとっては、「言葉」は音楽かもしれません。食べ物かもしれません。 文学やライティングかもしれません。 このように、世界に出ていって 自分の居場所を探すためには さまざまなテクニックがあるのです。
22 私の目的は世界をより広くするということ
今日のトークを聞いて みなさんに外国好きに なってもらいたいわけではありません。 TEDGlobalというイベントに参加しているのですから そういった言い方をするかは別として みなさんは、既に外国好きでしょう。 私の目的は世界をより広くするということです。 ですが、これを達成するには 個人的な決断では足りない、ということです。 現存する仕組みを 配線し直して メディアを直し インターネットを直さなければいけません。 教育システムを直さなければいけません。 移民政策を直さなければいけません。 偶然を作り出す方法を研究し 翻訳を普遍的なものにして 橋渡し役が容認・称賛される 方法を探さなければいけません。 外国に興味がある人を増やす方法を探らなければいけません。 これが、私のやろうとしていることです。ご協力お願いします(拍手)
最後に
SNSは自分が選んだ人と接点を持つスペースで、全体像が見えにくい。メディアはグローバル化の逆へ進んでおり、ニューメディアもの状態を緩和していない。外国に興味がある人を増やすためには、メディア改善、偶然性の研究、翻訳、橋渡し役の容認・賞賛が必要。世界をより広くする方法。
TED公式和訳をしてくださった Tomomi Sasaki 氏、レビューしてくださった Izumi Mihashi 氏に感謝する(2010年7月)。
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