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カレン・バス まだ見ぬ手つかずの自然の姿

「決定的瞬間を捉えるには、その瞬間にその場にいなければなりません」カレンは語りかける。ここでは、45万ビューを超える Karen Bass のTED講演を訳し、まだ見ぬ手つかずの自然の姿を明らかにする。

要約

TED2012で、映像プロデューサーのカレン・バスがBBCやナショナルジオグラフィックのために撮影した驚異的な自然の映像を紹介しています。変わった方法で食事をするチューブリップト・ネクター・バット(管口蜜吸いコウモリ)を捉えた、できたてホヤホヤの初公開映像も…

Karen Bass has traveled the world to explore and capture footage from every environment across the Earth.

 

1 私は本当にラッキーだと思います

私は本当にラッキーだと思います。世界各地を訪れて 地球の美しさを知り そこに生きる 人や生き物に出会うことができました。興味が芽生えたのは7歳の時です。初めて両親とモロッコへ行きました。サハラ砂漠の隅にある国です。想像して下さい。イギリス人の少女がー 寒くもなければ 雨も降らない場所に行ったんです。驚きの体験でした。世界をもっと知りたいという興味が沸きました。

その後 映像製作に関わるようになりー 世界の端から端まで行きました。完璧な映像を撮るためです。誰も見たことがない動物の行動を撮るためです。そして さらにラッキーなことにー 私は世界中の人々にそれをお見せすることができます。地球の知られざる一面を発見すること そして そのメッセージを発信できること。それこそが 私の日々の原動力です。

 

2 BBCの「グレートネイチャー」シリーズ

大変な仕事に聞こえると思います。常に新しいストーリーや撮影の対象を探すのですから。でも テクノロジーの進歩のおかげで様々な撮影が可能になりました。見たこともないような映像を撮影し聞いたこともないような 物語を伝えることができます。デイビッド・アッテンボローと制作した ー BBCの「グレートネイチャー」というシリーズは ー まさに それを追求したものです。

グリズリー(ハイイログマ)の映像は良くあります。頻繁に見ますよね。でも その生態には 私たちが全く知らない一面があるのです。撮影に成功した人はいませんでした。だから 私たちはアラスカへ行きました。グリズリーが冬眠するのはー 人が行けないような高い山の斜面です。そこに寝床を作ります。空中から撮影するしかありません。

 

3 決定的瞬間を捉えるには、その瞬間にその場にいなければならない

(デイビッド・アッテンボロー)アラスカからブリティッシュコロンビアの地域ではー 何千ものクマの家族が冬眠から目を覚まします。ここに食料はありません。でも冬眠には理想的な環境です。深い雪の中に寝床を掘ることができます。食物を見つけるために 母グマは子グマを連れて山を下ります。川辺では雪解けが始まっています。しかし 子グマたちにとって山を下りるのは 冒険です。山には危険がたくさんあります。しかし このようなクマの家族やー 北太平洋地域のクマたちは ー サケで命を繋いでいるのです。

大好きな映像です。見るたびに鳥肌が立ちます。これはヘリコプターで撮影しました。ジャイロスタビライザー付きカメラを使いました。素晴らしい機材です。三脚、クレーン、ドーリーが一緒になったようなものですから。でもテクノロジーだけでは足りません。決定的瞬間を捉えるにはー その瞬間にその場にいなければなりません。それが本当に難しいんです。

 

4 映像制作にかかわる者が最も興奮するのは新種の生物が発見された時

最初の年は何も撮影できませんでした。翌年 また同じ場所に行きました。アラスカの僻地まで戻りました。2週間 ヘリで飛び続けました。そして最後に幸運に恵まれました。雲が消え 風が静まり ー クマが姿を見せたのです。その奇跡の瞬間を捉えることができました。

映像製作に関わる者にとってー 新技術は驚異的なツールです。でも もっと興奮することがあります。新種の生物が発見された時です。ある動物の話を聞いてー 絶対に撮影して次のシリーズに使おうと思いました。ナショナルジオグラフィックの「アンテイムド・アメリカ」です。2005年に新種のコウモリが発見されました 場所はエクアドルの雲霧林です その大変な発見と同時に ー ある謎が解明されました ある花の受粉方法が分からなかったのですが 実はこのコウモリだったのです。

 

5 必要は進化の母

このシリーズはまだ放映されていません。ここで初めて公開します。ご覧下さい (ナレーション)チューブリップト・ネクター・バットです。甘い花の蜜はー 細長い花の底に溜まっています。どうやったら届くのでしょう? 必要は進化の母です (音楽) 体長6センチほどの このコウモリはー 9センチ近い舌を持っています。体長と比較した舌の長さはー 世界の哺乳類の中でも最長です。人間だったら 3メートル近い舌です (拍手) すごい舌ですね。花の底に小さな穴を開けて撮影しました。40倍のスローモーションが可能なカメラを使いました。だから実際はものすごい速さです。

 

6 南米のアンデス高地にあるアルティプラノ

“地球でどこが一番好き?” と良く聞かれますけど ひとつに絞れません。あまりにも素敵な場所が多すぎて。でも 何度も引き戻される場所はあります。ある僻地なんですがー 初めて行った時はバックパッカーでした。その後 撮影のために何度も訪れアンテイムド・アメリカの 撮影も行いました。南米のアンデス高地にあるアルティプラノです。この世とは思えない場所です。でも標高4,500メートルですから大変なんです。震えるほど寒いです。空気が薄いので具合が悪くなります。息をするのも大変です。重い撮影機材を背負っていますからね。常に二日酔いみたいに頭がガンガンします。でも 空気が薄いからこそー きれいに星が見えるのです。驚くほどはっきり見えます。ご覧下さい。

 

7 望遠鏡は必要ありません

(ナレーション)熱帯地域から250キロほど南下した チリとボリビアの間で アンデスは別の姿を見せます。ここはアルティプラノ(高原)と呼ばれる場所です。信じがたい場所です。対極を成す自然 砂漠が凍り 熱い温泉が噴き出す 地球というより火星のような場所です。生物にとっては過酷な環境です。ここから見上げる星空です。乾燥した 空気の薄い 標高3,600メートルのこの場所はー 星空を眺めるには絶好の条件です。世界の天文学者がこの近くに望遠鏡を設置しています。でも 裸眼でも十分です。望遠鏡は必要ありません (音楽) (拍手)ありがとうございます。映像をお見せできてうれしいです。これが 私たちの素晴らしい地球の姿です。皆さんと分かち合えたことに感謝します (拍手)

 

最後に

決定的瞬間を捉えるには、その瞬間にその場にいなければならない。映像制作にかかわる者が最も興奮するのは新種の生物が発見された時。南米のアンデス高地にあるアルティプラノは何度も引き戻される場所。必要は進化の母

和訳してくださった Mieko Akai 氏、レビューしてくださった Yasushi Aoki 氏に感謝する(2012年3月)。

ナショナルジオグラフィック プロの撮り方 構図を極める (ナショナル・ジオグラフィック)


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