ブラウザ「○○というページのデータをください」Webサーバー「はい、わかりました。これがそのデータです」。ブラウザとWebサーバーのやり取りの基本である。ここでは、戸根 勤「ネットワークはなぜつながるのか」を参考に、その全体像と主なキーワードについてまとめる。
1 Webブラウザ
ブラウザにURLを入力してからデジタル・データを運ぶところまで。ブラウザにURLを入力する。ブラウザは決められたルールに従ってURLの意味を調べる。その意味に従ってリクエスト・メッセージを作る。メッセージをWebサーバーに送る。メッセージに送るのはデジタル・データを運ぶ仕組みの役割(依頼する)。
キーワード(12)
- ブラウザ
- Webサーバー
- URL
- HTTP
- HTML
- プロトコル
- URI
- リクエスト・メッセージ
- リゾルバ
- Socketライブラリ
- DNSサーバー
- ドメイン名
2 プロトコル・スタック、LANアダプタ
データを運び、ネットワークの中に入るまで。OSに組み込まれたプロトコル・スタックが、ブラウザから受け取ったメッセージをパケットの中に格納して宛先アドレスなどの制御情報を付加する。そのパケットはLANアダプタに渡される。LANアダプタがそれを電気信号に変換して、LANケーブルに送り出す。そしてネットワークの中に入っていく。
キーワード(13)
- TCP/IP
- ソケット
- プロトコル・スタック
- IPアドレス
- ポート番号
- パケット
- ヘッダー
- LANアダプタ
- LANドライバ
- MACアドレス
- イーサネット・コントローラ
- ICMP
- UDP
3 ハブ、スイッチ、ルーター
クライアント・パソコンが家庭や会社のLANに接続され、その先がADSLや光ファイバ(FTTH)といったブロードバンド回線によってインターネットに接続されるという典型的な状況を想定して説明していく。LANアダプタが送信したパケットは、スイッチング・ハブなどを経由してインターネット接続用ルーターに届く。ルーターの先はインターネットであり、そこからはプロバイダがパケットを相手まで運ぶ。
キーワード(19)
- LAN
- ツイストペア・ケーブル
- クロストーク
- リピータ・ハブ
- MDI
- MDI-X
- スイッチング・ハブ
- 全2重
- 半2重
- 衝突
- オート・ネゴシエーション
- ルーター
- 経路表
- ネットマスク
- デフォルト・ゲートウェイ
- フラグメンテーション
- アドレス変換
- グローバル・アドレス
- プライベート・アドレス
4 アクセス回線、プロバイダ
インターネットの内部。インターネットの入口にはアクセス回線(電話回線、ISDN、ADSL、CATV、FTTH、専用線と言った通信回線の総称)という通信回線がある。アクセス回線は契約しているプロバイダにつながっており、そこにPOP(Point Of Presence)と呼ぶ設備がある。POPの実体はプロバイダ向けに作られたルーターで、その先がインターネットの中核部分である。そこには多数のプロバイダがあり、膨大な数のルーターが設置されている。ルーターは相互接続されており、網の目のような状態になっている。そのルーターは巨大で高速であり、ルーター間をつなぐ部分も異なる(電話回線や光通信技術など)。
キーワード(15)
- ADSL
- FTTH
- 光ファイバ
- アクセス回線
- ADSLモデム一体型ルーター
- ATM
- セル
- 直行振幅変調
- スプリッタ
- DSLAM
- ブロードバンド・アクセス・サーバー
- PPP
- ネットワーク・オペレーション・センター
- 光ファイバ
- IX(Internet eXchange)
5 ファイアウォール、キャッシュ・サーバー
Webサーバー側のLANにたどり着く。そこにはファイアウォールが待ち構えていて、入ってくるパケットをチェックする。続いてキャッシュ・サーバーがあり、ページのデータを再利用するかもしれない。大規模なWebサイトだったら、複数のWebサーバーにメッセージを振り分ける負荷分散装置が設置されているかもしれない。また、インターネット全体にキャッシュ・サーバーを分散させるコンテンツ配信サービスを利用している可能性もある。
キーワード(10)
- ファイアウォール
- パケット・フィルタリング
- データ・センター
- ラウンドロビン
- 負荷分散装置
- キャッシュ・サーバー
- プロキシ
- プロキシ・サーバー
- コンテンツ配信サービス
- リダイレクト
6 Webサーバー
Webサーバー内部のしくみ。パケットの中身を取り出し、元のリクエスト・メッセージを復元して、Webサーバー・アプリケーションに渡す(プロトコル・スタック)。Webサーバー・アプリケーションがリクエスト・メッセージの意味を読み取り、そこに書いてある指示内容に従ってデータをレスポンス・メッセージに入れてクライアントに送り返す。そして、レスポンスがクライアントに返ってきたら、そこからページのデータを取り出して画面に表示する。
キーワード(10)
- レスポンス・メッセージ
- マルチタスク
- マルチスレッド
- 仮想ディレクトリ
- CGI
- フォーム
- アクセス制御
- パスワード
- データ形式
- MIME
最後に
ネットワークの全体像は、1.ブラウザ→2.プロトコル・スタック、LANアダプタ→3.ハブ、スイッチ、ルーター→4.アクセス回線、プロバイダ→5.ファイアウォール、キャッシュ・サーバー→6.Webサーバーと進んでいくものである。その間出てくるキーワードは79個と多岐にわたるが、大きな流れは以上の6段階で進んでいくことを覚えておくことをおすすめする(キーワードについてはコンピュータ同士がつながることネットワーク基礎知識7選も参照)。
次回は、Webブラウザ内部のしくみについてまとめる。
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