how-to-speak

ジュリアン・トレジャー 人を惹きつける話し方

「せっかく話しているのに誰も話を聞いていない…そんな経験はありませんか?」トレジャーは語りかける。ここでは、320万ビューを超える Julian Treasure のTED講演を訳し、人を惹き付ける話し方について理解する。

要約

せっかく話しているのに、誰も話を聞いていない―そんな経験はありませんか? そんなあなたに、ジュリアン・トレジャーが救いの手を差し伸べます。この実用的なトークで、音の専門家 ジュリアンが紹介するのは、簡単な声のエクスサイズから感情をこめて話すコツまで――「力強く話す」ためのハウ・ツーです。このトークは、きっと世界の音をより美しいものにしてくれることでしょう。

Julian Treasure studies sound and advises businesses on how best to use it.

 

1 話者の七つの大罪

人間の声は ― 誰もが奏でるものですが 世界で最も力強い音だ と言えます。人間の声だけでしょう。戦争を始め 愛を伝えられるのは。でも 話しているのに 誰も聞いていないという 経験をされた方も多いでしょう。なぜでしょうか? どうすれば 力強く話し 世界を変えられるのでしょうか?

私がご提案したいのは 悪しき習慣を止めることです。皆さんのために ここに 「話者の七つの大罪」を 用意しました。網羅的なものだと 言うつもりはありませんが この7つは かなり影響が大きい ― 私たちが陥りがちな 悪習慣です。

 

2 うわさ話、批評、ネガティブさ

1つ目は うわさ話。その場にいない人の 悪口を言うことです。良い習慣ではないですね。ご承知のとおり 悪口を聞いて5分後には その悪口を言っていた人は 私たちのことを噂しています。

2つ目は 批評です。思い当たる人 いますよね。聞く気になりませんよね。自分が批評の対象となり ダメ出しをされているんですから。

3つ目は ネガティブさ ― 後ろ向きになることもありますよね。私の母は 晩年 本当にネガティブで 聞いていられませんでした。ある日 私が母に 「今日は10月1日だね」と言うと 母はこう答えたんです 「そうよ 最悪だわ」 (笑) こんなに後ろ向きだと 聞くに耐えません。

 

3 不平、言い訳、脚色・誇張、事実と意見の混同

ネガティブといえば 不平もそうでしょう。イギリスのお国芸ですが 国技でもありますね。天気や ― スポーツ 政治など 何にでも不平をこぼします。でも 不平なんて 不幸をまき散らすだけで 世界に温かさや光を もたらしては くれません。

そして 言い訳。言い訳がましい人 いますよね。身に覚えもあるでしょうか。責任転嫁ばかりする人もいます。他人に責任をなすりつけ 自らの行動に 責任をとらないのです。そんな人の話は やはり聞いていられません。

最後から二つ目 六番目の大罪は 脚色 誇張です。時に 言葉の格を落とします 「すごい」を連発していたら いざ何か 本当に「すごい」ものを見ても それを表現する言葉がないでしょう? (笑) 当然 この誇張は 嘘にもつながります。嘘ばかりでは やがて ― 誰も耳を貸さなくなります。

最後は 独善的になり 事実と意見を混同することです。この二つを ごっちゃにしてしまうと 何も耳に入ってきません。誰かに 自分の意見を さも事実かのように ぶつけられても 聞けたものではないでしょう。

 

4 熱烈に歓迎し称賛する「HAIL」

以上が「話者の七つの大罪」で 私たちが避けるべきことです。でも 前向きに取り組むことも できるでしょうか? ええ できます。私たちの話に力を与え 世界を変えるために 私たちが立脚すべき ― 4つの強力な礎があります。4つの頭文字を取ると ある言葉になります 「HAIL」です。意味も素晴らしいんですよ。Hail といっても 空から降ってくる ― 「あられ」のことではなく 「熱烈に歓迎し称賛する」 という意味です。この4つを拠り所にして 言葉を届けると そんな反応が返ってくるはずです。

 

5 正直さ、素直さ、誠実さ、愛

では「HAIL」は何を指しているか 皆さんは分かりますか? 「H」は honesty(正直さ)です。真実を話し 率直に明快であることです。「A」は authenticity(素直さ) ありのまま であることです。ある友人は こう表現しました 自らの真実に 立脚することであると すてきな表現ですね 「I」は integrity(誠実さ) 自らの言葉のまま 有言実行し 信頼される人物になるのです。そして 「L」は love(愛)です。ロマンチックな愛ではなく 皆の幸せを願う愛です。これには二つの理由があります。一つは 絶対的な正直さが 全てではないからです。「わぁ今朝はひどい顔だね」とか そんな言葉 いらないでしょう。愛で和らげれば 正直さは素晴らしいものになります。また 本当に誰かの 幸せを願えば その人を批評することは 難しくなります。この二つを同時に 成し遂げることは できないでしょうね。「HAIL」です。

 

6 内容とともに伝え方も大事

何かを言うということは 古い歌にもあるとおり 内容とともに 伝え方も大事なのです。皆さんには 素晴らしい道具箱があります。「のど」というのはすごい楽器で 道具箱でもあるのですが 使いこなしている人は少数です。ここで道具箱を開けて 中にある道具を 取り出してみましょう。皆さん持って帰って お使いになれば 話す力を高めることができます。

 

7 声域、声色、韻律

まずは 「声域」です。裏声はたいてい 役に立たないのですが その間の声域もあります。声の専門家もいるでしょうから あまり深入りはしませんが 声を出す場所を 変えられます。鼻から話してみます。違いますよね。さらに のどで話してみます。ほとんどの方は ここから声を出しますね。でも もっと重みを加えたいなら もっと下 ― 胸から出します。違いが分かるでしょう? 低い声の政治家に 投票するという事実もあります。というのも 私たちは 深さを力や 権力と結びつけるからです。それが声域です。

つぎに「声色」があります。声の質感です。研究によれば 豊かで なめらかで 温かみのある声が好まれます。ホット・チョコレートのような声です。あなたの声がそうでなくとも 悲観する必要はありませんよ。訓練できます。ボイス・トレーナーを探しましょう。息づかいや 姿勢 練習によって あなたは 見違えるように 声質を改善できるのです。

そして「韻律(プロソディー)」 私のお気に入りです。抑揚や ― 言葉に意味をそえるメタ言語で これこそ会話の醍醐味です。ずっと同じ調子で話されると 聞く気が起きませんね。韻律がないからです。それこそ 単調で変化に乏しい 一本調子の世界です。それから こんな韻律も よく聞きますよね? 疑問文のように 文末が上がるものです? 実際は疑問ではなく 意見なのに? (笑) これを何度も繰り返していると 韻律を使って 意思疎通を図ることが できなくなってきます。それはとても残念なことですから この癖は ぜひとも なくしましょう。

 

8 ペース、音高(ピッチ)、声量

そして「ペース」 とても速く話すと すごく興奮している 感じになります。一方 ゆっくり話すと 強調できます 究極的には よくご存知の 沈黙です。ちょっと沈黙したからって 何も問題はないでしょう? 「えーと」とか「あー」で 沈黙を埋める必要はありません。沈黙には すごい力があります。

感情の高ぶりは普通 「音高(ピッチ)」と テンポで表現しますが 実は音高だけでも可能です。僕のカギをどこに置いた? 僕のカギをどこに置いたんだよ? 音高を変えると 少し違う意味になるでしょう。

最後に「声量」です。声量によって 興奮した感じにできます。驚かせましたかね。あるいは とても静かに話すことで 注意を引きつけられます。大音量でずっと 話す人もいますが それは避けましょう。それこそ「大迷惑」というもので 何も考えず まわりの人に自分の音を 無神経に押しつけているのです。感心しません。

 

9 声のウォーム・アップ方法

こうしたことは 何か重要なことを 伝えるときに 役立ってきます。こんな風にステージで 話すときかもしれませんし 結婚のプロポーズをするとき 賃上げ交渉や 結婚式でのスピーチかもしれません。それが何であれ ここぞ というときには ぜひ この道具箱を見て これから使うエンジンも確認しましょう。エンジンは 温めなければ動きません。声もウォーム・アップしましょう

どんな風にするか お見せしましょう。皆さん ちょっと 立っていただけますか? これから 6つの 声の準備体操をご紹介します。私がいつも話す前に していることです。重要な人と話すときは ぜひやってください。まずは 腕を上げて 深く息を吸って 吐き出します。アーーー こんな風にね もう一度 アーーー いいですよ。つぎに 唇の準備体操です。こんな風に バ バ バ バ バ バ バ バ いいですよ。それから ブルルルルルルル 子どもの頃 やったように ブルルルル これで 唇も準備万端です。つぎに舌を動かします。大げさな「L」で ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ 素晴らしい 皆さん上手ですよ。それから巻き舌の「R」 ルルルルルルル 舌のための シャンパンみたいなものです。最後に ぜひともするべきこと 業界では「サイレン」と言いますが お勧めです 「ウィー」で始まり「オゥ」で終わります 「ウィー」は高く 「オゥ」は低く 行きますよ。ウィーーーオゥ ウィーーーオゥ 素晴らしい 皆さんに拍手を お座りください ありがとうございます(拍手)今度 話をする前には やってくださいね。

 

10 音を意識して環境をデザインしよう

さて 最後にまとめましょう とても重大なことです。今の私たちは こんな状況です。雑音や騒音が渦巻く環境で 聞いてくれない人を相手に あまり上手くない話をしているのです。このことについて 私はここで 様々な側面から お話ししました。もし私たちが 意識的に聴く人を相手に 目的にふさわしい環境で 力強く話せたら 世界はどんな風に なるでしょう? もっと言えば もし私たちが 音を意識的に創り出し 意識的に受け止め すべての環境を 音を意識してデザインしたら 世界はどうなるでしょう? 世界には音が美しく響き そこでは相互理解が 当たり前になるでしょう。これこそ 広める価値のある アイデアです。ありがとうございました。ありがとう(拍手)

 

最後に

うわさ話、批評、ネガティブさ、不平、言い訳、脚色・誇張、事実と意見の混同が「話者の七つの大罪」。正直さ、素直さ、誠実さ、愛の4つが「HAIL」。声域、声色、韻律、ペース、音高(ピッチ)、声量という伝え方も重要。戦争を始め、愛を伝えられるのは人間の声だけ。音を意識して環境をデザインしよう

和訳してくださったYuko Yoshida 氏、レビューしてくださった Emi Kamiya 氏に感謝する(2013年2月)。

サウンド・ビジネス ~「音」から価値を生み出す新手法~


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>