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ジェイ・ウォーカー 「人間想像力の図書館」

「なぜ活版印刷術は成功したと思う?贖宥状を印刷することが、お金を印刷することのようなものだったからだよ」ウォーカーは歴史をつむぐ。ここでは、30万ビューを超える Jay Walker のTED講演を訳し、想像力を育む図書館としてのインターネットの有効性を理解する。

要約

「人間想像力の図書館」の館長であるジェイ・ウォーカーが、TED 2008 のステージの背景を飾った興味深い品々の中からいくつかを手に取って解説するという目を見張るようなセッションを行います。

Jay Walker is fascinated by intellectual property in all its forms. His firm, Walker Digital, created Priceline and many other businesses that reframe old problems with new IT. In his private life, he’s a bibliophile and collector on an epic scale.

 

1 スプートニクは宇宙時代の先駆けだった

この様な石はここ30億年程地球に衝突し続け、この惑星で起こる様々な物事の原因となっていました。これは隕石のサンプルで、鉄が溶けた跡があります。地球に衝突するときのスピードと熱により、無くなったり解けたりします。宇宙から来る隕石の次は 我々はオリジナルのスプートニクを見ています。これは実際には打ち上げられなかった7つあるスプートニクのうちの1つで 複製ではありません。宇宙時代は50年前の10月に始まり スプートニクはその先駆けでした

アポロ11ミッションで月へ運ばれ、 持ち帰られた旗を見る事無しに 宇宙時代を語っても面白くは無いでしょう。宇宙飛行士は絹でできた 10枚程の旗を、自分たちの持ち物の中に含め持ち帰り、額装していました。それでこの旗は実際に月まで行き 戻ってきたのです。楽しいですね。

 

2 なぜ活版印刷術は成功したのか?

本の夜明けも、当然、重要です。そしてグーテンベルグ聖書の複製本無しに 本の夜明けを語っても面白く無いでしょう。1455年のグーテンベルグの本がどれほど携帯に便利だったか 分かるでしょう。しかしグーテンベルグ聖書や技術革命で興味深いのは 本ではありません。ご覧の通り、この本は読まれることで広まったのではありません。 1455年では誰も読み書きできなかったのです。ではなぜ活版印刷術は成功したのでしょうか? これはグーテンベルグ聖書の本物の1ページです。あなたは550年前の活版印刷を使った 人類史上始めての出版物の1つを 見ているのです。我々は現在書物が終わり、電子ペーパーがそれに 取って代わろうとしている時代に生きています。

 

3 贖宥状が印刷できることはお金を印刷しているようなもの

しかし何故それが面白いのでしょうか?こういうことです。1450年頃には カトリック教会はお金を必要としていて「赦し」を発行しました。実は彼らは「贖宥状(しょくゆうじょう / 免罪符)」と呼ばれる、 紙の赦しを手で書いていたのです。彼らはヨーロッパ中を旅してまわり 何百、何千という単位で売り回ったのです。煉獄から早めに抜け出せるように そして活版印刷が発明され 贖宥状が印刷できることとわかった時、それはお金を印刷しているようなものでした。

 

4 活版印刷は贖宥状を印刷するところから生まれた

それで1455年に西ヨーロッパ中が活版印刷を買い始め 何千、何万、そして最終的には 何百万という 煉獄の中からあなたを救い出し 天国に連れて行くという 小さな紙を印刷したのです。それが活版印刷が成功し、マルティン・ルターが 90ばかりの論題 彼はカトリック教会が 西ヨーロッパ中の町や村、都市で贖宥状を印刷し、販売するなど 狂った事だと訴えていました。

つまり、活版印刷は 読書では無く、贖宥状を印刷するところから 生まれたのです。続きはまた明日、博物館の写真を見たいと 言った人の為に、いくつか持ってきました。明日はそれを見る事にしましょう (拍手)

 

5 人類の想像の産物を集めたライブラリー

ステージの上から何かを見せる代わりに 今回初めて特別な事をしてみようと思います。ライブラリーがどのようなものかお見せします。いいですか? 私は世界で最も素晴らしい女性と結婚しました。何故だかすぐに分かります。なぜならアイリーンに会った時 こう言うものを作りたいと言ったからです。

人類の想像の産物を集めたライブラリーです。部屋は3階建てになっており ガラスパネルの中には5000年に及ぶ人間の英知が コンピュータにより管理されています。部屋は劇場になっていて、色を変えられます。ライブラリーの中には様々な物体や空間があり、まるでエッシャーの絵の様です。ここはライブラリーの階下で 展示物が常に変化します。中で歩く事ができ、触れる事ができます。これだけのものが1つの部屋に納まるのです。私自身のサターン5型ロケットもあり、皆も持つべきでしょう。ライブラリーの階下であるここには、本などの展示物があります。グラスパネルの中には、英知の歴史の様なものが詰められています。空中に架かっているガラスでできた 橋の上を歩く事ができます。これは想像の跳躍です。

 

6 我々を人間たらしめるものにより新しいものを創造する

どのようにして創るのでしょうか? 既に私が答えた質問の1つは 我々は周りの環境と刺激、人類の業績や、歴史、我々を人間たらしめるものにより 新しいものを創造するのです。情熱的な発見、遠い過去からの恐竜の骨、 我々が見た宇宙の地図 そして最終的には我々の精神や想像を刺激する通路です。

それで明日、願わくば ステージからいくつかのものを見せたいと思いますが、今日のところは、ここまできて、話をしてくれた人達に 感謝の気持ちを述べたいと思います。アイリーンと私は我が家を公開し、TED コミュニティーと 共有できる事にワクワクしています(拍手) TED は雲の織りなす模様であり、それは繋がりであり、皆が既に見てきたものを見ながら それについて 誰も考えなかったように考える事です。そして、それが発見したり、想像したりするということなのです。

 

7 DNA分子モデルは生命の暗号、エニグマ暗号機は死の暗号

例えば我々は DNA 分子のモデルを見る事ができます。これを本当に見た人はいません しかしこの分子について教えられる事で そこに存在する事を知っています。第2次世界大戦にナチスにより使われた 暗号と復号を行っていた このエニグマ暗号機を見る事ができます。さて、この2つにどんな関係があるのかと思われるかも知れません。これは生命の暗号であり、そしてこれは死の暗号なのです。これら2つの分子、暗号と復号 しかしこれらを見て、機械と分子だと言うかも知れません。しかし新しい見方をする事で これら2つが実はつながりを持っている事に気がつくでしょう。そしてこれらは、主にこちらのものによりつながっています。

 

8 ひとたび思考が形を変えてしまうと、元の形には二度と戻らない

つまり、これは人間の脳のモデルで 珍しいものです。普通は脳を見る機会などありませんから 見えるのは頭ですが、中身はこれです。全ての想像、我々が考える全てのもの、 感じる事、気がつく事は、人間の脳により現れます。そして、この脳の中で新しいパターンを作ると、ひとたび思考が形を変えてしまうと、元の形には2度と戻りません

 

9 つながりは、Webを動かし、我々ができると思うことを可能にするために必要なエネルギー

簡単な例をお見せしましょう。インターネットを考えましょう。我々はインターネット上で交わされる情報について考えます。そして隠されたつながりについて考えることはありません。しかし私は石炭のかけらを持ってきました。ここです、石炭ひとつ 石炭がインターネットと何の関係があるのでしょうか? 1メガバイトの量の情報がインターネットを駆け巡るのに 必要なエネルギーというのが石炭ひとつ分なのです。ファイルをダウンロードする時には 1メガバイトが石炭ひとつに相当するのです。200メガバイトではどうでしょうか。このようになります。つまり1ギガ、2ギガ(バイト)のデータを ダウンロードするのは、タダでは無いのです。つながりは、Webを動かし、我々ができると思うことを 可能にするために必要なエネルギーなのです。ありがとう、クリス (拍手)

 

最後に

「DNA分子モデルは生命の暗号、エニグマ暗号機は死の暗号」つながった。編集は創造

和訳してくださった Akira KAKINOHANA 氏、レビューしてくださった Masahiro Kyushima 氏に感謝する(2008年12月)。

美しい知の遺産 世界の図書館


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