imagination

ジャネット・エシェルマン 想像力を真剣に捉えよう

「想像力を真剣に捉える、というお話をします」ジャネットは語りかける。ここでは、130万ビューを超える Janet Echelman のTED講演を訳し、純粋な独創性について理解する。

要約

ジャネット・エシェルマンが芸術家として真の表現力を発見したのは、彼女の絵画が紛失したために未知の素材を芸術に転用することをを余儀なくされた時でした。現在 彼女は、異端な手法で流動的に風にそよぐ超巨大作品を手がけています。純粋な独創性について10分間でお話しします。

American artist Janet Echelman reshapes urban airspace with monumental, fluidly moving sculpture that responds to environmental forces including wind, water, and sunlight.

 

1 「想像力を真剣に捉える」

「想像力を真剣に捉える」という 話をします。14年前に 何世紀もの間 同じ手法で使われてきた この漁網に出会いました。今日 私はこれを利用して 世界中の都市で耐久力と官能性を備えた 朽ちることのないハードエッジな 作品を創っています。元々はこんなことに興味がありませんでした。彫刻、エンジニア、建築 どれも勉強したことはありませんでした。大学卒業後に アート・スクール7校に出願しましたが 結果は全て不合格でした。

我流で芸術家になる道を選び フルブライト奨学金でのインド留学が決まるまで 10年間 絵を描いていました。絵画展の約束をして製作途中の作品と共に 私はマハーバリプラムに着きました。展示品の締め切りになりましたが 作品は完成していませんでした。どうにかしなくてはいけませんでした。この漁村は彫刻で有名なところです。私はここで銅像に挑戦しました。しかし大型のものは重く 費用もかさみます。浜に散歩に出かけると 砂の上に網を巻き上げている 漁師を目にしました。こんな風景は毎日見ていましたが その時は違って見えました。彫刻に対する新たなアプローチ — 巨大な作品を重たい素材を使わずに 創り出す方法に思えたのです。

 

2 迷い込んでしまうような作品

漁師との共同作業で 初めて満足のいく作品ができました。これは自画像で タイトルは 「大きなお尻」です (拍手) 写真を撮るために網をポールに巻いてみると この滑らかな表面は とめどなく変わる風の 流れを映し出してくれると 気が付きました。虜となった私は引き続き 伝統工芸を研究し 職人の協力を得て 作品を作りました。これは リトアニアのレース職人と作ったものです。作品に細かなデテールが 加わったのは良かったのですが より大きな作品を作りたくなりました。眺めるものというより 迷い込んでしまうような作品にしたかったのです。

漁師と作業をするためにインドに戻って 手作業で150万ヶ所を結んで 巨大なネットを作りました。これはマドリッドに設置しました 何千もの人が見に来ましたが その中の一人はポルトガルの ポルトの水辺地帯再開発に 携わっている マヌアル・ソラ・モレラスでした。彼は私にこう尋ねました 「これを街の一部に出来ないだろうか?」 私の作品が彼の期待にそって 保存可能かどうかはわかりませんでした。耐久力や永久性といったものは 特異性、繊細、短命といった 要素とは対極に位置するものです。

 

3 緻密な造形と柔らかな動き

紫外線や塩気のある風や 大気汚染への耐久力と 風に揺れる柔らかさを兼ね備えた 繊維を2年もの間 探し回りました。ロータリーの中央でも 劣化しないものが必要でした。最終的に約2万キロのスチールの輪を使いました。そよ風の中でも優雅に揺れ動き ハリケーンにも 飛ばされない構造が必要でした。しかしこのような穴だらけで 動きのあるものを設計するソフトはありませんでした。私は 米国ヨットレースの帆をデザインしている 素晴らしい航空エンジニアを見つけました。ピーター・ヘッペルです。緻密な造形と柔らかな動きという 相反する2つの課題の克服に 知恵を貸してくれました。

私1人では完成できなかったでしょう。単に網を手で結んだだけでは ハリケーンには対抗できませんからね。そこで漁業網の製作所で 彼らの様々な手法を学んで スチール製の素材でも レースを編むことでできる 方法にたどり着きました。彼らの古来から伝わる 一風変わった手作業をマシンが扱えるものに 変換する言語はなかったので 私達が作る必要がありました。3年かけて試作品2つを経て遂に 約4600平方米のネットを作り上げました。私が想像していたものが 実際に設計されて 完全に再現されたことは 信じられませんでした(拍手)

 

4 フィラデルフィア市役所

このロータリーは特徴も面白みもない場所でしたが 今では十分な存在感を感じられます。この下を初めて 歩いたのは私でした。風の振り付けを眺めていると 囚われたような感じと共に 無限の空への 解放感を感じました。人生に新風が吹き込みました。私は世界中の都市でこのような 作品のオアシスを作りたいと考えています。私の作品の新たな方向性を 2つご紹介しましょう。

これは由緒あるフィラデルフィア市役所 この広場の作品にはネットよりも軽量の 素材が必要だと感じました。そこで極小の水粒子の ドライミストをまいて 風で造形するという 手法を試してみました。試作段階でわかったのですが ミストで濡れることなく 人の動きを利用しても造形ができます。この素材を利用してリアルタイムで 地下鉄の運行軌跡を地上に映し出しています。展開する交通システムが まるで街のレントゲン写真のようです。

 

5 西半球の35か国の国旗と団結性

次の挑戦は デンバーのBiennial of the Americasという イベント団体からの依頼でした。西半球の35か国の国旗と団結性を一つの 作品に表現したいというものでした (笑) どこから手をつければいいのかわかりませんでしたが 「はい」と言っていました。私は 先日のチリ地震と 太平洋全域に押し寄せた津波の 記事に目を付けました。この地震によってプレートがずれ 地球の自転が早まり 実際に1日の長さが短くなりました。そこで米国海洋大気圏局に 津波のデータを貰えないか交渉して このような作品が出来上がりました 「1.26」というタイトルは 地震によって短くなった一日の時間を マイクロ秒という単位で表した数値です。

鉄の輪では作るのは無理でした。とても複雑な構造ですから。そこで私は鉄製の骨組みの代わりに 鋼の15倍の耐久性を持つ 柔らかいメッシュを採用しました。作品全体に柔らかさが出て 軽量化ができたので 建物に結びつけて 文字通り 街の一部にすることができました。重力を考慮しつつ このような複雑な網の構造をモデル化できる ソフトはありませんでしたので 私達が作る必要がありました。

 

6 私の芸術に限界は存在しない

それから ニューヨークから電話があり タイムズスクウェアかハイライン公園に このコンセプトを生かせないかと 打診を受けました。この新たな柔構造のおかげで 私は高層ビルと 同じスケールの作品を 設計することができたんです。出資者はまだいませんが 私の今の夢は 作品を世界中で最も必要とされている 場所に持って行き展示することです。

14年前は 伝統的な工芸品に 美しさを 探し求めていました。これにハイテク技術とエンジニアを統合することで 今では官能的で耐久力のある巨大な 作品を生み出しています。私の芸術に限界は存在しません

最後に1つ話をして終わりましょう。先日フェニックスに住む友人から電話がありました。今までは芸術には見向きもせず 地元の美術館すら行ったことがなかった ある弁護士がビル中の人を 外へ連れ出してこの作品の下で 横になったというのです。スーツのまま 知らない人と一緒に 芝の上に横になり 変わりゆく風のパターンを見て 素晴らしい体験を共有してくれていたそうです。ありがとうございました(拍手)

 

最後に

「想像力を真剣に捉える」相反する要素や難しいテーマも工夫次第で作成できる。柔軟に考えよう。

和訳してくださったTakahiro Shimpo 氏、レビューしてくださった Masayo Maeda 氏に感謝する(2011年3月)。

子どもたちの想像力を育む―アート教育の思想と実践


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>