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チャーリー・トッド バカバカしさの共有体験

「Improv Everywhere がどのように騒ぎを起こして人々を結び付けていると思いますか?」トッドは語りかける。ここでは、230万ビューを超える Charlie Todd のTED講演を訳し、バカバカしさの共有体験について理解する。

要約

ビルの窓で一斉に踊る70人のダンサー。 ニューヨーク公共図書館の駆け抜けるゴーストバスターズ。 そして毎年恒例の「ズボンなし地下鉄乗車」。 このような突飛で意外な笑いを誘う騒ぎを公共の場で起こしているのがチャーリー・トッドです。 彼のグループ「Improv Everywhere」がどのように騒ぎを起こして人々を結び付けているか、TEDxBloomingtonで彼が語ります。

Charlie Todd is the creator of Improv Everywhere, a group that creates absurd and joyful public scenes.

 

1 「ズボンなし地下鉄乗車」

Improv Everywhereを始めたのは10年ほど前です。芝居とコメディに興味を持ちニューヨークに来た当時 新しい街で 舞台に立つ機会がなかったので 公共の空間に自分の場を創ることにしました。

最初にお見せする企画は 初の「ズボンなし地下鉄乗車」で 2002年の1月に行いました。この女性がビデオの主人公です。撮影されていると気づいていません。隠しカメラで撮影しています。ニューヨーク市の地下鉄6ライン列車内で これが路線の最初の停車駅です。デンマーク人の男が 2人やってきて隠しカメラの横に座りました。この茶色のコートの人が僕です。外は摂氏-1度ほどで 僕は 帽子を被ってマフラーをしています。女性がもうすぐ僕に気づきます (笑) ご覧の通りズボンを履いていません (笑) それでこの時点で― この時点で女性は僕に気づきました。でもニューヨークの地下鉄ですから 1人くらいは珍しくありません。女性は本に戻ります。ちなみに題は「レイプ」です (笑) 変なものを目撃したけれど 気を取り直したわけです。

 

2 一旦共有されるとおかしくて笑える状況になる

さて一方では 僕の友達6人が 次の6つの停車駅で下着姿で待っています。1人ずつこの車両に乗ってきます。僕らはお互い他人のフリをして この凍える1月の日にズボンを忘れるという 不幸な間違いをしただけのように振る舞います (笑) この時点で女性は レイプの本をしまうことにします (笑) そして周囲にもう少し注意を向けることにします。

カメラの左側のデンマーク人2人は こんな滑稽なことは 見たことがないと爆笑しています。彼らと女性が目配せしますから見ていてください (笑) このビデオの瞬間は最高です。ここで体験を共有するまでは 女性にとってこれは少し不気味な よく分からない状況だったのに 一旦共有されると 可笑しくて 笑える状況になったからです。

電車は今6ラインの 3つ目の停車駅に到着しました (笑) 最後まで全部お見せしませんが この状態があと4駅続きます。計7人の誰か分からない男らが下着姿で乗り込んできます。8つ目の駅では巨大な袋を抱えた 女の子が乗ってきて1ドルでズボンを売ると言います。電車の中で電池やアメを販売する要領です。僕らは皆 当然のようにズボンを買って履き 「すごいタイミングだ。ありがとう」と言って 何が起こったのか説明もなく電車を降りて それぞれ別の方向に去ったのでした(拍手)ありがとう。

 

3 公共の場で騒ぎを起こして人に楽しんでもらう

これはビデオからの画像です。女性の反応が最高でした。その日あとからビデオを観ていて 続けてみようと思いました。Improv Everywhereの目的の1つは 公共の場で騒ぎを起こして 人に楽しんでもらうことです。イタズラですが 面白い話のネタになるイタズラです。女性の反応がよかったので 第2回ズボンなし地下鉄乗車を行い その後毎年続けるようになりました。今年1月には10回目を行いました。3,500人の様々な人たちが 下着姿でニューヨーク市内の 地下鉄のほぼ全線に乗りました。また 世界中50ヶ所の都市でも 人々が参加しました(笑)

即興劇場で即興のクラスを取り始め 他の創造的な人や役者やコメディアンに出会うにつれ この様な企画に参加を希望する人の メーリングリストを作り始めました。より大規模な企画を行うためです。ある日ユニオンスクエアを歩いていて このビルを見ました。2005年に建設されたばかりです。するとビルの窓ぎわで女の子が踊っていました。外は暗くビル内は明るかったので 独特な感じで しかも 観衆を意識した踊りでした。でもなぜだか分かりました。ディスプレイの後ろにいた友達が 15秒ほど後に現れ 2人は 笑い抱き合ってから走り去りました。人前で踊れるか賭けたのでしょう。そこで僕は思いつきました。ビルの正面にあるのは計70の窓 することは決まっていました(笑)

 

4 「もっと見上げて」

「もっと見上げて」企画では70人の役者に黒を着せ 全く許可なしで行いました。店舗には知らせませんでした。そして僕は公園から合図を出し 最初の合図で全員が1mほどの大きさの文字を掲げ 「Look Up More」と綴りました。企画名「もっと見上げて」です。次の合図で一斉に挙手跳躍をしました。運動開始がここで見られます (笑) 次はダンスで全員が踊りました。それから全員が1人を指差して その人だけが踊るソロもしました (笑) そして手で次の合図をすると 下のFOREVER 21にいる次の人が ソロのダンスをしました。他にもいくつかのことをしました。ジャンプしてもらったり 床に伏せてもらったりです。トレーナー姿の僕はそしらぬ顔で 手をゴミ箱に置いたり離したりして 進行合図を送っていました。現場はユニオンスクエアで 地下鉄の駅のすぐそばだったので 終わる頃には何百人もの人が 立ち止まり僕らのしていることを見上げていました。その時のもっといい写真です。

 

5 青いポロシャツとカーキのズボンは違法?

このイベントは たまたま目にした出来事から ヒントを得て行いました。次にお見せしたい企画は 知らない人がメールでくれました。2006年にテキサス州のある高校生に言われました 「できるだけ沢山の人を集めて 青のポロシャツとカーキのズボン姿でBest Buyの 店内にぼーっと立ってもらえば?」 (笑) (拍手) 僕はすぐに「君の言う通りだ」と 返信しました 「今週末やってみる。ありがとう」 というわけでそのビデオです。

これは2005年のことで これはニューヨーク市のBest Buyです。約80人が参加したいと集まり 1人ずつ店に入りました。参加者には8歳の女の子 10歳の女の子 65歳の男性もいました。とても多様な人々のグループです。僕からの指示は 「実際に仕事をしないこと。買物もしないこと。ただブラブラして 商品も見ないこと」でした。正規の従業員たちがいます。シャツに黄色のロゴがある人たちです。他は皆 僕らの役者です(笑)

一般従業員は面白がっていました。休憩室に自分のカメラを取りに行き 僕らと写真を撮った者もいました。冗談で僕らに重たいテレビを裏からお客様のところへ 運んでこさせようとする者も沢山いました。でも店長たちや警備員は 特に面白がってくれませんでした。この映像に彼らも映っています。黄色か黒のシャツを着ています。僕らが現れて大体10分くらいで 警察に通報されました (笑)

そして彼らは店内中を回り 「警察が来るぞ、いいのか」と皆に警告し始めました。ちょうどここの映像で警官たちが見えます。黒い制服を着た警官が隠しカメラで撮影されています。最終的には 警察がBest Buy側に 青いポロシャツとカーキのズボンは 違法ではないと言って終わりました(笑)(拍手)ありがとう(拍手)

こうして僕らは20分ほどで満足して店を出ました。店側は僕らのカメラを 見つけようとし かばんにカメラを隠していた2~3人が捕まりました。でもある男性は捕まりませんでした。空のテープだけ持って Best Buyのカメラ売り場に行き 商品のカメラにテープを入れて 買い物しているふりをしたんです。敵の技術を利用するとはなかなかです(笑)

 

6 いい企画とは場所に合ったもの

いい企画とは場所に合ったものです。その場で行う意義のあるものです。ある朝 僕は地下鉄に乗っていて 53番通りで乗り換えでした。巨大なエスカレーターが2つあり 混雑した朝にはとても気の滅入る場所です。そこである日の朝を出来るだけ 楽しくすることをやってやろうと決めました。これは2009年の冬で 朝の8時半です。朝のラッシュ時間です。外が非常に寒い日です。人々はクイーンズからやって来て Eラインから6ラインに乗り換えています。巨大エスカレーターを上がって 仕事に向かう途中です。

「ロブがあなたにハイタッチしてくれます」(笑)「用意はいいですか?」(笑)「この人がロブ」(拍手)

ありがとう。もう少し分かりやすい写真です。ロブはその日2千回ハイタッチしました。でも前後に手を洗って 風邪をひいたりなどしませんでした。これも許可なしで行いましたが 誰も気にしてないようでした。

 

7 「暇すぎなんじゃないか」

さて長年の間で YouTubeでの匿名コメントで一番多かった Improv Everywhereへの批判は 「暇すぎなんじゃないか」でした。誰もが自分のやることに好意を持つとは限りません。実際おかげで面の皮も厚くなりました。でもこれは前から気になっていました。僕らは暇なわけじゃないからです。Improv Everywhereの参加者の余暇の量は 他のニューヨーカーと変わりません。たまに変わったことをして 過ごしているだけです。

秋になると何十万人の人々が 毎週末スタジアムに行って フットボールの観戦をします。でもフットボールの試合を見て 「観客は暇すぎなんじゃないか」と言う人はいません。それにもちろん暇じゃないんです。スタジアムでのフットボール観戦は 全く素晴らしい週末の午後の過ごし方です。でも他にも全く妥当な過ごし方はあり グランドセントラル駅で静止状態で 200人の人と午後を過ごしたり ゴーストバスターの格好で ニューヨーク公共図書館内を走ったり (笑) 3千人の人と一緒に同じMP3を聴きながら 無言で公園で踊ったり スーパーで前触れなくミュージカルの 歌を突然歌い始めたり 正装してコニーアイランドの海に飛び込んだりです。

 

8 遊ぶのが楽しいというだけでいい

子どもは遊ぶことを教わりますが 遊ぶ理由まで教わりません。遊ぶのが楽しいというだけでいいのです。これがImprov Everywhereの意味とも言えます。意味がなく意味の必要もありません。理由も要りません。楽しくて 面白そうなアイデアで 目撃する人たちにも楽しんでもらえそうなら 僕らにはそれで十分です。遊び方には良いも悪いもないと 大人は学ぶ必要があると思います。どうもありがとうございました(拍手)

 

最後に

Improv Everywhere の目的の1つは公共の場で騒ぎを起こして人に楽しんでもらうこと。「ズボンなし地下鉄乗車」「もっと見上げて」「青いポロシャツとカーキのズボン」。いい企画とは場所に合ったもの。遊ぶのが楽しいというだけでいい

和訳してくださったSawa Horibe 氏、レビューしてくださった Wataru Narita 氏に感謝する(2011年5月)。

Causing a Scene: Extraordinary Pranks in Ordinary Places with Improv Everywhere


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