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政府頼みをやめリテラシーを身につけよ 国民の情報収集の問題

前回は、世界恐慌・終戦直後の国債引受 高橋是清・石橋湛山に学ぶ復興の歴史についてまとめた。ここでは、政府頼みをやめリテラシーを身につけよ 国民の情報収集の問題について解説する。

1 必要なのは義援金よりも「ふるさと納税」

納税先は故郷以外でもいい

「ふるさと納税」とは、自分で選んだ自治体に寄付すると、払った住民税の1割までが税額控除できる制度である(法人税ゼロ、寄付控除、地方分権の財源 税と地方分権の問題点参照)。しばしばふるさと納税は、自分の出身地へするものと誤解されているが、実際はどの自治体に対してもできる。サラリーマンでも、確定申告を行えば税額控除なので、義援金のほとんど部分が還付金で戻ってくる。

ふるさと納税は、自治体ごとに受け入れ方法が異なる。例えば、インターネットなどで寄付申出書をダウンロードし、それに必要事項を記入して郵送するという方法をとっているところもある。

 

ふるさと納税はなぜ誤解されたのか

ふるさと納税が誤解されているのは、財務省等の役人の反対を押し切ってつくった制度なため、マスコミが正確に書かなかったためである。そもそもその発端は、2007年5月1日にパリから発信されたニュースだった。菅義偉総務大臣(当時)が「地方で生まれ育って都会に出る人が多いが、税の一部を自分の故郷や好きな町などに納税し、恩返しをしたいという要望は強い。地域活性化や過疎対策にもなる」と語った。これが「ふるさと納税」の原型である。

 

予想通り財務省が反対

検討の過程で最も反対したのは財務省だった。反対理由は「地方税は居住地の地域サービスを受ける対価なので、住んでいない地域に税金を送る制度はおかしい」とか「寄付は自己犠牲という崇高な理念なので、税額控除を認めるのはおかしい」といったものだった。

前者については「地方財政は地方税より国からの補助金や交付金のほうが多い」のが実情だから理由にならない。後者については「中央官庁は国民のカネを税金として巻き上げ、自分たちの権限で使うのが当たり前と考えているだけだ。しかも、自らの天下り先に使ったりしてムダ使いしている」と反論できる。

しかし、財務省の抵抗は強力で、特に税額控除について認めなかった。その理由は、寄付税制は政治資金を除いて所得控除だったからである。当時の制度では、高所得者は限界税率が高いので寄付税制を多く利用する傾向があるが、全体の利用については控除比率が0.1%にも満たず低調である。

 

創設当初は税額控除方式だった

しかし、ふるさと納税については税額控除にできる見込みもあった。その理由は、わが国において寄付金控除制度が導入されたのは昭和37(1962)年だったが、創設当初は税額控除方式だったからである。それが昭和41(1966)年に所得控除方式に変更されているが、その理由は税制簡素化などと曖昧である。もともと昭和37年の寄付金税制創設の趣旨は、公益活動に対する民間からの寄付だったので、ふるさと納税の趣旨からすれば当初の創設趣旨に合致していた。

結局、自民党2008年税制改正大綱において、個人住民税の寄付金税制は所得控除から税額控除に改められた。もっとも、控除額は複雑で完全な税額控除方式ではなく、全額控除ではない。例えば、10万円寄付すると2万円程度の持ち出しになった。

 

官僚の中抜きになるというメリット

こうして、ふるさと納税の仕組みは日本で唯一の税額控除制度となった(政治献金を除く)。寄付金税額控除は、官僚の中抜きになるというメリットがある。

これはいずれ、寄付の相手を地方自治体に限らず、独立行政法人、公益法人、福祉法人、NPOなどへ拡大していく第1歩と考えられる。つまり、「民間の公益化」である。「1に自助、2に共助、3に公助」という考え方のうち、2の共助を促進する制度である。

 

2 風評、デマによる経済損失をどう回避するか

情報リテラシーはどう身につけるか

情報リテラシーを身につけるには、多様な情報を入れるクセをつけるのがよい。例えば、新聞の情報のみならず、政府やネットの情報も同時に見る必要がある。また、英国国営放送のBBC(British Broadcasting Corporation)や米国のCNN(Cable News Network)なども参考にするとよい。

たくさん情報を集めて処理する能力は、上に立つ人には絶対に必要となる。自分でできなければ、その分野の情報が正確な人を探しておき、意見を聞けばいい。自らのブレーンを選んでおけばいいのである。

 

パニックを招く放射能アレルギー

放射能は強さによっては人体に深刻な被害をもたらすが、一定の知識を持てばパニックを防ぐことができる。例えば、問題になっている数字が、1日だけのものなのか、それとも1年にわたるものなのかを見極めればよい。

世の中に100%の確率のものはほとんどない。リスクとは0か100かではなく、その間のいろいろな数をとり得るものだと理解する必要がある(伸び率や水準と変化のすり替えに気をつけろ 絶対値によるリスク表示参照)。

 

3 停電による経済損失を回避せよ

東日本大震災は、関東圏に「計画停電」という事態を引き起こした。震災被害にあった東京電力の発電所は、福島第一原発のみならず、各地の火力発電所も含まれており、全発電能力の40%程度がダメージを受けたとされる。その結果、2011年の3月28日まで計画停電が実施された(東京電力、計画停電打ち切り 政府、夏も「原則実施しない」方針)。

2001年1月の米国カリフォルニアの計画停電では、州政府が金銭介入し、電力価格の採算が取れるようになったため電力業界に新規参入が起こり、その後の電力事情が安定的になった。

 

計画停電をやっていたら1兆円の損失

当初東京電力では、夏場にも計画停電を実施する予定で、東京23区も千代田、中央、港区を除いて対象になるとアナウンスされていた。実際には計画停電は行われなかったが、仮に1ヶ月実施された場合、日本のGDPは1兆円程度少なくなるようである。機械の稼働率が低くなって、生産高が少なくなり、それで稼ぐ所得が少なくなるのである。

この損失を回避するためには、計画停電になっても稼働率を低くしない工夫が必要である。停電は需要のピーク時(午後から夕方)に最大供給能力が追いつかなくなって起こるので、ピーク時の需要を下げて平準化すれば停電の必要はなくなる。

 

解決策は送電網の開放と補助金

家庭では、日中のエアコン温度を高く設定したり、まき水を全世帯で実施してエアコンなしの日を政府が設定すればいい。ライフスタイルをできるだけ夜型にシフトして、日中のエネルギー消費を少なくすればよい。

企業でも、自家発電で余った電気を一般家庭にも配電できるように規制緩和することが必要である。自家発電によって収益を得られるならば経営の助けにもなる。そのための補助金を考えてもいいだろう。参院、首相問責決議を可決=電気事業法、一転廃案-通常国会閉幕となかなかスムーズには進まないが、発送電分離を行うことが必要だろう。

 

最後に

正しい情報を手に入れるクセがあれば、パニックを起こさずに行動できる。まずはスポンジになって吸収しよう

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