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義理・人情・プレゼントから合理的思考へ 保険会社の仕組み

前回は、保険の原理は死の宝くじ 生命保険の仕組みについてまとめた。ここでは、義理・人情・プレゼントから合理的思考へ 保険会社の仕組みについて解説する。

5 保険会社の仕組み

「相互会社」は腐敗の始まり

相互会社は腐敗の始まりといえる。まず、相互会社は株式を上場していないため、市場からのチェックを受けることがない。また、経営内容の公開基準もゆるく、日産生命のように何年も前から債務超過に陥っていても決算をごまかすことができる。さらに、株主は何十万人もいる契約者であるため、利害を共有し、経営に関与する大株主やメインバンクもいない。こうして、経営陣は監督官庁である旧・大蔵省以外に遠慮することなくやりたい放題ができ、「企業統治」が機能しない状態になっていたのである(保険会社内部からの観察の記録として、出口治明氏の『生命保険はだれのものか―消費者が知るべきこと、業界が正すべきこと』が参考になる)。

 

死差益・利差益・費差益

保険会社の利益の要素は以下の3つである(三利源)。

  1. 死差益:死亡率の差から生じる利益。想定事故率よりも実際の事故件数が少なければ、その分が利益になる。地震や戦争による死亡には免責条項がつけられている
  2. 利差益:運用利回りの差から生じる利益。予定利率(運用利回り)より運用成績がよければ、その分が利益になる。利差損の生じている状態を「逆ざや」という
  3. 費差益:費用の差から生じる利益。予定経費より実際の運用コストが低ければ、その分が利益になる

 

生保会社が破綻したら

生保会社が破綻したら、生命保険契約者保護機構が責任準備金(≒保険金)の90%を補償する。財源は、保護機構の会員である生命保険会社の負担金である。ただし、平成29年(2017年)3月末までに生命保険会社が破綻した場合で、生命保険会社各社の負担金だけで資金援助等の対応ができない場合には、国会審議を経て、国から保護機構に対して補助金を交付することが可能である。

 

予定利率引き下げの陰謀

生命保険会社の破綻の多くの原因は、運用の「逆ざや」にある。そこで、予定利率を引き下げる必要があるが、引き下げの検討が報じられた瞬間から解約が殺到する可能性が高いため、なかなか踏み切ることができていない。

 

早期是正措置とソルベンシー・マージン

1999年4月より、保険会社に対する早期是正措置が実施された。生保の健全性を示す基準にソルベンシー・マージン比率が200%を切ると「第1区分」に分類され、金融庁より「経営改善計画の提出・実行」が命ぜられるというものである。

ソルベンシー・マージンとは、保険金支払いのために用意された責任準備金を超えて、突発的なリスクに対応できる「支払い余力」のことである。ソルベンシー・マージン比率は、この支払い余力がリスク相当額(保険リスク、予定利率リスク、資産運用リスク、経営管理リスクの合計)に対してどの程度あるのかを見る指標で、「ソルベンシー・マージン総額」を「リスク相当額」の2分の1で割って求める。つまり、ソルベンシー・マージン比率200%とは、支払い余力がリスク相当額に一致することを表す

自己資本が相対的に多い保険会社の中には、ソルベンシー・マージン比率が1000%を超える会社もある。また、設立から年数の経っていない保険会社も、自己資本に見合うリスクをまだとっていないため一般に比率が高い。2012年12月現在のソルベンシー・マージン比率のランキングは保険の情報ブログが参考になる。

 

生保会社はボロ儲け?

生命保険の原価(純保険料)は養老保険で約80%、終身保険で約70%、定期保険で約50%と言われてきた。つまり、定期保険の場合、加入者が支払った保険料の半分が保険会社の経費(付加保険料)として使われていたのである。しかし、ライフネット生命が付加保険料を開示するなど、ネット生保が進出する中で原価率は上昇してきている。

 

世界に冠たる「保険大国」のGNP

こうした高収益体質に支えられて、これまでの生保は、大量のセールス・レディによるGNP(義理・人情・プレゼント)を武器に契約を取っていた。セールス・レディは1年間で約3分の1が入れ替わるとされ、完全なる歩合給の厳しい世界である。一方、成績優秀なセールス・レディには温泉旅行や海外旅行を用意するなど、会社からの接待も多かった。こうしたセールス・レディ優遇体質が、大手生命保険会社の実体だったのである。

 

生命保険に加入するな!?

保険が高コスト商品であることを前提に考えると、最も賢い方法は保険に加入しないことである。もしくは、子育て期間中にのみ掛け捨てで定期保険に入ったり、病気やケガで長期間働けなくなった場合に備えて保険に入るなど、必要最低限の保険にのみ加入するのがよい。もちろん既存の大手生命保険会社でなく、ネット生保や共済などと比較して入るほうがいいのは言うまでもない。

共済と生保の大きな違いは、共済は保障性に特化されており、貯蓄性の機能がないことである。その意味で、定期保険と共済は似ている。違いは、前者が死亡保障のみに特化できることで、後者は医療保障と死亡保障がセットになっていることが多い。つまり、死亡保障のみがほしい場合はネット生保、医療保障も死亡保障もほしい場合は共済に入ることをおすすめする。参考として、以下に県民共済のメリットとデメリットを述べる(生命保険の選び方参照)。

メリット

  • 掛け金が安い:年齢や性別に関わらず、掛け金が一定(高齢になるほど割安)
  • 医師の診断書が不要:過去の病歴についても、自己申告制でよい
  • 保険料の支払いが早い:不払い問題が少なく、請求書も郵便局などで入手できる

デメリット

  • 保障額が少ない:病気の死亡保障が最高で800万など
  • 定期保険(掛け捨て)のみ:決められた期間(65歳や85歳など)を過ぎると無保障状態になる
  • 医療保険と生命保険がセット:死亡保障が目的の場合は、ネット生保の方が割安

 

最後に

保険会社の利益の源泉は、死差、利差、費差。費差益に当たる付加保険料は、養老保険で約20%、終身保険で約30%、定期保険で約50%とされ、ぼろ儲けであった。しかし、ネットなどによる情報公開によってその利益率は落ちてきている。「相互会社は腐敗の始まり」と言われないよう、保険会社も企業統治に力を入れる時代が来ている。GNPから合理的思考へ。ライフネット生命がもたらした生保経営の健全化の波は、徐々に広がっている

次回は、定期付終身保険と転換セールス DIYによる保険ポートフォリオについてまとめる。

世界にひとつしかない「黄金の人生設計」


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