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ダイアナ・ライス 動物種間インターネット?進行中のアイディア

「類人猿、イルカ、象には素晴らしいコミュニケーション能力があります」ライスは語りかける。ここでは、60万ビューを超える Diana Reiss ら4人のTED講演を訳し、動物種間インターネットについて理解する。

要約

類人猿、イルカ、象には素晴らしいコミュニケーション能力があります。インターネットを、彼らの様な知覚動物も使える規模に出来ないでしょうか。イルカ研究家ダイアナ・ライス、音楽家ピーター・ガブリエル、「モノのインターネット」のビジョンの持ち主ニール・ガーシェンフェルド、インターネットの創始者の一人ヴィント・サーフの偉大なる4人の思想家が、新しい取り組みのアイデアを披露します。

Peter Gabriel writes incredible songs but, as the co-founder of WITNESS and TheElders.org, is also a powerful human rights advocate. As Director of MIT’s Center for Bits and Atoms, Neil Gershenfeld explores the boundaries between the digital and physical worlds. Diana Reiss studies animal cognition, and has found that bottlenose dolphins (and Asian elephants) can recognize themselves in the mirror. Vint Cerf, now the chief Internet evangelist at Google, helped lay the foundations for the internet as we know it more than 30 years ago.

 

1 イルカには自己認識力がある

皆さんは クルクル遊んでいるイルカを ガラス越しに見ているようですが 実際は マジックミラーに映る 回転している自分の姿を 見ているイルカを見ているのです。このイルカは自分を認識しています。自己認識力があるのです。ベイリーという名の若いイルカです。私はイルカの知性を理解しようと 30年間研究してきました。人とはとても異なるこの動物の知性の 研究方法をお話しします。私のシンプルな研究道具は鏡です。鏡は動物の思考を映し出すことによって 多くの貴重な情報を提供してくれるのです。イルカだけが鏡の中の自分を 認識出来る動物ではありません。これは人間特有の能力だと思われていましたが。私たちに一番近い大型の類人猿にも その能力があります。そしてイルカと 象にもあることがわかりました。私達はイルカと象で研究をしましたが 最近カササギでも証明されています。

 

2 人間以外の動物も意識や感情を持ち、認識力もある

面白いことに 私たちは ダーウィンの説く形状的進化の連続性は 受け入れてきたのですが 動物の認識力や感情 意識といったものの連続性の認識は かなり遅れています。人間以外の動物も意識を持ち 感情があり 認識力があります。種々の動物を使った数々の研究が ここ何年もの間に行われ 人間以外の動物たちにも 思考や意識があると証明されてきました。私たちだけではありません。こんな能力を持つのは私たちだけではないのです。私の大きな夢の1つは 他の動物達にも意識があることや 人間と他の動物との関係に 私達がもっと気づくことで 動物を大切にし ふさわしい形で保護する様になる事です。これが私の夢なんですが これについて皆様に考えて欲しいと願っています。

 

3 タッチスクリーンキーボードでの交流

ではイルカに戻ります。30年間 共に働いて来て とても身近に感じる 動物なのです。彼らは個性を持っています。人ではないので人格ではなく 個性と言っておきますが 本当に 異星生物のような動物です。私たちと姿はずいぶん違ってます。私たちとは全く違い全く違う環境にいます。事実9,500万年前に人と分岐して 別の進化の道をたどりました。この体を見て下さい。彼らは 本当に文字通り 地上の生き物ではありません。こんな動物とどう交流したらいいものかと思いました。私は1980年代に水中キーボードを考案しました。これは特製のタッチスクリーンキーボードです。イルカに選択を与え選べる様にしたのです。脳の大きな 非常に社会性のある動物です。そこで考えたのはイルカが選択肢から選べる装置 キーボードの記号をタッチするものです。この時 使用したのは光ファイバーケーブルで HP製のものでAppleⅡと接続していました。今やこれは原始的に見えますが これが当時のテクノロジーだったのです。イルカが記号のキーを押すと コンピューターの発するホイッスル音が聞こえ 物かアクティビティが与えられます。

 

4 イルカは自立的学習もできる

これがそのビデオです。これはデルファイとパンです。デルファイがキーを押すと人工のホイッスル音が聞こえ(ホイッスル音) ボールをもらい 何が欲しいのかを伝えられるのです。驚く事にイルカは自らこのキーボードの使い方を学んだのです。私たちの手助けもなしにです。自分たちでキーボードをいじり回し遊び その仕組みを理解したのです。すぐに人工音まで真似し始めました。キーボードから流れる通りに 自然に真似を始めたのです。その上 彼らは記号と音と物とを 関連付けられるようになり始めました。これは自立的学習です。新しいテクノロジーで一体どんなことが出来るでしょう? どうすれば 互いをつなぐインターフェース 動物の心を覗く新しい窓を今の技術で作れるのでしょう。

 

5 動物の方が人間の言葉を上手く理解できる

これについて考えていたある日のこと ピーターから電話がありました。 ピーター・ガブリエル:私の仕事は音の製作です。運が良ければ音楽になります。今日お話したいのは 生涯最高の「共演」の思い出です。 私の実家は農場で動物たちに囲まれて育ちました。彼らの目を見ながら 「何を考えているのだろう」と思っていました。大人になり 常識を打ち破る 素晴らしい研究を知りました。ペニー・パターソンとココ スー・サベージ・ランボーとカンジとパンバニーシャ アイリーンとオウムのアレックス 本当に興奮しました。驚いたことに 人間が動物の言葉を理解するより 動物の方が人間の言葉を 上手く理解出来るようなんです。世界中からの多くの音楽家と仕事をし 共通の言語が全くないことが よくあります。でも楽器を持って座っていると 突然 意思疎通が出来る様になるものです。

 

6 ボノボとの即興の音楽コラボ

そこで 色々な人に電話をかけ スーに辿り着いたという訳です。彼女に招待され 行ってみるとこのボノボはドラムや 楽器のおもちゃで遊んでいましたが キーボードを触った事はありませんでした。最初彼らは幼児がする様に 握りこぶしでキーボードを叩きました。スーを通して パンパニーシャに 指一本でやってみる様にと頼みました。

スー・サベージ・ランボー:「毛繕いの歌を弾いて 毛繕いの歌を聴きたいの」 「本当に静かな毛繕いの歌を弾いて」 PG:毛繕いはの曲の題材です(音楽) 私は裏で即興で音を奏でています。そうです。こうやって始めたのです。スーはパンバニーシャにもう少しと促しています(音楽)彼女は好きな音を見つけます。その1オクターブ下の音を見つけます。彼女はキーボードの前に座ったことはありません。いい三連音 SSR:「よくやったわ とってもよかったわよ」 PG:上手でしたね(拍手)

 

7 人でなく動物のためのインターネット

その夜 私達は夢を見始めました。今まで人が作った一番すばらしい道具は 多分インターネットだと思います。もし私達と一緒に暮らしている 優れた知覚動物が使える 新しいインターフェースを作り 彼らがそこにアクセス出来たら どうなるでしょう。スーもその考えに胸躍らせ 友達のスティーブに電話して 仲間を集め始めることにしたのです。専門家や視野を広げてくれる様な人たちです。それがきっかけでダイアナや ニールとつながったのです。 ニール・ガーシェンフェルド:ありがとう ピーターPG:どうも(拍手)ピーターがやって来て ビデオを見て 私は度肝を抜かれましたよ。彼にはこれらを進めるビジョンがあって 人でなく動物の為だと言うのです。突然インターネットの歴史を思い起こしました。これがインターネットが生まれた時の様子です。中年白人男性のインターネットとでも 呼びましょうか オジさんばっかりヴィント・サーフ:(笑)

 

8 異種間ネット計画

私もその1人ですが 最初TEDに来た時 私はピーターにこれを見せました。これは1ドルのウェブサーバーです。当時はこれでも急進的でした。ウェブサーバーを1ドルで作れるという可能性は 「モノのインターネット」として知られるようになり すでに産業として発展し医療や省エネの分野で 期待されています。よくやったと思います。でもピーターのビデオで 何かを忘れている 他の動物たちの事を忘れていると気付きました。それで異種間ネット計画を始めたのです。TEDと話し合い イルカと 類人猿 象を連れてこようとしたのですが それは出来ないと解ったので 皆さんを彼らの所へお連れします。このコンピューターで 認知能力のある動物とビデオカンファレンスをしています。それぞれを簡単にご紹介します。それぞれを簡単いご紹介します。ちゃんと見えましたね。

 

9 オランウータンのDNAの97%は人間と同じ

最初の場所は ウェーコのキャメロンパーク動物園のオランウータンです。日中は野外ですが 今 夜なので屋内です。どうぞお願いします。 私はテリー・コックスです。テキサス州キャメロンパーク動物園で 私と一緒にいるのは ケラジャンとメイです。ボルネオオランウータンです。日中は 屋外の広く適した環境で過ごします。夜はここに来ます。ここが夜の休息場所で 湿度や温度は調整されていて 安全に眠ることが出来ます。私達は「Apps for Apes(サル用アプリ)」に参加しています。「オランウータン・アウトリーチ」主催のこのプロジェクトは iPadで動物の生活を刺激して豊かにし 同時に近絶滅種に対する人の認識を 高める取り組みをしています。彼らのDNAの97%は人間と同じです。信じられない程知的です。インターネットのテクノロジーを使い 彼らの世界を豊かにして世界を広げる そんなことを考えるだけで興奮します。動物種間ネットの可能性を 本当に楽しみにしています。KJはカンファレンスをとても楽しんでいますよ。

 

10 国立水族館のイルカ

良かった。昨日のリハーサルで KJは象を見て楽しそうでしたね。次のグループは国立水族館のイルカです。どうぞお願いします。 こんばんは アリソン・ギンスバーグです。ボルチモアの国立水族館にいます。私達と一緒にいるのは8頭中の3頭のバンドウイルカです。ここで最初に生まれた20歳のチェサピーク 彼女の4歳の娘 ベイリー そして彼女の異父姉 11歳のマヤです。ここ国立水族館では 動物の保護 研究 管理保全に 最善の力を尽くしています。イルカは今何が起きているのかと興味津々です。珍しいんです。カメラが 夜の8時にあるなんて そしてまた私達は あらゆる研究に 取り組んでいます。ダイアナが言ったとおり ここの動物は 色んな研究に参加しています。

 

11 タイの「Think Elephants」の象

以上ですね。ありがとうございました。三番目のグループはタイの 「Think Elephants」です。ジョシュどうぞ。 ジョシュ・プロトニック: こんにちは 「Think Elephants International」にいます。ここはタイのゴールデン・トライアングルで 一緒にいるのは「アジア象保護基金」の象です。26頭の象がここにはいます。私達の研究の焦点は象の知性の進化ですが 私達の団体「Think Elephants」は カメラを通して 世界中の教室で象を見せ この動物がどんなにすごいかを 人々に知らせています。カメラを持って 象のすぐ近くに寄り 口に食べ物を入れ 口の中で何が起きているかを見せ 世界中の人々に この動物の素晴らしさを紹介しています。 それは良いですね。ありがとうジョシュ リハーサル以来 彼らとは 良い関係を築き上げ続けています。さて 別のコンピューターに戻り 地球の残りの生物を インターネットでつなぐとなると そんなことが出来る人は ヴィント・サーフです。彼はインターネットの創始者の一人です。ニールありがとう(拍手)

 

12 インターネットは人と人を繋げるシステムだった

昔々 はるかかなたの銀河系で-おっと 台本が違った 40年前 ボブ・カーンと私は インターネットを設計しました。30年前それは公に使われ始め 去年 製品版インターネットを開始しました。30年間 皆さんが使っていたのは 実験版です。製品版はIPバーション6を使い 約3.4X10の38乗のIPアドレスが可能です。感謝してくれるのはアメリカ連邦議会くらいかな。しかしこれで これからの事が出来るのです。ボブと私はコンピューター同士を 繋げるシステムを設計しているつもりでした。でもすぐに解った事ですが 人と人を繋げるシステムだったのです。今夜の話を聞いて皆さんも このネットワークは私達人間だけに 限られるべきでなく 他の知的な生けるもの全てもこのシステムに 参加させるべきだと思われたでしょう。これは現在のシステムの様子です。信号の送り先を 探している インターネットの様子です。これはインターネットの接続や ネットワーク同士の接続状態を見る プログラムで作成しています。約40万のネットワークがつながっていますが 40万もの個々の機関で 運営していものです。それが可能なのは 全て同じTCP/IPプロトコルを使っているからです。

 

13 人とは違う他の何かとの交流の意味

これからどうなるか解りますね 「モノのインターネット」では コンピューターで動く多くの電化製品やデバイス装置も このシステムの一部になるでしょう。それは家やオフィスで使う 電化製品だったり 携帯したり車に使ったりするものでしょう。それが将来の「モノのインターネット」です。今日ご紹介した人たちがやっているのは 同じ感覚を共有する 人以外の種とのコミュニケーション方法を 解明し始めているという事です。私達は模索し始めているのは 人とは違う他の何かとの交流に どんな意味があるのかということです。では将来どうなると思いますか。あらゆる知覚のある動物は このシステムでつながるかもしれません。この実験がどのように展開して行くか楽しみです。

 

14 「惑星間インターネット」プロジェクト

それからどうなるでしょう。そうですね 機械が話しかける機械 人が話しかける機械 そんな機械がありますが 次第に コンピューターと意思疎通する方法を 学び コンピューターにも 私たちのやり方で意思疎通をする方法を 教えなくてはいけません。キーボードやマウスではなく 話し方やジェスチャーで 私達が通常使う自然な言葉を使ってです。機械と共に暮らすには C3POの様な通訳装置が 必要になるでしょう。「惑星間インターネット」と呼ばれる プロジェクトが今進行中です。地球と火星との間では既に実施され 国際宇宙ステーションにも導入されています。太陽を回っている宇宙探査機でもテストされ 地球と火星を結びました。惑星間システムはまだ途中ですが DARPAの最新プロジェクトがあります。DARPA (防衛高等研究企画庁) は ARPANETや インターネットや 惑星間アーキテクチャーに投資した政府機関ですが 今は 一番近い星に行くための 宇宙船を設計する100年計画に出資しています。ですから 人以外の種と関わりから 今私達が学んでいる事は 究極的には 異星生物との コミュニケーションの助けとなるでしょう。待ちきれません(拍手)

 

15 今後は有能なインターフェースを作りたい

ジュン・コーエン:まずは ここに居る4人の方々が 丸4日もかかる様な話を 4分で済ませて下さり 感謝致します。 色々質問があります。皆さんが知りたいと思われる質問をします。TEDでこのアイデアが着手されたのは・・ -今日です。 今日が初めてですね。今後の展開をお聞かせ下さい。どうなんでしょう? 出来るだけ多くの方に参加してもらい お手伝いいただいて これらを可能にする有能なインターフェースを作りたいですね。技術的には 非営利機関の設立やウェブインフラなど まだ十分に準備出来ていません。その事について情報が必要なら ご連絡ください。ヴィントの主な貢献であったネットワークを総括するネットワークである インターネット機能のようなものになり これらの新たな素晴らしい取り組みをまとめ 世界的に繋げる事となるでしょう。 この事についての サイトはありますか。 まもなく出来ます。ではまた後ほど。

 

16 全体が繋がり合う仕組み

ちょっと確かめたいのですが ここでお見せしたビデオを見て 中には ウェブカメラと何が違うんだ と 思う人もいるかも それ以上特別な事は出来ますか? これは拡張可能なビデオインフラで 多数間でのコネクションが可能ですので 地球上何処にいてもビデオやコンテンツの共有を 双方向 全く同じ様に出来る訳です。バックエンドシグナルプロセスが多く 1ヶ所から複数へではなく 全体が繋がり合うのです。

現実的には どんな技術に注目していますか キーボードが鍵だと仰ったのは知ってますが。 イルカの使えるタッチスクリーンを開発中です。これは前の企画の続きの様な物なんですが 今日これを始める為の最初の資金を得ました。ここからスタートです。 スピーチ前に?そう。 わあ、よかったですね。TEDに参加して下さり感謝しています。ここにお招き出来 本当に光栄です。ありがとうございました(拍手)

最後に

イルカには自己認識力があり、自立的学習もできる。人間以外の動物も意識や感情を持ち、認識力もある。動物の方が人間の言葉を上手く理解できる。オランウータンのDNAの97%は人間と同じ。人と人を繋げるシステムだったインターネットを動物種間にも応用。「惑星間インターネット」プロジェクトも進んでいる。人とは違う他の何かとの交流の意味を探す試み

和訳してくださった Reiko O Bovee 氏、レビューしてくださった Yuriko Hida 氏に感謝する(2013年2月)。

海に還った哺乳類 イルカのふしぎ (ブルーバックス)


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