静かに話す勇気をあなたに
「みんなめいっぱい活動的にやるべきなの?」スーザン・ケインは9歳の少女のように、清々しく語りかけてくる。ここでは彼女のTEDでの講演をもとに、内向的な人が秘めている力と、その力を活用するための方法論について考える。
要約
社交的で活動的であることが何より評価される文化において、内向的であることは肩身が狭く、恥ずかしいとさえ感じられま す。しかしスーザン・ケインはこの 情熱的な講演で、内向的な人は世界にものすごい才能と能力をもたらしているのであり、内向性はもっと評価され奨励されてしかるべきだと言っています。
In a culture where being social and outgoing are prized above all else, it can be difficult, even shameful, to be an introvert. But, as Susan Cain argues in this passionate talk, introverts bring extraordinary talents and abilities to the world, and should be encouraged and celebrated.
1 内向的・外向的とは刺激に対する反応の違い
その(内向的なのは正しくないという)偏向がどんなものか把握するには、内向的なのがどういうことか理解する必要があります。これは内気とは違います。内気というのは社会的に判断されることへの怖れです。内向的であるというのは、社会的なものも含め、刺激に対してどう反応するかということです。
外向的な人は多くの刺激を必要としますが、内向的な人はもっと静かで落ち着いた環境にいるときに、生き生きとして能力を発揮できるのです。いつもそうとは限りませんが、多くの場合そうだということです。だからみんながその才能を最大限に発揮できるようにするには、その人に合ったレベルの刺激の中に身を置く必要があるのです。
このように、内向的・外向的というのは、刺激に対する反応の違いだと定義している。同時に、外向的な人は多くの(社会的な)刺激を必要とするが、内向的な人はもっと静かで落ち着いた環境にいるとき(の刺激)に、生き生きとして能力を発揮できるのである。(( )内は筆者が加筆)
この点に関して、学校や職場が外向的な人向けにつくられているという偏向や、「行動する男」を好むアメリカ文化についても言及している。また、集団とはその場の支配的・カリスマ的な人の意見に影響を受ける、という特徴も述べている。さらに、内向的・外向的という言葉を広めたカール・ユングの発言も引用している。
内向的・外向的という言葉を広めたカール・ユングさえ、純粋に内向的な人や純粋に外向的な人というのはいなくて、たとえいたとしても精神病院の中だろうと言っています。
2 荒野へ行きましょう
電子機器から離れて自分の頭の中に入る時間をもう少し増やしましょう
内向的ながら大きな成果を出した人の例を挙げている。それは、エレノア・ルーズベルト、ローザ・パークス、ガンジー、ダーウィン、セオドア・ガイゼル、そしてウォズニアックである。
実際歴史上で変革を成し遂げたリーダーには内向的な人がたくさんいます。たとえばエレノア・ルーズベルト、ローザ・パークス、ガンジー。彼らはみんな自分 を無口で静かな話し方をする、むしろ内気な人間だと言っています。そして彼らは表に立つことを嫌っていたにもかかわらず、世の注目を浴びることになりまし た。そのこと自体が彼らに特別な力を与えています。人に指図したり注目を浴びるのが好きでやっているのではなく、自分が正しいと信じることのため他に選択肢がなくてやったのだと、みんな気づくからです。
ダーウィンは長い時間森の中を1人で散歩し、パーティの招待はきっぱり断っていました。ドクター・スースとして知られるセオドア・ガイゼルは、あの数々の素晴らしい創作をカリフォルニア州ラホヤの自宅裏にある孤独な塔のような書斎で生み出し ました。彼は実際読者である小さな子どもたちに会うのを怖れていました。陽気なサンタみたいな人を想像している子どもたちを、無口な自分はがっかりさせて しまうと思ったからです。最初のアップルコンピュータを作ったウォズニアックは、当時働いていたHPでいつも自室に1人閉じこもっていました。子どもの頃いつも家に閉じこもっているような内向的な性格でなければ、技術を極めることもなかっただろうと言っています。
これはもちろん共同作業を一切やめろ、というわけではない。ウォズニアックがスティーブ・ジョブズとアップルコンピュータを始めたことがよい例である。
3 自分のスーツケースを解放しよう
自分のスーツケースの中身をよく見て、なぜそれを入れたのか考えてみましょう。外向的な人は、スーツケースに本が詰まっているかも知れませんし、たくさんのシャンペングラスか、スカイダイビングの装備が入っているかもしれません。それが何であるにせよ、様々な機会にそれを取り出して、自分のエネルギーと喜びを他の人にも分け与えてください。内向的な人は、きっと自分のスーツケースの中身を守りたいという衝動を感じると思います。それは構いません。でも時々は、スーツケースを開いて見せてほしいのです。世界はあなたと、あなたが持っているものを必要としています。
スーツケースの中身を、見捨てないでください。
最後に
内向的でも成功するために必要なものはConviction(信念)だと、彼女は対談の中で語っている。あなたの信念はなんだろうか。それを思い出すきっかけとなれれば嬉しい。
TEDでの講演を訳してくださった青木 靖氏に感謝したい。
![]() |