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ブライアン・コックス LHCの失敗の原因について

LHC(大型ハドロン衝突型加速器)の目的は、宇宙の発生の再現です。野心的な実験ですが、人間の精神的な進歩を止めないためには重要なことです」コックスは語りかける。ここでは、70万ビューを超える Brian Cox のTED講演を訳し、LHCの失敗の原因について理解する。

要約

TED U 2009で行われたショート・スピーチにおいて、ブライアン・コックスはCERNの超衝突型加速器の最新情報を伝えている。現在行われている修理作業、今までに行われた中で最大規模の科学実験によってなにがもたらされるのかを語る。

Physicist Brian Cox has two jobs: working with the Large Hadron Collider at CERN, and explaining big science to the general public. He’s a professor at the University of Manchester.

 

1 LHC(大型ハドロン衝突型加速器)の目的は宇宙の発生の再現

昨年のTEDで、LHC(大型ハドロン衝突型加速器)についてお話ししました。次の機会に、その最新情報をお伝えすることを約束しました。装置がうまく動作しているかについてです。今日はそのお話をします。昨年、いらっしゃらなかった方のために説明すると、 LHCは最大規模の科学実験であり 円周が27キロメートルにも及びます。その目的は状況の再現 つまり、宇宙が始まって10億分の1秒未満の状態を 最大、一秒間に6億回再現することです。本当に野心的な実験です。

 

2 幅は44メートル、直径は22メートルあるATLAS検知器

ジュネーブの地下にある装置です。検知器の中で発生している小型のビッグバンを撮影します。これは私が担当している装置で、ATLAS検知器と呼ばれています。幅は44メートル、直径が22メートルあります。建設中のATLASのすばらしい写真です。大きさを分かっていただけるでしょうか。

 

3 最初のビーム粒子の写真

昨年の9月10日、装置のスイッチが初めて入れられました。ATLASが撮影した写真です。コントロール・ルームは大喜びでした。こちらは、最初のビーム粒子の写真です。LHCを周回しているビーム粒子を LHCに衝突させて 検知器に粒子を浴びせました。つまり、9月10日に撮影された写真によって この装置がうまく作動したと分かったのです。大成功でした。これ程の喜びが過去にあったでしょうか。そしてGoogleでは フロントページはこうなっていました。つまりは、文化的にも 科学的にも衝撃をもたらすことができたということです。

 

4 マイナス271度という超低温状態の場合、電線に1万3千アンペアも流せる

1週間後、装置に問題が発生しました。この電線、金色の電線に関する問題です。この電線を1万3千アンペアが流れます。装置がフルパワーで作動した場合です。エンジニアであれば、こう考えるでしょう 「無理だ、こんな細い電線では」 しかし、それは可能なのです。超伝導線と呼ばれる超低温状態にある場合 マイナス271度、 つまり恒星間の宇宙空間よりも低温では この電線は、その大きさの電流を流すことができるのです。

 

5 磁石をつなぐジョイントの1つに製造上の欠陥があった

LHCで使用している九千以上の磁石をつなぐジョイントの1つに 製造上の欠陥がありました。このため、電線の温度がわずかばかり上昇 1万3千アンペアの電流に突然、電気抵抗がかかりました。これがその結果です。言葉にもなりません 20トン以上の重さがある磁石が 1フィート以上も動いています。約50個の磁石に損傷がありました。損傷のあった磁石を取り出さなければなりませんでした。磁石を修理し、再び使えるようにしました。今は地下に戻しているところです。五月の終わりまでには、LHCを復旧できるはずです。スイッチを入れれば 六月か七月にはデータを取得できると考えています。そして我々の探究を続けることになります。宇宙をつくる構成要素とは何であるのか。

 

6 人類の精神的な進歩に関して危険なことは…

しかし、もちろん一方では この事故によって、再び議論が起こっています。先端科学技術に関する価値について、これを論破するのは簡単です。私は、それが困難であるという事実 我々が無理をしなければ達成できないという事実、それこそがLHCのようなものの価値であると信じています。英国の科学者であるハンフリー・デービの言葉で締めくくりたいと思います。彼は 弟子が行っていた実験に価値がないと非難されていた時、 その弟子とはマイケル・ファラデーですが、 こう言いました「最も危険なこと、人類の精神的な進歩に関して危険なことは 我々の科学的見地は極限に達し もう自然界には神秘など存在せず 我々の偉業は達成されており もう、新たに征服すべき世界は存在しない、と考えることだ」 ありがとうございました (拍手)

 

最後に

LHC(大型ハドロン衝突型加速器)の目的は、宇宙の発生の再現。幅は44メートル、直径は22メートルあるATLAS検知器。マイナス271度という超低温状態の場合、電線に1万3千アンペアも流せる。磁石をつなぐジョイントの1つに製造上の欠陥があったことが失敗の原因。人類の精神的な進歩に関して危険なことは、新たに征服すべき世界は存在しないと考えること

和訳してくださった Kazuyuki Shimatani 氏、レビューしてくださった Wataru Narita 氏に感謝する(2009年2月)。

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