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ジュリアン・トレジャー 聞き上手になる5つの方法

「私たちの聴く能力が失われてきています」トレジャーは語りかける。ここでは、230万ビューを超える Julian Treasure のTED講演を訳し、聞き上手になる5つの方法について理解する。

要約

「今日の喧騒の中で、私たちの聴く能力が失われてきています」と語るのは音の専門家のジュリアン・トレジャーです。この魅力あふれる短いTalkの中で、トレジャーは、周囲の音と周囲の人の音を意識的に聴き取るための、耳を再チューニングするための5つのエクササイズをご紹介します。

Julian Treasure studies sound and advises businesses on how best to use it.

 

1 耳からの情報は25%しか保持されない

私たちの聴く能力が失われてきています。意思疎通の大体6割は聴くという行為が占めます。これが上手に出来ていないのです。会場の皆さんのことではありませんが 一般的な値として耳からの情報は 25%しか保持されないそうです。”音から意味を取得すること” これを”聴く”の定義としておきます。これは心理的な 情報抽出の過程なんです。

これには素敵なテクニックが使われます。一つ目はパターン認知です (ざわめき) こんなカクテルパーティでは 「デビッド!サラ!気をつけて」と言えば しゃがみ込む方が出てくるでしょう。パターンを識別して 雑音と 情報を聞き分けるのです。名前には特に敏感です。次のテクニックはキャンセリグです。こんな雑音が継続して聞こえれば 皆さんは聴くのをやめるでしょう。私達は違いを聞き分けて 変化のない音を無視するのです。

 

2 聴く行為を支えるのはフィルター

聴くという行為を支えるのはフィルターです。フィルターが全ての音から 聴くべきものだけを選りすぐります。このフィルターを意識している方は ほとんどいないでしょう。しかし注意を向けている先を示すという点で ある意味で現実を作り上げていることになります。一つ例を挙げましょう。聴覚において意志はとても重要です。私が妻と結婚したとき 彼女の話を初々しい気分で 毎日聴いてやると約束をしました。大抵の日は出来てないようですがね (笑)

聴こうとする意志は対人関係においてとても重要ですが、これが全てではありません。音は空間を司っています。今この場で目を閉じても 残響音と反響音から この部屋の大きさを 知り得ることが出来ます。耳に入る微少な雑音から 周りの人の数もわかるでしょう。更に音は時間をも司ります。音には常に 時間が埋め込まれているのです。実際 聴覚こそが過去から 未来への時間の流れを 感じる主たる感覚だと思います 「音は時間・意味である」 素敵な言葉です。

 

3 記録技術、騒音、忍耐力の減退が原因

初めに言ったとおり 聴く能力が失われてきています。なぜこんなことを言ったのかって? 理由はたくさんあります。まず 記録という技術の開発があります。模写にはじまり録音― そして録画が誕生しました。これは注意深く聴き 正確に情報を得ることの 利点を損ねてしまいました。第2に今日の世界はやかまし過ぎます。視覚的にも聴覚的にも 邪魔なものが散乱していて 聴くことを困難にしています。「耳が疲れた」という状況です。ヘッドフォン難民が多くいますが 彼らは音景を共有する巨大な パブリックスペースを パーソナルな空間に区画してしまっています。こうなると人の話を聴かなくなるのです。

忍耐力を失っているのです。雄弁なスピーチよりも 短い抜粋の方が好まれています。会話が一方通行の情報発信に とって変わられようとしています。危険なことだと思いますよ。このメールにどれだけの意思疎通があるかは知りませんが 不幸にもこれは例外的でなく 英国では特に顕著です。感覚が鈍ってきているんです。メディアはこのような見出しを用いて 私たちに呼びかけるべきです。言い換えると強調されていない 静かな呼びかけには なかなか注意が向かないということです。

 

4 聴くという行為は理解の手段

聴くという行為は理解の手段であって この能力の喪失は 些細なものでなく重大な問題です。意識的に聴けば必ず理解を生みます。意識的なリスニングが欠如すると このようなことが起こってしまいます。互いの話に耳を傾けようとしない 今日の世界はとても恐ろしい場所なんです。そこで皆さんには 意識的なリスニング力を鍛える5つの 簡単なエクササイズを紹介します。いかがでしょうか?(観客: いいね)よかったです。

 

5 沈黙、ミキサー、鑑賞

1番目は沈黙です。1日3分の無音エクササイズは 皆さんの耳をリセット― チューニングしてくれます。こうして静かな音が聞こえるようになります。完全な無音状態でなくても 静かな状態なら構いません。

2番目は私がミキサーと呼んでいるものです (雑音) このようにうるさい場所はよくありますね。コーヒーバーなどの こういった不協和音に 単一の音源がいくつあるのか 聞き分けて見て下さい。このエクササイズは湖のような綺麗な場所でもできます。鳴いている鳥を数えて下さい 「鳥はどこ?」「波はどこでたっているの?」 このエクササイズは リスニングの質を高めてくれます。

3番目は美しいエクササイズです。鑑賞と呼んでいます。これはありきたりな音を楽しむというものです。例えばこれは私の家の回転式乾燥機の音ですが (乾燥機の音) これはワルツです。ワン、ツー、スリー ワン、ツー、スリー いいリズムですね。こちらの音量はいかがですか (コーヒーグラインダー) わお! ありふれた音も注意して聴くとおもしろいものです。これを ”隠れ聖歌隊” と呼んでいます。いつでも私たちの周囲にいますからね。

 

6 リスニングポジション、頭字語RASA

次のエクササイズはあるものを 取り払えば 今日紹介する中で 最も重要なものでしょう。リスニングポジション(聴く位置)です。聴き取る対象に合せて一番適切な場所に ポジションを移動するということです。先ほど話をしたフィルターを 利用します。まずフィルターをレバーのように操作して 意識付けをして場所を変えていきます。画面のものはポジションや 尺度のほんの一例です。他にもたくさんあるんですよ。わくわくしますね。ぜひ楽しんで下さい。

最後は頭字語です。これをコミュニケーションとリスニングに利用します。これらのいずれかをされている方― もしくはこの話を聞いている皆さん全員へ この頭字語はRASAです。acronym(頭字語)というのは サンスクリット語でエッセンスの意です。RASAの R は Receive 話者の話を注意深く聴くこと。A は Appreciate 「んん」とか 「わかった」と意思表明をすること。S は Summarise 意思疎通において要約することは大切です。そしてA は Ask 質問をすることです。

 

7 音は私の情熱・人生そのもの

音は私の情熱・人生そのものです。私は音に関する本を出しています。皆さんには私のようなことをしろとは求めませんが 人生を最大限楽しむには 意識的に聴くことが 必要不可欠だと考えています。時間と空間をつなぎ 周囲の世界と私たちをつないでくれます。互いの理解をつなぐのはもちろん 精神的にも私たちをつないでくれます。私の知る限りスピリチュアルな 道の根底には全て リスニングと瞑想があるからです。

ですから学校では リスニングを技術として 教える必要があります。なぜ教えない?おかしいですね。学校でリスニングを教えれば 今日お話した危険な世界へ続くつるつるな 坂道から私たちのリスニングを救い出して 常に意識的なリスニングがされる世界、もしくは少なくとも それが達成できる世界へ移すことができます。

でもどうすればいいかって? ここはTEDですよ。TEDなら何でも出来ると思っています。皆さんつながっていきましょう。一代先に 相互理解・平和を実現した世界を実現するには 使命感をもって学校教育の中で 意識的なリスニングを 教えていく必要があるのです。ご静聴ありがとうございました(拍手)

 

最後に

耳からの情報は25%しか保持されない。私達は違いを聞き分けて変化のない音を無視する。聴く行為を支えるのはフィルター。音は空間を司っている。記録技術、騒音、忍耐力の減退が原因。聴く行為は理解の手段。沈黙、ミキサー、鑑賞、リスニングポジション、頭字語RASAという5つのエクササイズが有効。音は時間・意味

和訳してくださった Takahiro Shimpo 氏、レビューしてくださった Hidetoshi Yamauchi 氏に感謝する(2011年7月)。

図解雑学 音のしくみ


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