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回収不能見込額の負債項目への繰入れ 貸倒引当金勘定

前回は、回収不能見込額を貸借対照表の資産項目から引き落とすこと 直接償却についてまとめた。ここでは、回収不能見込額の負債項目への繰入れ 貸倒引当金勘定について解説する。

1 債権償却特別勘定から貸倒引当金へ

貸倒引当金とは、金銭債権の貸倒見積高を計上することにより生じる引当金である(法人税施行令96条1項)。貸方に計上される勘定で、貸借対照表上は評価勘定として資産から控除される形で表示される。また、従来の債権償却特別勘定と従来の貸倒引当金を加えたものである。

金融商品会計上は、金銭債権の見積方法により以下の3つに区分する。

  1. 一般債権:問題等の発生していない債権
  2. 貸倒懸念債権:重大な問題が発生もしくは発生する可能性が高い債権
  3. 破産更正債権:実際に破綻した債務者の債権

一方、税務上の区分は、①一括評価金銭債権と②個別評価金銭債権である。両者の対応は、一般債権が一括評価金銭債権に、貸倒懸念債権と破産更正債権が個別金銭債権におおよそ対応する。その違いは、金融商品会計上の破産更正債権等と税務上の個別評価金銭債権の範囲と一括評価金銭債権に関する貸倒実績率算定方法である。

 

2 法令等による長期棚上げ債権額の貸倒引当金繰入れ

内国法人が当該事業年度終了のときにおいて有する金銭債権に係る債務者について生じた次に掲げる事由に基づいてその弁済を猶予され、または賦払により弁済されること。当該金銭債権の額のうち当該事由が生じた日の属する事業年度終了の日の翌日から5年を経過する日までに弁済されることとなっている金額以外の金額(法令96-1-1)。

  1. 更正計画認可の決定
  2. 再生計画認可の決定
  3. 特別清算に係る協定の認可の決
  4. 1から3までに掲げる事由に準ずるものとして財務省令で定める事由 

 

3 債務超過状態の継続等による一部取立不能額に係る貸倒引当金繰入れ

当該内国法人が当該事業年度終了のときにおいて有する金銭債権に係る債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続し、かつその営む事業に好転の見通しがないこと。また、災害、経済事情の急変等により多大な損害が生じたことその他の理由により、当該金銭債権の一部の金額につきその取り立て等の見込みがないと認められること。当該一部の金額に相当する金額(法令96-1-2)

 

4 形式基準による取立不能額の50%相当額の貸倒引当金繰入れ

当該内国法人が当該事業年度終了のときにおいて有する金銭債権に係る債務者につき、以下の5つの事由が生じていること。当該金銭債権の額の100分の50に相当する金額(法令96-1-3)。

  1. 更生手続開始の申立て
  2. 再生手続開始の申立て
  3. 破産手続開始の申立て
  4. 特別清算開始の申立て
  5. 1から4までに掲げる事由に準ずるものとして財務省令で定める事由

 

5 外国政府等の履行遅滞等による取立不能額の50%相当額の貸倒引当金繰入れ

当該内国法人が当該事業年度終了のときにおいて有する金銭債権に係る債務者である外国の政府、中央銀行または地方公共団体の長期にわたる債務の履行遅滞によりその金銭債権の経済的な価値が著しく減少し、かつその弁済を受けることが著しく困難であると認められること。当該金銭債権の額の100分の50に相当する金額(法令96-1-4)。

 

最後に

貸倒引当金は、税務上、一括評価金銭債権と個別評価金銭債権に分けられる。それは、法令等による長期棚上げ債権額の貸倒引当金繰入れ、債務超過状態の継続等による一部取り立て不能額に係る貸倒引当金繰入れ、形式基準による取立不能額の50%相当額の貸倒引当金繰入れ、外国政府等の履行遅滞等による取立不能額の50%相当額の貸倒引当金繰入れの4つがある。債権償却特別勘定から貸倒引当金へ


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