前回は、キャリア・CP・メーカーともに戦略はある エコシステムの作り方についてまとめた。ここでは、語学、個性、当事者意識で弱点を克服せよ 日本再起動の可能性についてまとめる。
1 日本は大きな可能性を持っている
豊富な資金力
日本には、個人金融資産が1400兆円、企業の内部留保が200兆円という豊富な資金がある。1400兆円のうち900兆円は国債に回っているが、残りの500兆円と内部留保200兆円は宙に浮いている。国民1人当たり800万円の借金を背負ってはいるが、700兆円は既にあるお金である。
教育水準・労働意欲の高さ
日本は人口の多い大国の中では、いまもなおかなり高い教育水準を保っている。また、労働意欲も高く、新入社員が「指示を待たずに仕事を探そうとする」雰囲気がある国はほとんどない。
優位技術
経営にはカネとヒトに加えてモノが必要とされるが、ここにあたるのが前者2つをレバレッジとして効果を高める技術である。通信技術だけでなく、製造・生産技術などとうまく組み合わせれば、世界がうらやむサービスを再び生み出せるだろう。
ITインフラ・消費者の見る目の厳しさ
さらに、経済を動かすための現代の血管ともいえるITインフラや、消費者の製品を見る目の厳しさも魅力的である。
2 弱点を克服せよ
語学力
可能性がある反面、以下の3つの弱点が挙げられる。まずは経営陣の英語力である。現代の若者には帰国子女なども増えており、入社試験にTOEICなどの目標スコアを挙げる企業も多くなっている。しかし、海外展開を口にしている経営トップが英語を話せないばかりか、そのための努力すらしていないケースも見受けられる。
個性軽視・議論軽視・予定調和
大手企業を中心に、個性軽視・議論軽視・予定調和といった傾向も見られる。新卒社員教育などのような一斉研修があったり、議論を軽視する社風がある。市場そのものが多様化している現在、「同じ釜の飯」という入社キャリアが長い者だけが経営陣となっていることも危険である。人事が予定調和となり、イノベーションが生まれにくいのである。
他人事でも許される社会
リーダーの中に、自分に優しく他人に厳しいという甘えがあれば、社会にも影響を与える。リーダーが自らの組織の問題を、どこか他人事のように語ることが許されれば、社会も同じような姿になってしまうのだ。
3 世界をリードする日本へ
経営者から甘えを排除せよ
世界をリードする日本にするには、まずは経営者から甘えを排除する必要がある。そしてビジョンを示し、リスクをとっていくことが求められる。リーダー層が意識改革し、自ら変わっていけば、まだまだ日本は世界で戦っていけるだろう。
最後に
ヒト、モノ(技術)、カネ、ITインフラ、厳しい消費者と、日本には大きな可能性がある。リーダー層の語学力、個性重視、当事者意識の賦活で弱点は克服できる。経営者から甘えを排除せよ。
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