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マーティン・ヴィルヌーブ 私が不可能な映画を製作した方法について

「お金や人が不足していても大作映画は作ることができます」マーティンは語りかける。ここでは、85万ビューを超える Martin Villeneuve のTED講演を訳し、カナダのSF大作『Mars & Avril』を事実上無一文で製作した方法について理解する。

要約

映画制作者のマーティン・ヴィルヌーブが、カナダのSF大作である『Mars & Avril』を事実上無一文で製作した方法について語ります。 魅力的なトークの中で、彼の未来に対する個性的で創意に富んだビジョンが、どうやって資金面、運営面の制約に、様々な方法を用いて打ち勝ったか説明します。

In his film “Mars et Avril,” Martin Villeneuve brings his sci-fi romance graphic novel to glorious life.

 

1 創作上の制約がどのように創造性の向上につながるか

私は 製作不可能な映画を作りました。でも不可能だなんて思わなかったから 出来たことだと思います。『Mars & Avril』はSF映画です。舞台は 50年後のカナダ・モントリオール ケベックで この種の映画を手がけた人はいませんでした。資金が掛かりますし 未来が舞台となれば 膨大な数の視覚効果が必要で グリーンバックで撮影が行われます。でも 子どもの頃から ずっと こんな映画を 本当に 作りたかったんです。子どもの頃コミック・ブックを読みながら 未来はどうなるんだろうと想像を巡らせていました。アメリカのプロデューサーはこの映画を見ると かなりの予算をかけたと思います。2,300万ドル位でしょうか。でも 実際の予算はその1割でした 『Mars & Avril』は230万ドルで製作しました。

なぜ そんな事ができたのかと 不思議に思われているかもしれません。秘訣は2つあります。先ずは時間です。お金が無い時は時間を掛けなければいけません。私の場合 『Mars & Avril』の完成まで7年の歳月が掛かりました。2つ目の秘訣は です。製作に関わった方々から寛大な支援を受けました。映画スタッフは予算も何も無かったので 皆の創造力に委ねられました。そして 全ての問題が好機に転換しました。これが今日の 話の本題に繋がります。創作上の制約が どのように創造性の向上につながるかです。

 

2 文章や写真を使ってSF物語を伝える

先ずは 少し時間を巻き戻しましょう。私が20代前半の頃グラフィック小説を手がけました。一般的なグラフィック小説とは違い 文章や写真を使って SF物語を 伝えるものでした。映画化した 『Mars & Avril』に出演している 多くの役者が 既に この小説のキャラクターに扮して 実験的 演劇的 単純化した方法で 携わっていました。

その中の 一人は素晴らしい舞台監督で俳優でもある ロベール・ルパージュです。彼のことは 大好きです。子どもの頃から 大好きだったんです。彼のやる仕事に とても憧れていて 私のクレイジーなプロジェクトに参加してもらえたらと思っていたら ウジェーヌ・スパークというキャラクターに 彼のイメージを使わせてくれました。このキャラクターは宇宙論を研究するアーティストで 時間、空間、愛、音楽、女性の間に存在する関係を追求しています。ロベールは この役にぴったりでした。実は 最初のチャンスを与えてくれのはロベールでした。彼が 私を信じてくれたんです。そして 私のグラフィック小説を映画化し 自分で脚本・監督・製作するよう 後押ししてくれました。

 

3 ロベールをホログラムにしたらどうかな?

実は 制約が創造性を向上させることの 最初の例になったのもロベールでした。なぜなら 彼は地球上で一番忙しい人なんです。彼の予定は2042年までビッシリ詰まっていて なかなか時間をとってもらえません。でもこの映画でも 本と同じ役を演じてもらいたかった。でも問題は 2042年まで待ったら この映画が 未来映画では無くなってしまいますね? ですから 彼の予定が空くまで待つわけにはいきません。これは大きな問題です。こんなに忙しい人に映画に出演してもらうには どうしたらいいでしょうか?

製作会議で冗談めかしに言ったんですが ちなみに 本当の話です 「ロベールをホログラムにしたらどうかな? 彼は同じ時間に 地球上のあらゆる所にいたり いなかったりするし 私の中では 彼は神のような存在で 現実と仮想世界の狭間にいるような人なので 彼をホログラムにするのは 完璧に的を得ているんだ」って。会議にいた 全員が笑いました。でも この冗談で上手く行けそうだということになり 実際 この方法で問題を解決しました。

 

4 6台のカメラでロベールを撮影

まず6台のカメラでロベールを撮影します。彼には緑色の服を着て緑色の水槽のような場所に 入ってもらってもらいます。頭部60度の範囲を各カメラで撮影したので 撮影後の編集作業で 必要なアングルをほぼ網羅できました。撮影したのは彼の頭部のみです。6ヵ月後 実際のセットで演ずるのは 彼の体となる代役で これが頭を乗っける体になります。代役の頭には緑の覆いを被せてあるので 編集時に この部分を削除し ロベール・ルパージュの頭とすげかえるわけです。これで 博学者っぽくなりました。映画では こんな風になります

(音楽)ロベール・ルパージュ: いつものごとく アルチュールの設計図には 技術的な問題は加味されていないようだ。隙間を塞いでみたが まだ弁から空気が漏れる サウンドボックス内の圧力を下げるのにリードのパレットを持ち上げてみたが 琴線に触れてしまったかもしれない。音がまだ低すぎる ジャック・ランギランド: 当たり前だよ 楽器というものはモデルに 似てくるからな (音楽)

 

5 モントリオールのシルク・ドゥ・ソレイユ

今ご覧いただいた シーンに 出てくる楽器が 制約が 創造性を向上させる 2つ目の例です。私の映画の中で不可欠な 欲望の対象ともいえる 想像上の楽器です。この楽器にまつわる素敵な逸話があります。実はこの楽器がどのようなものか 頭の中で想像していました。問題は この楽器を作るお金が無かったこと。とても手が届きませんでした。ですから ある意味 大問題だったわけです。手の届かないものを どうやって手に入れるか?ある朝 かなり良いアイデアと共に目覚めました 「誰かに それを払わせたらどうだろう?」って (笑)

でも 一体どこの誰が女性の体に― インスパイアされたまだ作られもしていない 7つの楽器に興味を持つでしょうか? そこで モントリオールのシルク・ドゥ・ソレイユが思いつきました。スクリーンに映し出したいクレイジーな― 詩みたいなものを一番理解してくれると思ったからです。それで シルク・ドゥ・ソレイユのCEOであるギー・ラリベルテに会って こんなスケッチとビジュアル資料を使って 私のクレイジーなアイデアを披露したんです。すると とても素敵なことが起こりました。ギーは 私がお金を求めたからではなく 皆がハッピーになれる 良いアイデアを 持って来たから 興味を持ってくれました。ハッピーになったのは 実は3人で 1人目はアートバイヤー 彼は まだ作られていない楽器を安値で買えて ハッピーでした。賭けをしたわけです。2人目の アーティストのドミニク・エンゲルは素晴らしい方で 彼も一年掛けて 取り組める夢のプロジェクトにハッピーで もちろん 私もハッピーでした。映画のための楽器を念願どおり タダで手に入れました。完璧にお互いのニーズが合いました。こちらが その楽器です。

 

6 ベルギーのフランソワ・スクイテン

制約が創造性を向上させる 私の最後の例を お話します。緑に由来します。不思議で クレイジーな色ですよね。いずれグリーンスクリーンを画像に置き換えなければいけません。どんな画像にするか早いうちに決める必要があります。私の頭の中には様々なアイデアがあって 世界がどうなるかをほぼ決めていました。これも子ども時代の空想に立ち帰り ベルギーのコミックの達人を思いつきました。ベルギーのフランソワ・スクイテンです。この方のこともとても尊敬していて プロダクション・デザイナーとして彼にも映画に 関わって欲しいと思っていました。でも 周りの人に「マーティン 彼は忙し過ぎるから どうせ断られるよ」と言われました。それでも 彼のスタイルを真似するくらいなら 本人に電話して頼もうと決め 私の本も贈りました。すると映画の製作に参加したいと言う 返事が来ました。なぜなら彼は小さな水槽で大きな魚になれる 夢を追いかけることができるからです。なんと 私の子ども時代のヒーローと 映画の1コマ1コマの絵を描いて 未来のモントリオールを創り上げたのです。彼のような 敬愛する偉大なアーティストとの 仕事は 素晴らしい 協同作業でした。

 

7 モントリオールのカルロス・モンソン

でも 究極的にはこの絵を 実際に作らなくてはいけません。そこで また私の解決策は 私の中の最高のアーティストを見つけることでした。モントリオールにいる カルロス・モンソンは ケベック人で とても才能のある視覚効果アーティストです。この分野を 牽引するアーティストで 『アバター』 『スタートレック』『トランスフォーマー』 その手の無名の作品も手がけました。私の映画製作にピッタリだと確信しました。ですから 次のスピルバーグ映画で 仕事をする代わりに 私と働いてくれるよう 説得しました。承諾してくれました。なぜかって?それは彼に夢を追いかけるチャンスをあげたからです。ですから 皆さんに差し出せる お金が無かったら 考えられるありったけの素晴らしい力で その人の 想像力を刺激してみてください。

 

8 問題を味方にすれば人生は踊り始める

以上が この映画にまつわる出来事で どうやって製作が実現したかです。その後 モントリオールにあるビジョングローバルと言う とても素晴らしい ポストプロダクション会社に巡り合いました。私のクレイジーな映画のためそこに所属する 60名のアーティストを フルタイムで6ヶ月も貸してくれたんです。

ですから 皆さんにお伝えしたいことは クレイジーなアイデアがあって 周りの人から 不可能だと言われたら むしろ ぜひ挑戦してください。なぜなら人は成果よりも 問題を見てしまう傾向があるからです。問題を敵と考えるのではなく 味方にすることで 人生は思いもしなかったように すばらしく踊り始めるでしょう。私が経験済みです。そうすれば クレイジーなプロジェクトをやって 気づいたら 火星にだって 行けるかもしれません。ありがとうございました(拍手)

 

最後に

創作上の制約がどのように創造性の向上につながるか。文章や写真を使ってSF物語を伝える。ホログラムを使う、モントリオールのシルク・ドゥ・ソレイユやカルロス・モンソン、そしてベルギーのフランソワ・スクイテンの力を借りる。問題を味方にすれば人生は踊り始める。ありったけの力で創造力を刺激しよう

和訳してくださったMari Arimitsu 氏、レビューしてくださった Jarred Tucker 氏に感謝する(2013年2月)。

Arriv・ en MARS et AVRIL au Canada (Illustr・) (Arriv・ au Canada)


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