前回は、「次世代のホープ」一晩で「ハレンチ市長」になる 政治家の殺し方についてまとめた。ここでは、「人の不幸は密の味」 日本をダメにするマスコミの正体について解説する。
なぜマスコミの餌食にされたのか?
著者がマスコミの餌食にされた理由は、中途半端な存在だったからではないか。小泉純一郎元首相や橋下知事のように「出過ぎた杭は打たれない」という域まで達しているのに対し、著者はそこまでは行っていなかったのではないだろうか。この点について、小泉元首相は「中田さん、マスコミが書くことは無視するに限る。訴えたりしなくていい。放っておくに尽きる」とアドバイスしている。
ウォッシュレットにこだわる新聞記者
「横浜市庁舎のトイレにウォシュレットがないのですが、つけてくれませんかね」定例記者会見後の一般質問での記者の質問だ。歳出削減のために蛍光灯を消したり、エレベーターも5基あるうち2基を使わないようにしたりと節約している中でのこうした質問に、著者はあきれた。他にも、根拠薄弱な記事を989行も掲載したにもかかわらず、訂正記事はわずか13行という、マスコミ体質にも直面した。
即日開票と翌日開票で人件費は1億2800万円も違う
選挙の即日開票と翌日開票とで、人件費は1億2800万円も違う。市の職員の残業手当の分である。そのため著者は、横浜市長選挙を翌日開票にする方向を打ち出した。そもそも市長選挙や地方議員選挙、参議院議員選挙は任期満了前に実施するため、一刻を争って開票する必要はないのである。即日開票するのは、衆議院議院の解散総選挙だけで十分なのである。
「職員満足度調査」でマスコミに叩かれる
職員満足度調査とは、職員が自分たちの仕事環境をいかに捉えているかを調べ、よりよい改善につなげていこうという趣旨で行ったものである。この調査では、総合満足度に関して不満層が33%、満足層が36.8%と若干上回り、普通が30.2%という結果だった。重要なことは、改革をやる中で、まだまだやれる人にもっと効果的に働いてもらい、すでにがんばっている人がつぶれないような職場のシステムや雰囲気を作っていくことである。しかし、マスコミは労働組合のコメントのみを掲載し、ネガティブな面ばかりを協調した。
真実に目をつぶるマスコミ報道
マスコミ報道では、人事に対する不満などが管理職になりたがらないマインドをつくり、管理職登用試験を受けない人が増えているので任命制にしようとしている、としている。しかし真実は、同じ給与なら責任を持つ管理職より、責任を持たなくていいヒラの方がいいに決まっている、ということである。例えば、自分から希望を出さなければ9年11ヶ月は異動しなくてもいいことや、異動はすべて本人が提出した第6希望までの範囲内で決まること、さらに、昇任しないが、昇任同様に給与は上がる「渡り」というしくみや、事務職は54歳、技術職は50歳から異動除外になるといった特典があったのだ。
著者はこうした人事制度を変え、一般職員の人事異動は、同一職場に3年以上で強制配転の対象とし、「渡り」も撤廃した。
「人の不幸は密の味」
「人の不幸は密の味」どんな人にも少しはある感情だが、それを無限に増幅させるのがマスコミである。例えば、古くは松本サリン事件の第一通報者の河野義行氏へのマスコミ報道、東日本大震災の福島県産の食べ物への風評被害、2ちゃんねるや学校裏サイトなどでの匿名批判など、多岐にわたる。
公表すればするほど揚げ足を取る記者たち
マスコミは政治家に対して「国民の代表者としての説明責任」を求める。そこで、市役所の行政情報や職員の不祥事、週1回の定例記者会見などで積極的に情報を開示し、報道された。しかし、一方で労働組合についての報道は全くしない。前述のような人事異動や特殊勤務手当など、数々の既得権とぬるま湯体質については一切報道がなされなかったのである。
アホなマスコミが日本を滅ぼす
「中田さん、この件についてどう思いますか?」中身がわかっていない人が、とりあえず質問する場合によく使う手だ。一方、アメリカのホワイトハウスの記者たちは以下のような質問をする。「アフガニスタンの市民自身による平和構築という目的を達成するために、これまでアメリカが費やしたお金、時間、人的資源を考慮して、大統領は今後どのように対応していきますか?」聞き方が端的でありながら具体的なのだ。「いい」という記事を書くのにも、自らの見解に対するリスクが伴う。中立性という名の下に、記者の不勉強を放任してはならない。
最後に
弱者の味方を装いながらわかりやすい権力を叩き、公務員労組のようなぬるま湯体質は報じない。「いい」と報じるリスクをとらないために「悪い」記事が多くなる。「中立性」の名の下に、記者の不勉強を放任させるな。
次回は、清濁併せ呑めないと殺される 地方自治体の危ない世界についてまとめる。
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