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お金の役割は価値尺度、交換手段、貯蓄手段 貨幣と信用

「エコノミクス(経済学)は元々はギリシャ語のオイコノミコス(共同体のあり方)から来ている」竹中平蔵氏は語りかける。ここでは、『経済ってそういうことだったのか会議』を10回にわたって要約し、経済学の本来の意義を理解する。第一回目は貨幣と信用。

1 「牛乳瓶のフタ」の経済学

佐藤少年とクラスメイトの多くが牛乳瓶のフタに価値を見出した。隣のクラスや隣町の牛乳屋、そして東京の親戚の家にもフタを送ってもらったりしていた。そのフタの数で物々交換が始まった。しかし、ある日1人の少年が大量のフタを持ってきたためにその価値が急落した。つまり、牛乳瓶のフタに対する信用が失われてしまい、ゴミと化してしまった。

貨幣の価値はみんなの「信用」によって決まる。お金は3つの使い方がある。

  1. 価値尺度:掃除当番という労働はフタ20枚分、円とドルの為替相場など
  2. 交換手段:消しゴムとフタ5枚の交換、円建て・ドル建てなど
  3. 貯蓄手段:資産を貯める、預金や不動産など

 

2 なぜ外国のお金はおもちゃに見えるのか

外国のお金に対する「信用」がないからおもちゃに見える。例えば、一万円札をなぜ大事に持っているかは日本銀行を信用しているから。すなわち、信じるという行為がなくなったらお金はなくなってしまう。信用が崩れると貨幣経済はとても脆い存在。

 

3 お金に対する信頼の素

お金に対する信頼の素は、「その通貨を発行している国が信用できるかどうか」。金本位制度を止めると決めたニクソン・ショックによって騒ぎにはなったが、現在でもドルは基軸通貨として通用している。

 

4 自分の国より他人の国の方が信用できるときのお金の姿

パナマはバルボアという自国の通貨も発行しているが、実質はアメリカ・ドルを使っている。自国の通貨を発行することで、金融政策を行うといった「通貨主権」を持つことができる。しかし、通貨の価値を安定させるためには大国の通貨を利用した方がいい場合もある。

金融とは私たちが勝手に思い込んでいる部分で動いているところが多い。例えば、クレジットカードに対する信用度、当座預金に対する日本とアメリカの捉え方の違いなどである。

 

5 偽札づくりの経済学

違法行為ながら、少しくらいの偽札ならばそれを作った人が得するだけで終わる。しかし、大量の偽札を作って流通させるとその分お札の価値が下がってしまう。

「お金とは何か」を突き詰めていくと難しい。財布の中にある現金は誰が見てもお金である。銀行預金も前述の3つの要件をすべて満たしているためお金である。それでは定期預金はどうか、国債や株はどうか、自動車や土地はどうか、手形はどうかと無限大の定義ができる。

そこで日本では「M2+CD」をお金の定義としている。M2は現金に当座預金と定期預金を加えたものである。CD(Certificate of Deposit:譲渡性預金)とは、高めの金利を上乗せして預金者が特定の市場で自由に売買できる定期預金証書である。アメリカではM1(現金)を見ている。

お金の量はその発行主(日本なら日銀)がどれだけ出したかについて測っている。

 

最後に

貨幣の価値はみんなの「信用」によって決まる。その役割は、価値尺度、交換手段、貯蓄手段の3つである。お金はたとえ偽札だとしても、みんなが正しいお金だと信じている限り価値がある。「信用」がお金の価値を支えているのだ。

著書の元は2000年と10年以上前の対談だが、経済の原理がわかりやすく語られている。ぜひ10日間付き合っていただきたい。

次回は、経済のあやしい主役である株についてまとめる。

経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)


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