nikola-tesla

マルコ・テンペスト「ニコラ・テスラ―電気にかけた波乱の人生」

「これは科学による魔法です」交流電流や無線送電システムの提唱を行ったニコラ・テスラは、ショーでこう語りかける。ここでは、57万ビューを超える Marco Tempest のTED講演を訳し、「史上最大のギーク」ニコラ・テスラの人生を学ぶ。

要約

マルコ・テンペストが、プロジェクション・マッピングと飛び出す絵本を組み合わせて、視覚的で魅力あふれる話を聞かせてくれます。「史上最大のギーク」と言われるニコラ・テスラの、交流電流発明の成功から貧しい晩年までの物語です。

A magician and illusionist for the 21st century, Marco Tempest blends cutting-edge technology with the flair and showmanship of Houdini.

 

1 デジタル技術を使ったタナグラ劇場への賛辞

手品師として私はイリュージョンの要素を組み込んだ演出に興味があります。特に素晴らしいと思うのがタナグラ劇場で 20世紀初頭に人気がありました。鏡を使って ― ミニチュア舞台で小人が演じているような イリュージョンを作り出します。今回 鏡は使いませんが ― いわばデジタル技術を使ったタナグラ劇場への讃辞です。では 物語をはじめましょう。

 

2 「テスラ君 236×501 は?」「118,236です」

それはある暗い嵐の夜 ― 1856年7月10日のこと 稲妻が夜空を照らす中 ― 一人の赤ん坊が誕生しました。名前はニコラ・テスラ 名前はニコラ・テスラ。とても賢い青年へと成長しました。お見せしましょう。

テスラ君 236×501 は? 「答えは 118,236 です」

テスラの頭脳は並はずれていました。言葉を聞いた瞬間 ― イメージが 頭に浮かぶのです。木や 椅子や 女の子 すべて幻影で 触れようとした瞬間に 消えてしまいます。一種の共感覚だったのかもしれません

 

3 「とても簡単に発明品をイメージできると知ったんだ」

でも ― 彼はその後 この能力を生かします。普通の科学者は実験をしますが テスラは頭の中で発明しました

「とても簡単に発明品をイメージできると知ったんだ」

鮮明に思い描いて うまく動くことを確かめてから 実際に作業場で制作するのでした。

「模型も図面も実験もいらなかった。実物のように想像できた 頭の中で動かし テストし 改良し それから初めて制作するんだ」

 

4 彼の偉大な業績が交流電流です

彼の偉大な業績が 交流電流です。でも何百万ボルトもの電気が安全だと どうやったら大衆に信じてもらえるでしょう? 発明を広めるために テスラはショーを始めました。

「私達は新時代の幕開けを目にしています。電気の時代の夜明けです。研究に研究を重ね スイッチ一つで エーテルを通した ― 送電が可能となりました。これは科学による魔法です」(歓声)

テスラは700件以上の特許を取りました。ラジオ 無線電信 遠隔操作 ロボット工学 人の骨格の透過撮影まで行いました。でも発明の頂点は子ども時代の夢を具体化して ナイアガラの滝の猛烈なパワーで 街に光をもたらしたことです

 

5 「金が集まらない」

しかし成功は長続きしません。

「もっとすごいアイデアがある。街を明かりで照らすなど まだ序の口だ。世界電信センターだ。想像したまえ ニュースやメッセージ 音に画像 ― 無線で一瞬にして 世界中に送れるのだ」

素晴らしいアイデアです。ただ ―巨大プロジェクトで 費用も莫大でした。

「金が集まらない」

他の惑星と通信できるなんて言わなければよかったのに

「確かに失敗だったよ」

名声は地に堕ち 世捨て人になります。名声は地に堕ち 世捨て人になります。死神にすら嫌われ ウォルドルフ=アストリア・ホテルの スイートルームで多くの時を過ごしました。

 

6 「私はすべてを捧げた。人類のために」

私は全てを捧げた 人類のために ― 富む者の横暴で 貧しい者が貶められるそんなことのない世界をつくるために ― そして知性と科学と芸術の成果が 社会に役立ち 生活がより良く 美しくなるそんな世界のために

テスラは1943年1月7日に亡くなりました。遺灰はベオグラードの ニコラ・テスラ博物館にある金色の球体に収められ 永遠の眠りについています。彼が遺したものは 今も私たちのまわりにあります。

 

7 「森林が消えて石炭を掘り尽くしたら、人類はどうなると思う?」

テスラは世界に光を灯しましたが それは ほんの始まりに過ぎません 彼は深い洞察力をもっていました。

森林が消えて 石炭を掘り尽くしたら ― 人類はどうなると思う?彼は答えをもっていたようです。でも私達はまだ問い続けているのです。 どうもありがとう。

 

最後に

エジソンの名言「天才は1%のひらめきと99%の汗(努力)」を聞いたテスラは、これを皮肉って「天才とは、99%の努力を無にする、1%のひらめきのことである」(「天才とは、1%の直観と99%の徒労である」とも)という言葉を残した(Wikipediaより)。努力は前提

和訳してくださったKazunori Akashi 氏、レビューしてくださった Yasushi Aoki に感謝する(2012年6月)。

テスラ―発明王エジソンを超えた偉才


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>