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議員立法のモデルケースで地域主権の先駆け NPO法ができるまで

前回は、日本は国会審議で予算と法律を採択する法治国家 ニッポンのしくみについてまとめた。ここでは、議員立法のモデルケースで地域主権の先駆け NPO法ができるまでについて解説する。

議員立法のモデルケース

議員立法のモデルケースとして、NPO法(1998年施行)がある。NPO(Non-profit Organization)とは、営利を目的としない、社会貢献活動や慈善活動を行う自発的な組織のこと。例えば、市民活動団体、公益法人、一般社団法人・一般財団法人、社会福祉法人、協同組合、宗教法人、学校法人、政党などが含まれる。一方、NPO法人とは、こうしたNPOのうちNPO法が規定する17項目(改正前は12項目)に限定して、法人格が付与された団体のことをいう。

 

NPO法はなぜつくられたか

NPO法がつくられた背景には、1980年代からまちづくり、環境保全、迷惑施設の問題あるいは国際貢献といった分野で活動するNPOなどが活発になっており、1995年の阪神・淡路大震災でそれらが大きく取り上げられたことがきっかけである。国は縦割り行政の弊害や危機管理体制の欠如で震災対応がままならなかった中で、NPOやボランティア団体がきめ細かい公益サービスを行った。しかし、法人格を持たなかったことから、信用面などで継続して取り組むことが難しかった。

 

法律ができるまで

NPO法ができるまでには、大きく2つの流れがあった。1つは、1993年にいくつかの市民団体が法人化や税制に関する研究会を立ち上げ、同時期に日本新党もNPOを支援する法律の法案化作業を開始していたことである。もう1つは、市民グループがNPO法の早期実現に向け、NPOの連携・ネットワーク化をしながら賛同者を広げ、マスメディアや専門家なども積極的に巻き込んでいったことが大きい。NPO法は、国政政党が法案化に向けて検討を開始した時点から約3年8ヶ月で成立した。

 

法律ができてから

NPO法が制定されたことによって、社会的な認知度や信用が高まった。法人格を持つことで講座が開設でき、寄付金も集めやすくなり、事務所や固定電話回線も契約しやすくなった。また、NPO法人は事務所が所在する都道府県が所轄するようになり、2以上の都道府県の区域内に事務所を設置する法人については経済企画庁が所轄するようになった。2012年4月施行の改正NPO法後は、すべて地方行政機関が所轄することになった(地域主権)。

 

最後に

NPO法は議員立法のモデルケース。NPO制定のきっかけは、1995年の阪神・淡路大震災でNPOの活動が大きく取り上げられたこと。法案化には政党の動きもあるが、市民グループが主体的に早期実現へ働きかけたことが大きい。NPO法ができたことでNPOの社会的信用が高まり、地域主権の先駆けとなった。立法プロセスの公開と多様な市民の関与

次回は、政治家と官僚のあるべき関係とは 政治主導と官僚主導についてまとめる。

ニッポンの変え方おしえます: はじめての立法レッスン


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