nuclear-fusion

スティーヴン・カウリー 未来エネルギーの核融合

「私は核融合が燃料危機に対する持続可能な唯一の解決策だと確信しています」カウリーは語りかける。ここでは、55万ビューを超える Steven Cowley のTED講演を訳し、未来エネルギーの核融合について理解する。

要約

物理学者のスティーヴン・カウリーは核融合が燃料危機に対する持続可能な唯一の解決策だと確信しています。彼がなぜ核融合だと上手くいくのか — そして彼とその他の大勢が人生を捧げた、時間との戦いである新しいエネルギー源を作り出すプロジェクトの詳細を説明します。

Steven Cowley directs the UK’s leading fusion research center. Soon he’ll helm new experiments that may make cheap fusion energy real on a commercial scale.

 

1 核融合はいつ実現するのか?

重要な問題は「核融合はいつ実現するのか?」ということです。核融合が発見されてから長い年月が経っています。我々はそのことを1920年から知っていて、 サー・アーサー・スタンレー・エディントンと英国科学振興協会が その仕組みを使って太陽は燃えているのだと 推測したのです。私は常に資源について心配してきました。皆さんの事は分かりませんが、 私の母親が食べ物をくれたとき、 私は常に自分の嫌いなものから 食べ始めました。私は嫌いなものを最初に食べ、 好きなものを後のために残しておいたのです。子どものときには皆いつも資源の事を気にします。それで我々がどれほど資源を 消費しているのか知ったときに ひどく混乱しました。太陽に飲み込まれるまで 地球があと500億年ほどしか永らえないと 知った時と同じぐらい混乱したのです。私にとっては大きなイベントです。変な子ですね (笑)

 

2 将来のエネルギーは資源からではなく知識から来る

エネルギーというのは現在のところすなわち資源です。エネルギーにより巨万の富を得ている国というのは その下に何かを持っているのです。石炭に支えられたこの世紀の産業革命 石油、ガス、失礼.. (笑) 恐らく私はプーチンさんが ガス栓を締めるのを楽しんでいる 数少ない人間でしょうね。予算が増えますから。我々はいつも使って、さらに早いスピードで使い続けている モノたちに支配されています。そして第3世界、つまり途上国にいる何十億という人たちを 貧困から助け出そうとするために エネルギーを今までに無い程消費しているのです。それらの資源というのはいずれ無くなります。将来のエネルギーというのは資源から 来るわけでは無いのです。それは知識からきます。今から50年後の未来を考えてみると 我々がエネルギーを利用する方法というのは 恐らくこれら3つのうちのどれかでしょう。風力か、それとも他のものか、 どちらにしてもこれらが将来のベースロードになるでしょう。

 

3 核分裂は化石燃料を使用しない確かな方法

太陽光発電もそうでしょうし、その開発はしなければなりません。しかし世界の需要に合う程の量のエネルギーを太陽から得るためには まだ知らなければなければならない事が数多くあります。核分裂 我々の政府は新しく6つの原子力発電所を建設する予定です。6つの新しい原子力発電所です。その後はさらに多くなるでしょう。中国も原子力発電所を建設中、皆やっています。それが化石燃料を使用しない確かな方法だと 分かっているからです。しかし完璧なエネルギー源が何か知りたいのであれば、 それはあまり場所を必要とせず、 エネルギー源は無尽蔵の供給があり 安全で、炭素を空気中に一切出さずに、 放射性物質を一切残さない というもので、それはつまり 核融合です。しかし落とし穴もあります。こういうことには常に落とし穴があるのです。核融合は非常に難しいのです。我々は50年もの間挑戦しています。

 

4 ウラニウムは分裂したがっている

よろしい。核融合とは何でしょうか?ここで原子物理学が登場します。失礼ですが、こういう事に私は興奮するのです (笑) 変な子どもでしたからね。核エネルギーというのは単純なしくみで動いています。最も安定した原子核というのは鉄で、周期表の丁度真ん中にあります。中程度の大きさの原子核です。そしてエネルギーを得たいのであれば鉄に向かっていくのです。だからとても大きくウラニウムは分裂したがっているのです。しかし小さな原子がそれに加わり、 原子核がいくつも合わさり、 鉄に向かって大きなものになっていくのです。

 

5 星が行っていることそのもの

このようにしてエネルギーを得るのです。そして勿論これは星が行っている事そのものです。星の真ん中では水素が結合し、ヘリウムを形成していますし、 ヘリウムから炭素になり そして酸素になる、あなたを形作っているものは全て 星の中で作られているのです。しかしそれは大変なプロセスです。星の真ん中というのはまず間違いなく ひどく暑いですからね。そしてその結果として 恐らく行うのが一番簡単な核融合でしょう。水素の同位体2つ、2つの種類の水素を使います。重い水素、重水素、 これは海水から取る事ができるのですが、 それにとても重いトリチウムという物質です。

 

6 正しい設定のもとで衝突し合うと核融合が起こる

これら2つの原子ですが、離れている時は電位を持ちます。そしてくっつけようとすると反発し合います。しかしある程度近づけてしまうと 大きな力というのが働き始め それらは引かれ合うのです。代替に置いて反発し合っていますが より近くに、そしてさらに近くにとよせ合うと、そのうち 強い力が2つを捕まえるのです。そしてそれはヘリウム5という物質になります。5つの粒子が中に入っていますからね。これがそのプロセスです。重水素をトリチウムが一緒になり ヘリウム5になります。ヘリウムが分裂し、中性子が出てきて、 そして大きなエネルギーが発生します。摂氏1.5億度ぐらいの環境では あらゆるものが凄いスピードで移動して 正しい設定のもとでこれらが衝突し合うと 核融合が起こり、エネルギーが発生するのです。このエネルギーが核融合を動かすのです。

7 トリチウムは自然界に存在しない

こういう反応を起こしたいのですが、この反応では1つのトリックがあります。そのトリックというのは、1.5億度を手に入れなければなりませんが、 トリックというのは反応に関するものです。面白いですよ。反応に関するトリックというのは トリチウムは自然界に存在しないのです。他の何かから作り出さなければなりません。それをリチウムから作り出します。下にある反応ですが、 リチウム6に、中性子の組み合わせで ヘリウムとトリチウムを得る事ができます。こうしてトリチウムを得るのです。しかし幸運にも、この核融合反応をすることができるのであれば、 中性子も得られて、実際に実現する事ができるのです。

8 石油は数十年しか持たない

さて、なぜこのような事をするのでしょうか? これがその理由です。我々に残されている燃料を 現在の世界消費という視点から プロットしています。そこに目を向けてみると、石油は 数十年しか持たないことがわかるでしょう — 青色の線は 最も少なく見積もった資源の残りを表しています。黄色の線が最も楽観的な見積もりです。目を向けてみると 数十年、もしかしたら100年程の化石燃料があるのが お分かりでしょう。それで我々は本当にその全てを使い切ってしまうのでしょうか? その結果莫大な量の炭素が空気中に放出されます。そしてウラニウムの登場です。しかし今の原子炉の性能を考えると 我々はそこまでウラニウムを持っていません。ウラニウムを海水から抽出する必要があり、 それが黄色の線なのですが 通常の原子力発電所を作るには 実は様々な困難があるのです。これはちょっとショックな事です。我々の政府というのは 京都議定書などの要件を満たすために 原子力発電所に頼っているのですから。

 

9 世界で唯一核融合を行った機械「JET」

先に進むには増殖炉の技術が必要になります。増殖炉とは高速増殖炉の事です。これは結構危ないものです。右にある大きなものは 世界中にあるリチウムです。リチウムは海水の中に存在します。黄色の線です。核融合に必要な3千万年分の燃料が海水の中にあるのです。皆が手に入れる事ができます。だから核融合を行いたいのです。価格競争力はあるでしょうか? 我々は核融合発電所を作った時の 費用の見積もりを行ってみました。その結果は現在の電気と大して 変わらないものでした。それでどうやって作るのでしょうか? 何かを1.5億度に保たなければなりません。そして実を言うと、既にそれはできているのです。何かを地場の中に置きます。そしてその中、丁度環状体、ドーナツの形の真ん中ですが、 その中が1.5億度になっているのです。中では1.5億度で沸騰し続けるのです。そして実際我々は核融合を起こすことができます。そしてこれが将来に向けた JET というものです。世界で唯一核融合を行った機械です。

 

10 3千万年分の核融合エネルギーを手に入れたい

人々は核融合というのは30年後のもので常にそうだと言っていますが、 私は「そう、でも実はもうやってるんだよ」そうでしょ? 核融合を起こす事はできます。この機械の中で 1997年には16メガワットの核融合を起こしました。2013年にはもう一度同じ事を行い 全ての記録を塗り替えるつもりです。しかしこれは本当の核融合電力ではありません。単に核融合を起こしているだけです。これを取り出して、核融合原子炉の中に入れなければなりません。我々には3千万年分の核融合エネルギーを手に入れたいのですから。これが我々が開発している機械です。

 

11 7つの国家が製造に関わり、制作には100億ドルかかる

この研究を行うにはとても費用がかかります。低温核融合というナンセンスもありましたが テーブルの上で核融合は行えないということは分かりました。できないのです。とても大きな装置の中でしか行えないのです。フランスの南部にあるこの機械を作るには世界の人口の半分以上が 関わっています。実験をするには良い場所です。7つの国家がこの製造に関わっています。制作するのに100億ドルかかります。おそらくそして0.5ギガワットの核融合エネルギーを得るでしょう。しかしそれはまだ電力ではないのです。ここまで到達しなければなりません。発電所までたどり着かなければならないのです。このとても複雑な技術から電気を得られる様に しなければならないのです。それよりももっと早く実現したいのですが 我々が考えられるのは2030年代に実現するというものです。

 

12 2030年代のいつかに核融合発電の電気を

違っていたらと思います。今の我々に必要なものなのです。この国ではあと5年もすれば エネルギーの問題に直面します。2030年というのは永遠にも思えますが 中止する訳にはいきません;さらに進めて核融合を 実現しなければなりません。もっとお金があったら良いのに、もっと資源があったら良いのにと思いますが。これが我々の目指しているところで、 2030年代のいつかに 核融合で発電した本当の電気。どうもありがとう (拍手)

 

最後に

将来のエネルギーは資源からではなく知識から来る。核分裂は化石燃料を使用しない確かな方法。核融合は星が行っていることそのもの。正しい設定のもとで衝突し合うと核融合が起こるが、トリチウムは自然界に存在しない。世界で唯一核融合を行った機械「JET」。7つの国家が製造に関わり、製作には100億ドルかかる。2030年代のいつかに核融合発電の電気を

和訳してくださった Akira KAKINOHANA 氏、レビューしてくださった Takahiro Shimpo 氏に感謝する(2009年7月)。

核融合エネルギー入門 (文庫クセジュ875)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>