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ローラ・カーステンセン 年をとるほど幸せになる

「寿命は前例にないほど延びていますが、生活の質はよくなっているのでしょうか?実はなっています!」カーステンセンは語りかける。ここでは、85万ビューを超える Laura Carstensen のTED講演を訳し、人は年をとるほど幸せになるという実証研究を紹介する。

要約

20世紀、寿命に前例にないほど多くの年数が加わりました。それでも、生活の質は良くなっているのでしょうか。意外にもそうなのです!心理学者のローラ・カーステンセンは、人は年を取るにつれ、幸せに、満足に、そして世界を前向きに捉えると実証する研究をTEDxWomenで紹介します。

Laura Carstensen is the director of the Stanford Center on Longevity, and has extensively studied the effects on wellbeing of extended lifetimes.

 

1 高齢化は最新の出来事

人々は長生きし 社会は高齢化している 皆さんは常にそう耳にするでしょう。新聞で読んだりもしますね。テレビで聞いたりもしますが 時折 私は気になるのです。頻繁にこの話を聞くので 長生きを受け入れるようになったのではないかと。いわば自己満足で いや それどころか 安易に でも 誤解しないでください 長生きすることで あらゆる世代で 生活の質を改善できるし そうなると確信しています

ここで 全体的に考えるべく しばし 背景に目を向けましょう。20世紀の間に増えた 平均寿命の 年数は 人類の進化の過程における 何千年もの間に増えたすべての分の 平均寿命年数を超えています。一瞬にして 自分たちが生きている時間の長さを ほぼ2倍にしました。この高齢化が止まらないと不安に思っているのなら 嘆かなくても大丈夫です。これは最新の出来事です。

 

2 平均寿命の延びは注目すべき文化の産物

しかも出生率が 平均寿命の増加と同時に 低下しているので かつてのピラミッド構造 年代別の人口分布を示すものとして 今までは常に 多くの若者を底辺として、 老齢になるまで生き抜いてきた少数の高齢者を 頂点とするそのピラミッド構造の形が 長方形へと 変形しつつあります。もし 皆さんが人口統計に 不安を感じるような人ならば まさにそうすべき人たちなのです。なぜなら このお話は 人類の歴史で初めて 先進国で生まれた 赤ちゃんの大部分が 成長する機会を持っているということに 等しいからです。

どうしてこんなことが起きたのでしょう。私たちは1万年前の祖先ほど 遺伝的にたくましくはないですから こうした平均寿命の延びは 注目すべき文化の産物なのです。この文化とはつまり 健康や福祉を改善するための 科学技術や大規模な行動変化を束ねた るつぼなのです。文化的な変化を通じ 私たちの祖先は 大部分が早死を避け それで 人々は今 存分に一生を過ごせるようになりました。

 

3 高齢化は進歩をもたらし、幸せになる

目下 高齢化に伴う問題があります。つまり 病気 貧困 社会的地位の喪失です。成功に甘んじている場合ではありません。しかし、高齢化について学べば学ぶほど はっきりしてくるのは 完全に下り坂だというのは まったくもって正確ではない、ということです。高齢化は進歩をもたらします。知識の増強 専門技術の向上 それに生活での感情的側面が好転するのです。そう まさに 高齢者は幸せなのです。この人たちは中高年より幸せですし 若者と比べればなおさらです。しかも 研究の度に 同じ結論に達しています。

 

4 ストレス、心配事、怒りは年齢と共に減少した

最近 米国疾病予防管理センターはある調査を行いました。前の週に深刻な精神的苦痛を 経験したかどうかを語るよう 被験者に お願いするだけのものでした。その結果 この質問に「はい」と答えた高齢者は 中高年よりも また 若者よりも少なかったのです。さらに 最近のギャラップ世論調査では 対象者に 前日に どの程度 ストレス 心配事 怒りを 感じたか尋ねました。その結果 ストレス 心配事 怒りは みな 年齢と共に減少したのです。

社会科学者は これを高齢化のパラドックスと呼んでいます。つまり高齢化は単純な話ではないのです。そこで 私たちはあらゆる質問をし この調査結果を覆せるか調べました。私たちは 果たして 現代の高齢者世代が いつの時代でも最高と 言えるかどうか訊いてみました。つまり 今日の若者は一般的に 年をとっても 今お話ししたような進歩は 経験しないかもしれないということです。さらに私たちは質問しました。まあ 高齢者は そうでなければ気のめいるような暮らしを ことさら前向きに評価しようとしているだけでしょうが (笑) しかし このような研究結果を否定しようとすればするほど 逆に、それを裏付ける 証拠が見つかるのです。

 

5 18歳から94歳の被験者の10年にわたる追跡調査

何年も前に 私は同僚とある研究を始め 10年にわたり 同じ集団を追跡調査しました。当初 被験者は18歳から94歳でした。そして 成長するにつれ 感情的経験が変わるかどうか また どのように変わるか調べました。被験者はポケットベルを携帯し 無作為に 昼夜を通して ポケットベルに連絡を入れました。そして 連絡を入れる度に いくつかの質問に答えるようお願いしました。例えば 7段階評価で 今どのくらい幸せですか とか 今どのくらい悲しいですか とか 今どのくらい欲求不満ですか といったもので それで 被験者が日々の生活で 感じている感情や気持ちの種類について 私たちは感じ取ることができたのです

さらに このような集中的な 対個人の研究を行うことで 他者よりも良い結果を出しているのは ある特定の世代ではなく 同じ個人が 時と共に 楽観的経験を 報告するようになっているのです。かなりの高齢の年代については わずかながらの低下が見られますが ほんの少し下がっているだけです。しかし 若かりし頃の レベルまでには 戻ることはありません。

 

6 高齢者は絶望ではなく思いやりを持って不公平を見ることができる

ただそれだけで 高齢者が「幸せだ」と言うのは 少し単純すぎます。そこで私たちの研究では 高齢者はより前向きではあるのですが さらに 高齢者は若者よりも 入り混じった感情 すなわち 幸福と同時に悲しみも経験しやすいことがわかりました。ほら 友達に微笑んでいる時に 目に涙を浮かべているといったことですよ。また 別の研究では 高齢者は もっと楽に 悲しみと 向き合っているようだと示しています。若者より多く悲しみを受け入れているのです。そして このことが なぜ高齢者が若者よりも 熱のこもった感情的論争や議論を解決するのに 長けているのか説明できるかもしれない と私たちは思っています。高齢者は 絶望ではなく 思いやりを持って 不公平を見ることができるのです。

 

7 認識の資源をマイナスよりプラスの情報に向ける

そして 全てのものが平等ならば 高齢者は 注意力や記憶のような 認識の資源を マイナスよりプラスの情報に向けるのです。もし 皆さんがこのような 映像を 高齢者 中高年 若者に見せて できるだけ全てを思い出すよう 後で私たちがお願いをした場合 若者ではなく 高齢者は マイナスの映像よりも プラスの映像を覚えています。さらに 高齢者と若者に 実験室で顔を見てもらうよう依頼しました。そこには しかめ面もあれば 微笑みもありましたが その結果 高齢者は微笑みの方に目をやり しかめ面や怒った顔を避けていました。日々の生活においては これは より大きな喜びや 満足という形になって現れていると言えます。

 

8 本当に重要な状況ではマイナスの情報も処理する

しかし 社会科学者として 私たちは 引き続き 他の可能性を探りました。高齢者が比較的 前向きな感情を報告するのは 認識面が弱まっているせいなのかも知れない とか (笑) あるいは プラスの感情の方が マイナスの感情より簡単に処理できるので プラスの感情に変えているなど。もしくは 脳内の神経中枢が 衰え そのことでもはや マイナスの感情を処理できなくなっている であるとか。しかし それは違います。もっとも精神力高い高齢者が このポジティブな感情処理をする人たちです。そして 本当に重要な状況では 確かに 高齢者は プラスの情報と同様に マイナスの情報も処理します

 

9 死を意識することで人生への見方が肯定的に変わる

では なぜこんなことになるのでしょう。実は今までの研究によって これらの変化は 唯一人間にのみ備わっている 時間を監視するという能力が しっかりあるということであり しかもその監視できる時間には 単に時計やカレンダーだけではなく 寿命までもが含まれるのだということを発見しました。そして もし高齢化のパラドックスがあるならば それは 私たちが永遠には生きないという認識で 人生への見方が肯定的に 変わるということなのです。若い頃に顕著なように 計画対象期間が長く漠然としている時 人は たえず準備をして できる限り 全ての情報を吸収しようとし 危険を冒し 探求していくのです。私たちは どこか興味深いという理由で 好きでもない人と時間を過ごすことすらあります。そして実際 予想もしていないことまで学ぶこともあります(笑) 合コンだってありえます (笑) まあ どのみち うまくいかなくても いつでも明日という日はあるのですから。50歳以上の人々は 合コンはしないでしょうけれど (笑)

 

10 自分の優先順位がはっきり見える

年を取るにつれ 計画対象期間は短くなり 目標が変わります。ずっとこの世にいるわけではないと気づけば 自分が何を優先すべきか 最もはっきり見えるのです。そして 些細な事柄に注意が向かなくなり 人生を満喫するのです。さらに もっと人に感謝をし もっと和解を受け入れることでしょう。また人生の 感情的に重要な点に重きを置き 人生がより良くなり 日々 いっそう幸せになるのです。しかし これと同じ視点の変化によって これまでより 不公平に我慢が できなくなります。

 

11 高齢社会の結果は文化が決める

2015年までには アメリカで 60歳以上の人口が 15歳以下よりも 多くなるでしょう。高齢者で頭でっかちになる社会に 何が起きるのでしょうか。単なる数字が 結果を決めるわけではありません。文化が 決めるのです。もし 科学技術に投資して 高齢者が直面する現実問題に対し 解決法を見つけ しかも 高齢者の 極めて本質的な力を フルに生かすなら 追加された生存年数で 全ての年代において 劇的に 生活の質が改善されるのです。そして 過去のどの世代よりも 健康的で教養がある 才能にあふれ 感情的に安定した 何百万もの市民を抱えながら 人生の実際問題に関する 知識を武器にし しかも 大きな問題の解決に 意欲的な社会は 私たちがこれまでに知っているよりも 良い社会になるはずです。

 

12 高齢者たちに私たちをどう守ってもらうかを話そう

最後に 92歳になる父が 好んで言った言葉を引用します 「高齢者をどう生かすのかだけを 話すのは止めて この人たちに 私たち皆をどう守ってもらうのかを 話し始めようではありませんか」ありがとうございました(拍手)

 

最後に

高齢化は最新の出来事。平均寿命の延びは注目すべき文化の産物。高齢化は進歩をもたらし、幸せになる。ストレス、心配事、怒りは年齢と共に減少した。18歳から94歳の被験者の10年にわたる追跡調査を実施。高齢者は絶望ではなく思いやりを持って不公平を見ることができる。高齢社会の結果は文化が決める。高齢者に守ってもらおう

和訳してくださったYumi Akiyama 氏、レビューしてくださった Ayako Kato 氏に感謝する(2011年12月)。

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