前回は、赤の他人と1対1で交流できるサイトは子どもから離せ ネットと規制についてまとめた。ここでは、ネットはテレビ番組や作品の認知度を高めるツール ネットと広告について解説する。
ニコニコ動画は黒字にしない
ニコニコ動画の売上は2億円程度だが赤字である(2010年に黒字化)。支出の7割以上がサーバー費用や回線契約などのネットワーク費用で、人件費はそれほどかかっていない。しかし、サーバーを少なくするなどをしてしまうと、無料を含め1000万人のユーザー全てが楽しめるサイトではなくなってしまう可能性がある。短期的な黒字を目指さずに、10年後も存在しているサービスであるために、成長を続けているのだ。
ニコニコ動画の未来予想図
ニコニコ動画と2ちゃんねるを比べると、前者のほうが1000倍以上のデータ転送コストがかかっている。ホスティングセンターとプロバイダ間のデータ転送コストは従量制なため、サイトの運営事業者はプロバイダに線を繋いでもらう代わりにお金を払っているからである。そこで、ニコニコ動画はある程度の会員数が集まった時点で設備投資を止め、現在ある設備の中で運営していこうと考えている。その会員数の目標が、2000万人とか4000万人と社内でまちまちなのだ。
ネット企業の上場は失敗する
ウェブサイトの売上は、アフィリエイトや広告モデル、有料会員化のほかに、サイトに掲載された情報をまとめて書籍化することなどがある。しかし、利用者が増え続けなければこうした売上は増え続けないため、結局はネット企業の上場は失敗するのではないか。2つのパターンがあり、真面目に働いて無理をして失敗するか、人を騙して上場して失敗すると思われる。
ネットの広告単価はまだまだバブル
そもそもネット企業はオフィスは必要なく、家にいながらネット経由で仕事をすることができる。つまり、コストはかなり低く抑えられるのだ。しかし、大手SNSのGREEなどが上場し、CMを流している。これはどこかバブルの様子がある。ネット広告は「広告サイトをクリックしたユーザーが商品を購入した」といった行動まで追いかけることができるので、費用対効果がわかりやすい。例えば、人口1億人の国で、バナー広告のクリック単価が50円だとすると、100万人(1%)に広告を見せるためには5000万円かかる。しかし、テレビならば視聴率1%の番組に15秒程度のCMを打つのに、5000万円はかからない。ここからも、ネットの広告単価は依然高すぎることがわかる。
僕はネット広告をクリックしない
著者はネット広告をクリックしない。それは、コンテンツ自体が広告のかたまりになっている、スパムブログのようなサイトが嫌いだからだ。スパムブログのようなサイトの広告をクリックすることで、運営者が収入を得てしまえば、そうしたブログが残り続けてしまうのを防ぎたいのだ。
ネットはメディアではない
ネットはメディアではない。「ネットの出現によって四大マスメディアの売上が落ちている」と言われるが、世の中が不景気になった問題のほうが大きい。むしろ「ネットは番組や作品の認知度を高めるツール」として活用するほうがよい。例えば、「水曜どうでしょう」は「impress TV」というサイトで有料配信されていたが、北海道ファンがお金を払って視聴していたため、それなりの売上があった。また、「涼宮ハルヒの憂鬱」や「らき☆すた」といったアニメも、ユーザーがYouTubeやニコニコ動画にアップロードしたことで火がつき、日本全国でDVDが売れたのである。
テレビとネットの得手不得手
テレビとネットには得手不得手がある。テレビはパッケージゲームと似ていて、作った番組を一斉に放送するため、それなりに楽しめるようになっている。一方、ネットはネット上のコンテンツにユーザーが反応して初めておもしろくなるものが多いので、オンラインゲームと似ている。つまり、おもしろくなる部分の質が微妙に違うのだ。
僕の意見は客観論
著者の意見は客観論である。論理的に考えたら誰しもがたどり着く答えを、あえて述べているのだ。こうした考えを持つようになったのは、周りに興味を持っていないからだと思われる。時間がある上に調べ物好きなため、普通に生活をしている人にとってはどうでもいいことばかり話している。例えば、世界経済などの場合、海外の経済学者が書いている論文などをネットはそのまま英文で読めたりするため、情報収集がしやすいのだ。
最後に
ニコニコ動画が赤字を出し続けるのは、10年後も残るサービスを作るため。ネット広告をクリックしないのは、スパムブログを消滅させるため。ネットはメディアではなく、番組や作品の認知度を高めるツール。著者が客観的なのは周りに興味を持っていないから。テレビはパッケージゲーム、ネットはオンラインゲーム。
次回は、世界にモノを売る手段としてネットを活用せよ テレビと映画の将来についてまとめた。
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