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品質、コスト、納期の管理だけじゃないシステム周りの各種マネジメント3選

システム開発には当然納期があり、予算も人手も限られている。システムを提供したら終わりでもなく、その後の運用からクレーム対応まで管理していく必要がある。ここでは、システム開発全体の流れを把握するために必要となる基礎知識と他業種との類似点をまとめる。

情報処理推進機構のシラバスにおいては「27.プロジェクトマネジメント」「28.サービスマネジメント」「29.サービスサポート」「30.ファシリティマネジメント」に対応している。

 

1 プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメントとは、どのようなシステムを、いつまでに、どれくらいの予算で作り、品質や進捗状況を管理すること。このようなプロジェクトマネジメントの技法を体系的にまとめたのがPMBOK(Project Management Body of Knowledge)である。スコープ(プロジェクトの目的と範囲)、時間、コスト、品質、人的資源、コミュニケーション、リスク、調達、統合管理の9つから成り立っている。

 

作業範囲を把握するためのWBS

WBS(Work Breakdown Structure)とは、プロジェクトに必要な作業や成果物を、階層化した図で表すもの。PMBOKでいうスコープ管理に活用される。

 

開発コストの見積

見積手法として代表的なものとして、以下の2つがある。

  • プログラムステップ法:ソースコードの行(ステップ)数により開発コストを算出する手法
  • ファンクションポイント法:表示画面や印刷する帳票、出力ファイルなど、利用者から見た機能に着目して、その個数や難易度から開発コストを算出する手法

 

2 スケジュール管理とアローダイアグラム

スケジュール管理には、ガントチャート(横軸に時系列、縦軸に作業計画を持ってきた棒状のチャート)やアローダイアグラムといった図表が活躍する。

 

アローダイアグラムの書き方

アローダイアグラムとは、作業の流れとそこに要する日数とをわかりやすく図に表したもの。結合点、アロー(矢印)、ダミー作業矢印の3つの記号を使って表す。

 

全体の日数はどこで見るか

全体の日数は、作業日数が一番多く必要となる(これ以上は短縮できない)ルートである。上記リンク先の例で言うと、1→3→5→6の15日間である。

 

最早結合点時刻と最遅結合点時刻

結合点には「いつから」を気にする最早結合点時刻と、「いつまでに」を気にする最遅結合点時刻の2つがある。

  • 最早結合点時刻:対象とする結合点で、最も早く作業を開始できる日時のこと
  • 最遅結合点時刻:対象とする結合点で、最も開始を遅らせた日時のこと

 

クリティカルパス

クリティカルパスとは、ルート上のどの作業が遅れても、それが全体のスケジュールを狂わせる結果に即つながってしまう経路のこと。

 

3 ITサービスマネジメント

ITサービスマネジメントとは、顧客の要求を満たすITサービスを効果的に提供できるよう、体系的に管理する手法のこと。標準的なガイドラインとして、英国でまとめられたITIL(Information Technology Infrastructure Library)がある。短期的なサービスサポートと、長期的なサービスデリバリの2つで構成される。

 

SLA(Service Lebel Agreement)

サービスレベルアグリーメントとは、サービス提供者とその利用者との間で、サービス品質の目標設定を両者合意のもとで行うこと。守れない場合はペナルティが課せられる。

 

サービスサポート

ITILのうち「ITサービスの日々の運用に関する作業」をまとめたもの。次の1機能と5つの業務プロセスによって構成されている。

  • サービスデスク:ITサービスを利用する顧客と、ITサービスを提供する組織との間の一元的な窓口として活動する
  1. インシデント管理:発生したインシデント(突発的な障害など)に対し、可能な限り迅速に通常のサービス運用を回復して、悪影響を最大限に抑えること
  2. 問題管理:インシデントや問題の根本原因を特定し、事業に対する悪影響を最小限に抑制し、再発を防止する
  3. 構成管理:構成管理データベースを用いてITサービス提供に必要な構成アイテム(CI)を常に正しく把握し、各プロセスに効果的な情報を提供する
  4. 変更管理:変更要求(RFC)の内容について、変更に伴う影響を検証してインパクトや優先度の評価を行い、認可または却下を決定する
  5. リリース管理:承認の得られたコンポーネントを、正しい場所に、適切な時期にリリースする

 

サービスデリバリ

ITILのうち「長期的な視点でITサービスの計画と改善を図る」もの。次の5つの業務プロセスによって構成される。

  1. サービスレベル管理(Service Level Management:SLM):サービス提供者とその利用者との間でSLAを締結し、PDCAサイクルによってサービスの維持、向上に努める
  2. キャパシティ管理:容量、能力などシステムのキャパシティを管理し、最適なコストでサービスが現在および将来の合意された需要を満たすに足る、十分な能力を持っていることを確実にする
  3. 可用性管理:サービスの利用者が利用したいときに確実にサービスを利用できるよう、ITサービスを構成する個々の機能の維持管理を行う
  4. ITサービス継続性管理:顧客と合意したサービス継続を、あらゆる状況のもとで満たすことを確実にする(例:災害発生時)
  5. ITサービス財務管理:ITサービスにかかわるコストの予測と、実際に発生したコストの計算や課金管理を行う

 

ファシリティマネジメント

ファシリティ(facility)とは、設備や施設のことであり、これらの設備を適切に管理改善する取り組みのこと。施設管理ともいう。例えばUPS(Uninterruptible Power Supply)は無停電電源装置とも言い、外付けバッテリのような使い方のできる装置である。装置内部に有するバッテリに蓄電しておいて、停電などで電力が閉ざされた場合に、接続機器に対して一定時間電力を供給する。

 

最後に

システム周りのマネジメントについて、プロジェクトマネジメント、スケジュール管理とアローダイアグラム、ITサービスマネジメントについてまとめた。

特に「サービスサポート」の項目は、SV(スーパーバイザー)の仕事と重なる面が多い。SVとは加盟店と本部の窓口であり、1.強盗や事故が起きたときに真っ先に駆けつけ対応、2.売上金の途中回収の徹底や防犯ブザーの活用確認などで再発を防止、3.個々の店舗や県ベース・全店ベースの販売データを把握し情報提供、4.販売マネージャーの意見等も参考に担当店の戦略を考える、5.販売動向に応じて個店ごとの棚割や商品展開を変える、というように対応している。ネット専業企業の場合、これがホームページやコールセンターに置き換わる。その際に、ネットワークセキュリティについての知識があれば、より役に立てるだろう。

次回はプログラミングについてまとめる。

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