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ファビアン・エーフナー サイケデリック・サイエンス

「磁性液体と絵の具を混ぜたときや、ウィスキーに点火したときに起こる現象についてお見せしましょう」ファビアンは語りかける。ここでは、150万ビューを超える Fabian Oefner のTED講演を訳し、アートと科学の融合について理解する。

要約

スイス人のアーティスト兼写真家のファビアン・エーフナーは日常の科学からキラリと光るアートを生み出すことを試みています。魅力的な講演で、音波と戯れる顔料の様子を捉えた写真など、最近撮影したサイケデリックな写真を紹介します。ライブデモでは、磁性液体と絵の具を混ぜたり、ウィスキーに点火したときに起こる現象にご期待ください。

Fabian Oefner creates stunning visual representations of natural forces.

 

1 アートと科学の融合

百聞は一見にしかず と言います。そこで お話しする前に いくつかの写真をご覧いただきます。ごく最近撮影したものです。ここまでで 6時間分の講演に匹敵するでしょうか。これで講演は終わりにしましょうか(笑)でも おそらく皆さんに説明する 必要がありますね。今ご覧いただいた写真についてです。写真家としてアーティストとして 私が やりたいことは アートと科学の融合です。シャボン玉が弾ける まさに その瞬間を捕らえた こちらの写真 小さな油性ペンキの粒からなる 銀河もあります。特異な性質を持つ不思議な液体 遠心力が形作る絵の具などです。常に アートと科学の融合につとめています。

両者の とても魅力的な点は どちらも 同じものを対象としていること いずれも周りの環境に反応しているものの その方法は とても異なります。たとえば 科学について 科学は 周りの環境に合理的なアプローチを とっています。他方 アートは 通常 周りの環境に対する感情的アプローチをとります。私が やろうとしていることは この2つの観点を1つにすること。そうすることで 私の作品が観客の心と ― 頭の両方に訴えるからです。このことを 3つのプロジェクトを通してお見せします。

 

2 音波を振動で可視化する

最初は 音を可視化するものです。皆さん ご存知のとおり 音は波となって伝わります。スピーカーを ご想像ください。スピーカーは音声信号を受け取って 振動に変換するだけです。その振動が空気に伝わって それを 私たちの耳がとらえると 再び音声信号に変換されて 音となって聞こえるわけです。そこで考えたのは ― どうやったら音の波を可視化できるか? こんなことを思いつきました。スピーカーを用意してその上に 薄いプラスチックホイルをのせます。その上に 顔料をのせました。スピーカーの上にです。すると スピーカーを通して音楽を再生することで 振動で 顔料が上下に動きます。高速で行われるので 瞬く間の出来事です。そこでLGエレクトロニクスと協力して 1秒あたり 3千フレーム以上とらえる カメラを用意しました。その様子をご覧ください(音楽:マッシヴ・アタック『Teardrop』)(拍手)どうもありがとう。本当に見事ですよね。

 

3 屋内撮影で日焼けした

ここで 面白いエピソードですが ロスで この撮影をしているとき 屋内で日焼けしたんです。ロスといえばビーチなんかで 日焼けしますよね。でも 私の場合は屋内でした。なんだったかと言うと 1秒あたり 3千フレームもの撮影をするには ものすごく強い光が必要なんです。スピーカーを用意して それに向けて カメラを設置し スピーカーに強力な照明を当て そのスピーカーの上に 私が顔料をのせるんですが これをひたすら繰り返しました。しばらくして気付いたら 顔が真っ赤に日焼けしていました。スピーカーに当てていた光のせいでした。面白かったのは スピーカーの音は右側から出ていたので 顔の右半分だけ真っ赤になって オペラ座の怪人のような姿で 1週間を過ごしました。

 

4 磁性流体のスパイク現象

では 次のプロジェクトです。こちらは どちらかと言うと安全なものです。磁性流体という言葉を聞いたことがある人は? あー いらっしゃいますね。素晴らしい 。じゃあ この部分は飛ばして良いですか?(笑)磁性流体とは とても変わった動きをします。真っ黒の液体で 油のような流動性を持っていて 金属の微粒子が含まれるため 磁石に反応します。この液体を磁場に置くことで 外観が変わります。

ここでライブデモを ご覧いただきます。このプレートにカメラをあわせましょう。プレートの下に磁石を置いています。ここに磁性流体を注ぎます。もう少し右に動かします。もうちょっと焦点を絞って良いですね。

今ご覧いただいているのは 磁性流体のスパイク現象です。液体に分散している個々の微粒子が 引きつけあったり反発しているのです。これだけでも十分面白いですが 水彩絵の具を加えてみます。絵を描くときに使う 普通の水彩絵の具です。注射器を使って描かないでしょうけど使わなくても同じです。ここで起こっていることは 水彩絵の具が磁性流体の構造に入っても 磁性流体とは混じりません。磁性流体が疎水性だからです。つまり 水とは混じりません。同時に 磁場上の形態は 保とうとします。すると このような素晴らしい外観を生み出します。色鮮やかな 水彩絵の具による運河や 小さな池が現れます。これが2つ目のプロジェクトでした。

 

5 ウイスキー容器の中を移動する炎を瞬間的に捕らえた写真

では 最後のプロジェクトをご紹介します。こちらは…スコットランドを代表する飲み物 (笑)これらの写真は ウィスキーを利用して生み出しました。どうやったか不思議に思われていますか? 「ウィスキーボトルを 半分空にして泥酔状態で 紙に幻覚を描いたんだろうか?」なんて この写真を撮影したとき 間違いなく 意識はしっかりしていました。

ウィスキーのアルコール度数は40%です。アルコールは とても面白い性質があります。皆さんも ご経験があるかもしれません。でも ここで言っているのは 物理的特性で 皆さんが ご想像されている特性ではありません。ボトルを開封したときアルコール分子が 大気に放出されます。アルコールは揮発性が高いうえ 非常に燃えやすいです。今ご覧いただいている この画像を生み出すことができたのも この2つの性質のおかげです。

ここで デモをやってみましょう。空のガラス瓶を用意します。空っぽです。ここに酸素とウィスキーを 入れます。もう少し加えます。数秒 待ちます。ビンの中にアルコール分子を充満させるためです。では 火を放ちましょう(笑)これで終わりです。一瞬だったのでよく分からなかったでしょうか。もう一回やってみても良いですが 皆さんの中にはウィスキーの無駄だから 飲んだ方がマシだと思われる方がいるかもしれません。

ライブデモでお見せしたことを 暗室で再現した スローモーション映像でご覧ください。ガラス瓶の中で 炎は上から下へ移動し アルコールが混ざった空気を燃やして行きます。ですから 先ほど ご覧いただいた写真は 容器の中を 移動する炎を 瞬間的に捕らえたもので 上下逆にしてあるので 180度逆にしたものを想像してください。この写真は こんな風に撮影されたのです(拍手)ありがとう

 

6 科学現象は美しい

これで3つのプロジェクトをご紹介しました 皆さんはなんの役に立つんだ? この裏にあるアイデアとは? ウィスキーの無駄では? ただの変わった素材でしょ?なんて思われたでしょうか。3つのプロジェクトはとても単純な 科学現象である 磁性 音波 物質の物理的特性を基にしていて 私がやろうとしているのは これらの現象を 詩的で 前例が無いような方法で見せること。皆さんに 一瞬でもいいので 私たちの身の周りにある すべての美しいものについて 考えていただきたいのです。ありがとうございました(拍手)

 

最後に

音波を振動で可視化。磁性流体のスパイク現象。ウイスキー容器の中を移動する炎を瞬間的に捕らえる。アートと科学の融合。科学現象は美しい

和訳してくださったMari Arimitsu 氏、レビューしてくださった Yuko Yoshida 氏に感謝する(2013年6月)。

ピーター・マックスの世界 アメリカン・サイケデリック・ポップアートの巨匠


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