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カルロ・ラッティ 感知し、応答する建築

「電話記録や廃棄ゴミといったデータから、都市生活は視覚化できます」ラッティは語りかける。ここでは、55万ビューを超える Carlo Ratti のTED講演を訳し、感知・応答する建築物について理解する。

要約

MIT のカルロ・ラッティと SENSEable City Lab チームは、私たちが作り出すデータを読み取って興味深いものを作り出しています。例えば電話記録や廃棄ゴミといったデータから、都市生活を見事に視覚化しています。またラッティらのチームはセンサでキャプチャした簡単なジェスチャーを基礎とした、動く水や飛ぶ光などで構成されたインタラクティブな建築物を創造しています。

Carlo Ratti directs the MIT SENSEable City Lab, which explores the “real-time city” by studying the way sensors and electronics relate to the built environment. He’s opening a research center in Singapore as part of an MIT-led initiative on the Future of Urban Mobility.

 

1 センサとアクチュエータからなるリアルタイム制御システム

皆さんこんにちは 今日はあるものをお持ちしました (笑)。これを空飛ぶピクセルだと考えてください。これが我々のラボでセンシブルデザインと呼んでいるものです。まずこれについてお話しします。こちらの写真をご覧ください。私は元々イタリア人なのですが イタリアの子は寝室にこの絵を飾って育ちます。この写真をお見せした理由は この数十年間で フォーミュラワンレースに とても興味深いことが起こったからです。少し前までは もし F1 レースで勝ちたければ 運営費を獲得し それを素晴らしい ドライバーと車につぎ込めば良かったのです。車とドライバーが十分に良ければレースに勝てました。今日 レースに勝ちたいと思ったら このようなものが必要になります。リアルタイムに車をモニタします。千個以上のセンサで 車から情報を収集し その情報をシステムに送り 処理します 情報収集と並行して 車へ評価を送り返し リアルタイムで変更を加えていくのです。これは工学用語で リアルタイム制御システムと呼ばれるものです。これは基本的に二つの要素から成っています。センサとアクチュエータです。

 

2 リアルタイム制御システムが我々の生活でも使われ始めている

本日お話しする内容で面白いのは リアルタイム制御システムが 我々の生活でも使われ始めているということです。この数年で我々の都市は ネットワークや電子機器で 覆われるようになりました。空気中にコンピュータが存在するが如くです。そしてこのコンピュータは 以前とは違う働きをしはじめます。センシングおよびアクチュエートされるようにです。全都市を整えるのは大変なことです。ちなみに 都市は地球の 2% しか占めていませんが そこは世界人口の 50% も占めています。また消費エネルギーの 75 % を占め 最大で CO2 排出量の 80% を担います。以上から 都市を変化させるのは大変なことだと分かります。あらゆる都市で センシングやアクチュエーティングが 私たちの日常に入り込んできています。

 

3 物や環境が私たちに語り返し始めてきている

こちらは夏に Paola Antonelli さんが運営している MoMA で発表されたものです。これは”Talk to Me”というものです。物や環境が私たちに 語り返し始めてきているのです。ある意味 そこに存在する原子全てが センサとアクチュエータへと変化していくかのようです。それは私たち人間と環境との相互作用を 根本的に変えていっています。ある意味でそれは ミケランジェロの古い夢でのことのようです。ミケランジェロがモーゼスを彫ったとき ハンマーをモーゼスに投げつけ 現在でもその時の破片が下に残っているのですが 投げつけてこう叫びました 「なぜ何も語らない?」 そして今日 初めて環境が 私たちに語り返し始めています。これからお見せする例もまた 環境のセンシングとアクチュエーティングというアイディアです。

 

4 4年半前のイタリアでのセンシングのプロジェクト

まずはセンシングについてお話しします。最初にお見せするプロジェクトは 実は私たちのラボの最初のプロジェクトです。4 年半前のイタリアでのことです。私たちはそこで 当時としては新しいタイプのネットワークであり 世界中に展開されている ケータイネットワークを利用しました。そのネットワークから匿名な統計データを オペレータが収集し 都市の働きの理解のために 利用しました。2006 年の夏は幸運でした。イタリアがサッカーワールドカップで勝利した年です。覚えている方もおいででしょうが イタリア対フランス戦でジタンが頭突きをしました。とにかく イタリアが最終的には勝利しました(笑)

5 モニタ記録からネットワークの動きを見られる

ではその日に何が起きたかを モニタ記録だけから ネットワークの動きを見ましょう。こちらが都市です。真ん中にコロシアムと テベレ川があります。これは試合前 朝のデータです。上部にタイムラインが表示されています。お昼過ぎ 人々があちらこちらへ 電話をかけ 移動をしています。試合が始まり — 静寂です。フランスがゴールを決め イタリアがゴールを決め ハーフタイムに皆短い電話をかけたりトイレへ行きます。後半戦 そして後半の終わり 延長戦の前半 そして後半 ジダンの頭突きの瞬間です。そしてイタリアの勝利 イェーイ (笑い) (拍手) その晩は皆が中央でお祝いをしに行きました。大きなピークがあるのが分かります。翌日 皆が中央へ 勝利したチームを見に行きました。時の首相もです。その後皆落ち着いていきます。チルコ・マッシモという場所がありますが ローマの時代より人々はここで盛大なパーティを開きました。そこでその日の終わりにピークがあります 以上が今日の都市センシングの一例です。ほんの数年前には 出来なかったことでした。

 

6 私たちの消費に関するセンシングの例

センシングに関してもう一例挙げます。今度は人ではなく 私たちの消費に関するセンシングです。今日 私たちは物が どこから来るのか全て分かります。こちらの地図が示すのは マックコンピュータに使われる全ての部品が集まる経路ですが 物がどこへ行くかについて 私たちはあまり知りません。従って私たちのプロジェクトでは 小さなタグを開発し システム内でのゴミの移動を記録しました。私たちは協力してくれた数名のボランティアと共に シアトルでプロジェクトを開始しました。たった一年前のことです。人々が何を捨てるかをタグ付けました。ご覧の通り捨てられる物には さまざまな物があります。私たちは小さなチップ タグを ゴミに付け 追跡を開始しました。こちらはその結果です(音楽)

シアトルから…… 一週間後です。 この情報から私たちは システムに膨大な無駄があることに気づきました。同様のことが より少ないエネルギーで実現できます。これはこれまで参照できなかったデータです。無駄な輸送が沢山あり 複雑なことになっています。それとはまた別に 私たちが信じるのは もし毎日閲覧すると 例えばカップを捨てたとしてもそれは消えずに この惑星のどこかにまだ存在しているのが見えます。そして私たちが毎日捨てる ペットボトルはそこに残ります。これを人々に提示すれば 行動の変化を促していけるでしょう。こういった理由でプロジェクトを始めました。

 

7 水から成るピクセルを用いたウォーターカーテンを作った

私の同僚である MIT の Assaf Biderman は センシングの詳細と それを用いて 実現できる素晴らしいことについて語れますが ここで私は次に進んで 最初にお話しした 環境へのアクチュエーティングについてお話しします。最初のプロジェクトは スペインのサラゴサで数年前に行いました。プロジェクトのきっかけは市長の質問で 私たちの所を訪ねて スペインや南ヨーロッパは素晴らしい伝統があり 公共の建築物に水を用いる 事の話をしている時です。その時の質問は その伝統にどのように新しいテクノロジーを 付与できるかというものでした。MIT のワークショップで開発されたアイデアの一つですが このようなパイプとバルブを想像してください。つまみが付いた電磁弁で 開閉します。水から成るピクセルを用いたウォーターカーテンを作りました。ピクセルを降らせ その上に パターン 絵 文字などを表現できます。近づくことも可能です。すると ジャンプして通れるように こちらの写真のように開きます。

 

8 建物全体が水でできているデジタルウォーターパビリオン

こちらをベヨッホ市長にお見せしたところ 大変気に入られ サラゴサ国際博覧会の入り口の建物のデザインを 受注することになりました。私たちはデジタルウォーターパビリオンと名付けました。建物全体が水で出来ています。ドアも窓もありませんが 近づくと 入れるように開きます (音楽) 天井も水で覆われています。また風があるときには 水しぶきを減らすために天井を下げることも可能です。もしくは建物をしまうこともできます。するとこのように建物全体が 消えます。知っての通り最近では 冬に持つイメージとして 建物の屋根を下げていると ここ訪れる人たちは「建物が撤去された」といつも言いますが そうではないのです。屋根が下がると建物も消えるだけです。これは建物が動いている様子です。何がおこっているのか不思議そうに見ている人がいます。これは私が濡れないように 水を開くセンサのテストをしているところです。

 

9 予想が外れることこそ人々にかかわるものづくりの醍醐味

さて ある夜の出来事をお話しします。全てのセンサが停止しました。しかし、その夜はいつもより楽しかったです。サラゴサ中の子どもが集まりました。なぜならこの建物への関わり方が変わったからです。近づいてもウォーターカーテンは開きませんが 水に切れ目や穴は作りますので 濡れずに入るには飛び込むしかありません(映像) (民衆の声)それは、私たちにとって非常に興味深いことでした。なぜなら、建築家 技術者 設計者として 私たちは常にユーザがどう扱うかを考えていますが 現実は常に予想が外れます。そしてこれこそが人々に関わる 物作りの醍醐味です。

10 ピクセルの位置はそのままでさまざまな表現が可能

この画像は建物の様子と 水からできている物質的なピクセルへ 投影している様子です。これこそが次にお見せするプロジェクトを 考えるきっかけとなりました。このピクセルが実際に飛ぶところを想像してください。小さなヘリコプターを 空中で動き それぞれの小さいピクセルが色を変えながら 雲のように移動するのを想像して下さい。こちらがそのビデオです (音楽) 先ほど見たような ヘリコプターを想像してください。他のピクセルと動き 同期します。すると このような雲ができます。このような柔軟なディスプレイを作ることも可能です。二次元の通常の構造をしています。通常の構造を三次元空間で 光を変化させます。ピクセルの位置はそのまま さまざまな表現が可能です。スクリーンが現れ 異なる比率 サイズ 解像度に 自在に変化するところを想像してください。また全体を 3Dピクセルの集まりとして 近づき 入り込む事を 様々な方向から行う事もできます。これが本物の Flyfire です。先程の通常のグリッドを作るために下降させています。照明を付けると実はこうなっています。これが人々によって制御されるところを想像してください。それぞれのピクセルが 入力として人や 人の行動などから受け取ります。

 

11 リアルタイムの3Dスキャンとモーションキャプチャの両方を用いることで動きを全て再構成できる

ここで初めて見せたい物があります。私たちは仕事を Roberto Bolle さん 当代有名なバレーダンサーで ニューヨーク メトロポリタンと ミラン スカラ座のスター と行い 3D キャプチャで彼の動きを捉え フライファイアの入力に用いました。こちらが Roberto が踊っている様子です。左側のピクセルを見ると 異なる解像度でキャプチャしていることが分かります。これはリアルタイムの 3D スキャンと モーションキャプチャの両方を用いています。それによって動きを全て再構成できます。こういったことまで可能です。一度ピクセルを作れば 好きなように使えます。色や動きを変更できます。重力や回転も利用できます。入力の一つの可能性として私たちはこれを Flyfire に使いたいのです。

 

12 アナログ界から物質界への移行「The Cloud」

私は直近のプロジェクトをお見せしたいと思います。これはロンドンオリンピックに向けて作っているもので The Cloud と呼びます。このアイディアも想像で 人々の参画と それによる環境の変化を取り入れています。雲上げと呼ぶこの活動は 棟上げを雲で表しています。1 ピクセルに対して皆が少額の寄付を行えるのを想像してください。私は とても素晴らしく思うのは ここ数年間で行われた ここ数十年間で行われていた アナログ界から物質界への移行だと思います。これによって知識など 全てがデジタル化され インターネットを通してアクセス可能になりました。

 

13 登頂者全員に新しい体験をしてもらいたい

今日、史上初めて オバマキャンペーンでも示されましたが 私たちはデジタルの世界から ネットワークの自己組織力を通して 物質界へ行けるようになりました。これは私達の場合 シンボルの設計と利用に使いたいと思います。都市に組み込んだ意味としてです。しかし明日には 今日迫ってくる挑戦に取り組む事によって 例えば気候変動や二酸化炭素排出について考える事によって デジタル界から物質界への移行方法が実現します。私たちの人々を参画させるアイディアで 皆を集合的にまとめ行います。

The Cloud は雲であり、ピクセルで作られています。実際の雲と同様に 粒子から成っています。雲の粒子は水ですが 私たちの雲はピクセルの雲です。これはロンドンにある物質界の建築物ですが、ピクセルで覆われています。内部で動き、様々な体験ができます。下部から見上げることもでき 重要な瞬間な共有を 2012のオリンピックとその後もできます。そしてコミュニティとの繋がりに利用できます。なので空にある物質的な雲に加え 一番上まで登ることのできる ロンドンの新たな山頂のようなものとなります。中に入ることはできます。新しいデジタル灯台とも表現できますが 最も重要な事は 登頂者全員に新しい体験をしてもらうことです。ありがとうございました(拍手)

最後に

センサとアクチュエータからなるリアルタイム制御システム。物や環境が私たちに語り返し始めてきている。 予想が外れることこそ人がかかわるものづくりの醍醐味。アナログ界から物質界への移行「The Cloud」。登頂者全員に新しい体験をしてもらいたい

和訳してくださった Keiichi Kudo 氏、レビューしてくださった nn– nn– 氏に感謝する(2011年3月)。

カラー版 建築と都市の歴史


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