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ダン・フィリップス 再生品でクリエイティブな家づくりを

これらの建物はすべて70~80%は再利用された材料でできています。埋め立て地や焼却場に向かっていた部材です」ダンは語りかける。ここでは、77万ビューを超える Dan Phillips のTED講演を訳し、再生品でもクリエイティブな家づくりが可能であることを理解する。

要約

TEDxHoustonで行われたこの愉快で洞察に満ちたトークで、建築者のダン・フィリップスが、再利用品や再生品を思い切り独創的に使って建てた10件ほどの家を紹介します。才気にあふれたローテクなデザインの数々が、創造性に新たな刺激を与えることでしょう。

Dan Phillips builds homes out of recycled and reclaimed materials in Huntsville, Texas.

 

1 70~80%は再利用された材料でできている建物たち

ありがとう。写真をお見せしながら 私がどのように家づくりをしているのか お話ししたいと思います。これらの建物はすべて 70~80%は再利用された材料でできています。埋め立て地や焼却場に向かっていた部材です。捨てられていたものばかりを使いました。私が初めて建てた家です。明かり取りの窓がついた玄関の2枚扉は 埋め立てゴミになるところでした。小さな塔があります。受け材についているボタンは ちょうどここです。これはクルミの実です。こちらのボタンは 鶏の卵です。まず朝食で卵を食べ 殻に接着剤を塗り色づけして固定します。あっという間に 建築の模様ができます。家の中はこうなっています。明かり取りの窓があります。目線の高さに窓がついています。アンティークなものです。これもゴミになるところでした。鍵の部分だけで200ドルにはなるでしょう。台所にあるものはすべてゴミから救い出したものです。1952年製 オキーフ&メリットのストーブです。料理に使ってもカッコいいですね。小塔に上る階段です。この階段は20ドルで手に入れました。運送料込みの値段です(笑)

2 出っ張りやへこみ、たるみなどがある

塔の中を見上げています。出っ張りやへこみ たるみなどがあります。それで人生が台無しになるなら この家には住まない方がいいです(笑) 洗濯部屋です。靴型があります。アンティークの店にあるような鋳鉄が うちにあったので それで簡単な装置を作りました。靴型の上に足を乗せると 扉がバンと開いて洗濯物を投げ入れるのです。上手くいけば洗濯物は洗濯機の上のバスケットに入り そうでなければトイレに投げ込まれます (笑) 2フィートx4フィートの木材から 自作したバスタブです。枠から始めて 接着剤や釘打ちで平らにします。持ち送り積みにしたものをひっくり返して 上に型枠を入れました。2人用です。衛生面だけが問題なのではなく 楽しまなくてはいけません (笑) こちらの蛇口は オーセージ・オレンジの木でできています。ペニスのように見えますが まあ浴室ですから(笑)

 

3 バドワイザーの缶でできた家

バドワイザーの缶でできた家です。ビール缶のようには見えませんが デザインを見れば間違いようがありません。ひさしに至るまでただ乗りのデザインです。缶の赤 白 青 銀の色をそのまま使っています。ひさしから下に伸びている受け材は 缶の小さなマークがついています。缶をコピー機に乗せて 好きなサイズまでデザインを拡大し続けました。缶にはこんな文句が ”これが有名なバドワイザー 他のビールなんて知らないよ” これをもじって”これが有名なバドワイザーの家 他の家なんて知らないよ”とかやりました。これは かんぬきです。1930年代のうるさい木材加工機で作られた柵についていました。柵はもらえましたが機械はくれなかったので そこからかんぬきを取り外しました。凶暴な象でも壊すことはできません。もちろん 凶暴な象なんて周りにはいませんが(笑) シャワーはビールのグラスをイメージしました。泡が登っていちばん上はごつごつしたタイルがあります。このタイルはどうやって入手したかというと タイルではなくトイレを沢山もらったので 金槌で解体して ごつごつしたタイルを手に入れました。この蛇口は ビールの栓です (笑)

 

4 玄関に使っては失敗デザイン

こちらのガラス板は アメリカの中流家庭ならどこにでもあるものと 同じです。もう飽き飽きです。使い古されています。玄関に使っては失敗デザインです。だからどこか別の場所に使わなくてはいけません。きれいなガラス板ですが 玄関に使うと 「他の連中を真似したんだろうが上手く行ってないよ」となります。だから玄関はダメです。二階に2つ目のトイレを作るのもいけません。ここにある照明はアメリカ中流家庭の 玄関にあるものと同じです。玄関はやめましょう。シャワーやクローゼットに使うのはいいですが 玄関はダメです。誰かがビデをくれたこともありました (笑) この小さな家にある 枝状の部分はオーセージ・オレンジで作られています。話している間に 写真がスクロールしていきます。

 

5 人間は統覚性を持つために一貫性を保つ必要がある

私のような仕事を上手くやるためには 建築業界でどんなものがゴミになるのかを 知らなければなりません。住宅は単なるコモディティになっています。でも ゴミを生み出す第一の原因は 我々のDNAに組み込まれているのだと思います。人間は統覚性を持つために 一貫性を保つ必要があります。どういうことかと言うと 我々が知覚することは全て 以前の同種の知覚と関わりを持つということです。さもなければ継続性がなくなり 私たちは自らを見失ってしまうでしょう。見たことのないような作品をお見せしましょう。携帯電話です。でもこれは見たことがないでしょう。構造上の特徴のパターンを 測っています。データバンクに行くと – 携帯電話です。私がそれを口に入れたらこう言われるでしょう 「ちょっと待って それは携帯電話じゃなくて 新しくできたチョコレート携帯だよ」 (笑) そして携帯とチョコレートの間に 新しいカテゴリーが生まれます。私たちはそのように情報を処理するのです。

 

6 反復がパターンを作り出す

それを建築業界に置き換えると 立ち並ぶ窓ガラスの1枚がひび割れていると 「何てこった ひびが入ってる 直さなくちゃ。ひび入りのものは捨てて新しいものに換えよう」 それがひび割れた窓の運命です。ひびが生活には影響ないことなど考慮されません。予期されたパターンと構造上の統一性を かき乱すだけなのに でも もし小さな金槌で 他のすべての窓にひびを入れれば それがパターンになります。ゲシュタルト心理学では 部分よりも 全体のパターンを認識することを重視します。だから「おぉ いいね」となるでしょう 私にとって非常に役立つ考え方です。反復がパターンを作り出します。2種類の反復が100ずつあれば 互いの違いなど無いようなものです。くるみから卵 ガラス片 枝に至るまで 繰り返し用いればパターンが生まれます。違いがなくなるのです。それが建築界で大量のゴミを生み出します。

 

7 アポロン的な心持ちは大量のゴミを生み出す

フリードリッヒ・ニーチェは1885年頃 「悲劇の誕生」という本を書きました。そこで彼は 文化というのは 2種類の視点を揺れ動くものだと書きました。一方にはアポロン的な視点があります。きちんと計画され 理性的で 完璧なものです。他方にはディオニュソス的な視点があります。より情熱や直感に重きを置き 有機組織やジェスチャーに寛容です。アポロン的な人が写真を撮ったり 飾ったりする際は 測角器とレーザーの水平計 マイクロメーターの測定器を使うでしょう 「写真をあと0.03ミリ左に寄せて そこそこ それで完璧だ」 水平 直角 中心が前提です。ディオニュソス的な人が 写真を撮る場合は… (笑) これが違いです。私は傷や有機的なプロセスを 重視します – 中道主義のジョン・デューイのようなものです。アポロン的な心持ちは大量のゴミを生み出します。何かが完璧でなかったり 計画されたモデルでなかったりすると 「おっと 傷がある ゴミ箱行きだ。これもあれも埋め立てゴミにしろ」

 

8 材料の規格化は大量のゴミを生む

3つ目に言える事は – 産業革命はルネッサンスの時代に 人道主義の興隆とともに始まり フランス革命の頃に大きく前進し 19世紀半ばまでには全盛になりました。それまでは手で行っていたことを 代わりにしてくれる 機械や装置が 現れたのです。そのため 今では材料も規格化されました。木は2×4.8インチのように規格化された サイズには育ちません。だから材料の規格化は大量のゴミを生みます。木はまた 配向性ストランドボードや パーチクル・ボードなどの 建築材料の元にもなります。でも 使われる際に無駄になるならば 収穫時点で注意を払っても 意味がありません。それが今起きていることです。規格に合わないものは 「ああ 反っている ゴミ箱行きだ」 2×4インチの材木を買って真っ直ぐでなければ 返品できます 「申し訳ございません。真っ直ぐなものをお持ちします」 私は曲がった材木をよく使います。繰り返し使ってパターンを生み出すのです。これはディオニュソス的な考え方です。

 

9 労働は材料よりも途方もなく高価

4番目に言えることは 労働が材料よりも途方もなく高価だということです。これはただの神話です。以前ジム・トゥルーズという教え子に言いました 「ジム 君に骨組みづくりのチームの 主任をやってほしいんだ」 「ダン 僕にはまだ早いよ」 「そんなことはない あれ 何だか元気がないね」 そうやって彼を仕事にやりました。ジムは巻き尺を持って現場に行き ゴミの山で小口 つまり扉の上に使う 板の材料を探しました – 教わった通りにやってボスを感心させようとしたのです。監督者が寄っていって「何をしてるんだ」と言いました 「小口の材料を探してるんです」 褒められるのを待っていたのですが 「ゴミを漁るために雇ってるんじゃない 仕事に戻れ」と言われ 勇敢にも 「もし僕に時給300ドル払っているなら そう言うのもわかるけど いま僕は 1分で5ドル分節約してやってるんだ 計算しろよ」 (笑) 「その通りだ これからはまずゴミの山を漁れ」 皮肉なことにジムは計算が得意ではありませんでした (笑) 時々制御室に行くと 文字盤が多くて混乱します。それと同じことが起きたのです。

 

10 プラトンの完全体の考え方に影響を受けている

5番目に言いたいのは 2,500年経っても 我々はまだプラトンの完全体の考え方に影響を受けているということです。曰く 私たちは頭の中で 自分が望むものを完全に把握していて 環境をそれに合わせてしまうのだそうです。皆が心の中にアメリカンドリームという 完璧な家 – 夢の家を持っています。でもそれは手が届く代物ではありません。だからアメリカンドリームっぽい家 つまりモバイル・ホームを手に入れます。地球は胴枯れ病にかかっています。家具や車のような 家財の抵当のことです。小切手を切った瞬間に3割も価値が下がります。1年後には家財の7割分にしか 保険が効かなくなります。14口径のワイヤにつながれています。12口径のワイヤにしてくれと頼まないのであれば 悪いことではありません。それと同じことが起きています。ホルムアルデヒドが出るので 新しくモバイルホームを買う人に ホルムアルデヒドの危険性を 警告する連邦法ができました。私たちは鈍感な間抜けになっているのでしょうか。壁はこんなにも分厚く 構造上は丈夫なのに (笑) 「パームハーバー村がここにあったはずだけど」 「いやー 昨晩風が吹いてね 吹き飛ばされちまったよ」 (笑) モバイル・ホームが傷んだらどうするでしょう?

 

11 いまの建築界はアポロン的、プラトン的なモデルを基礎にしている

いまの建築界は アポロン的 プラトン的なモデルを 基礎にしています。それはますます深刻化しています。一つには 全てのプロフェッショナルが 商人から販売人 検査人 技術者 建築家に至るまで 皆このように考えています。それは同じモデルを求める 消費者にも言えることです。自己実現する予言のようなものです。ここにマーケティングの担当者や広告主が加わります 「いけいけ どんどん」 必要かどうかもわからないものを買うのです。私たちがすべきことは 炭酸プルーンジュースの行く末を見ることだけで。 なんとおぞましいことでしょう (笑) 結果はご存知ですか? 「ドクター・ペッパーを飲んだよ」と言うのです。すぐに何十億リットルも 飲み干すことになります。本当のプルーンなど入っておらず健康にもなれません (笑) 体を悪くします。あっという間にだまされます。

 

12 人は独りでいる時と誰かといる時で行動が変わる

ジャン・ポール・サルトルは 「実存と無」という本を書きました。すぐに読める本です。1日に8時間読めば 2年ぐらいでざっと読み終わるでしょう。そこで述べられているのは分裂した自己です。人は独りでいる時と誰かといる時で 行動が変わるとサルトルは言います。私が独りでスパゲッティを食べていたら バクバクと食べ 口を服の袖で拭いたり クチャクチャ噛んで音を立てたり 何でも引っかいたりすることもできます (笑) でも誰かが来ると 「スパゲッティのソースが付いてるよ」となります。ナプキンを膝に乗せ 噛む時は口を閉じ 引っかきもしません。私は 人はこうあるべきという その人の期待に沿うように 行動しています。期待を感じるから それを受け入れ 期待に沿うように生きるのです。建築業界でも同じことが起きています。分譲地は全て同じに見えます。時に我々は 規格化された文化的な期待さえ持ちます。皆さんは左右同じ靴を履いていることでしょう。もちろん 皆がそれを受け入れています。ゲート・コミュニティでは 皆が自家所有者協会と同じ 規格化された期待を持ちます。ナチのように思えることすらある 期待です。それがこのモデルを拡大・継続させます。

 

13 人間は社会的な生きもの

最後のポイントは社交性です。人間は社会的な生きものです。ライオンなどの獣と同じく 集団で手を差し伸べあうことを好みます。野生の動物はライオンと付き合ったりしません。食べられてしまいますから。人間も同じです。自分が属したいと思う集団がすることと 同じことをします。中学でよく見かける光景ですが 子ども達はひと夏の間中 ヘトヘトになるまで働いて デザイナー・ジーンズを 買おうとします。9月頃に それを履いて外出し 「今日の俺はカッコいいだろう 見ろよ このジーンズ 触るなよ。お前はこんなジーンズ持ってないんだろう。だからイケてないんだ。俺はカッコいい奴らの仲間入りさ」 制服を着させる理由として十分ですね。建築業界でも同じことが起きています。

 

14 マズローの欲望の階段の4番目は虚栄心

マズローの欲望の階段を 少しだけ 変えました。一番下は 基本的欲求です。避難所や洋服 食料 水 子孫を残すことなど。二番目は安全でその次は関係です。四番目はステータスや自尊心 – つまり虚栄心です。虚栄心がここで現れます。意味のない 決断をする羽目になり 抵当を払うこともできず 食べられるのは豆だけになります。つまり住宅というのは コモディティ化しています。自らの内深くに飛び込み 恐怖を乗り越えて 心を決め 家のコモディティ化を防いで 将来に残せるものとすることは 少しばかり勇気が要ります。そればかりでなく 何と失敗することもあるのです。でもそれでいいんです。失敗にくじけてしまうようなら これは成し遂げられません。私は毎日失敗ばかりです。とんでもない失敗もしてきました。大きなヘマで 皆が知るような 恥ずかしい失敗です。誰もが指を差して笑います 「5回もやってるのにまた失敗だ。なんて間抜けなんだ」 以前建設業者がやってきて言いました 「ダン 君は愉快なやつだ。でもこれは上手く行かないよ。なんでこんなことやってるんだ?」 言いたいことはこういうことです 「卵でもチューチューしてな」 でもそうは言いません。そういう人たちが対象だからです。

 

15 上手く行かなければやめればいい

私たちがしたことは- 家に関することだけではありません。衣服や食料 移動の必要性 エネルギー – 幾らかを並びたててみました。少しでも報道されると 世界中の人々から連絡があります。私たちは発明をし過ぎたのかもしれません。廃棄物の問題は 世界中に広がっています。大きな問題です。弾薬のベルトを胸に巻き 赤いバンダナをしている訳ではありませんが 我々は大きな問題の渦中にいるのです。我々がすべきことは 自らの本当に原初的なところと つながり直し 決心することです 「CDをあそこの壁のところに しまいたいんだ どう思う?」 上手く行かなければやめればいいのです。自らの内深くにあるものとつながり直すのです。とてもワクワクすることです。どうもありがとう(拍手)

最後に

人間は統覚性を持つために一貫性を保つ必要がある。ただし部分よりも全体のパターンを重視する傾向があるため、反復でパターンを作り出せばよい。70~80%は再利用された材料でできている建物たち。バドワイザーの缶でできた家、蛇口はビールの栓。マズローの欲望の階段の4番目は虚栄心。上手く行かなければやめればいい

和訳してくださった Wataru Narita 氏、レビューしてくださった Hidetoshi Yamauchi 氏に感謝する(2010年10月)。

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