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クリスタ・ドナルドソン 人生が変わる、80ドルのプラスチックの足

「大腿を失ってしまった人たちが使用する80ドルの人工義肢 ReMotion knee について知っていますか?」ドナルドソンは語りかける。ここでは、70万ビューを超える Krista Donaldson のTED講演を訳し、未来の義肢装具エコシステムについて紹介する。

要約

近年、我々は目覚ましい技術発展を遂げたものの、もっぱら幸運な特定の人々だけがその恩恵を享受しているのは問題です。エンジニアであるクリスタ・ドナルドソンが ReMotion knee という装具を紹介します。これは、大腿を失ってしまった人たちが使用する人工義肢で、ユーザの多くは稼ぎが一日4ドル以下です。最高クラスの技術が盛り込まれていながら、市販の他の義肢と比べてずっと安価なのです。

Krista Donaldson is the CEO of D-Rev, a non-profit product development company improving the health and incomes of people around the world.

 

1 1日4ドル以下で生活する人たちに何ができるか

9年前 私は アメリカ政府の元 イラクで 電気インフラの再建設を 支援していました。そこで働いていたのは テクノロジーによって人の生活を 変えられると信じていたらからです。ある日の午後 バグダッドのアッラシード・ホテルで 店主とお茶をしていた時にこう言われたのです 「君たちアメリカ人は月に 人を飛ばせるけど 今夜オレは家に帰っても 電気をつけることすら出来ないんだよ」と。この時 アメリカ政府は 20億ドル以上の資金を電気インフラの再建設に 費やしていました。どうすれば確実にテクノロジーがユーザーに届くのでしょうか? どうすれば彼らの元に 役立つように届けることが出来るのでしょうか?

それは同僚と私が D-Revで考えていたことでした。D-Revとはデザインレボリューションの略称です。4年前 私はこの組織を引き継ぎました。ここでは実際にユーザーの手元に届く製品を 開発することに注力していました。また 単なるユーザーではなく 1日4ドル以下で生活する人たちです。最近私たちが取り組んでいることの一つに 医療機器があります。しかしこれは イラクの電力供給網と共通点があるということは あまり知られていないかもしれません。いくぶん共通した特徴があるのです。それは 先進技術を持ってしても それが最も必要な人の元へは届いていない ということです。

 

2 毎年300万人以上の切断患者がいる

私たちが現在取り組む プロジェクトの一つについてお話します。ReMotion Knee つまり人工義肢です。大腿を失った人のためのものです。このプロジェクトのきっかけは ジャイプール・フットという 世界最大の義肢提供団体でした。ある日ベイエリアでこんな発言をしたのです 「もっといい人工義肢がほしい」と。もしあなたが一日4ドル以下で生活していたとして 足を切断していたとしたら 大抵交通事故で 足をなくしているのです。地雷が原因と思われがちですが。しかし実際は交通事故です。あなたは道の端を歩いていて トラックに轢かれてしまう あるいは 走り出した電車に飛び乗ろうとして 仕事に遅れそうになっていて ズボンの足が引っかかってしまった。もし十分なお金がなければ現実はこうなります。ちょうどここにいるカマルという若者のように お金がないので 竹の杖で歩き回るしかないのです。これはどれほど大きな問題なのでしょうか? 毎年300万人以上の切断患者がいます。彼らは新しい足を必要としています。

 

3 2万ドル、1400ドル、105ドル、80ドルの義足

どんな選択肢があるでしょうか? これは最高級の義足です。いわゆる”ハイテク義足”で マイクロプロセッサが内蔵されています。これを装着すれば大体のことはできます。しかし2万ドルもします。どんな人がこれを装着するかというと アフガニスタンやイラクから帰ってきた米国退役軍人です。彼らにはぴったりのようです。これは低価格のチタンの義足です。複雑な義足で つまり 四軸構造で より本物の人間の足に近いのです。しかし1400ドルもするので カマルのような人たちには まだ手が出ません。最後に こちらは最も安い義足です。これは 特に貧しい人向けに デザインされた義足です。お手頃である一方 機能性には欠けます。構造としては 単軸で ドアの蝶番に似ています。どれだけ不安定かお分かりでしょう。ジャイプール・フットはこのタイプのものを使っており 良い義足を探し始めたのです。

さて 義足がどんなものか理解して 頂ければと思います。いろいろな義足をお見せしても 全体像が分からないでしょうから 最上部にソケットがあり これを残肢に被せます。しかし足は人それぞれ違います。そして 膝があり 膝の関節は単軸性になっています。どんな風に回転するかお分かりでしょう。ここは仮義足で ここは足です。私たちは義足を開発してきました。複雑な義足 本物の人間の足のように動き 人間の歩き方をまねた義足です。80ドルです(拍手)しかし 素晴らしい発明や デザインも出来たところで 重要なのは どのように これを最も必要な人に届けるかなのです。どのように 彼らの生活向上を 保証できるでしょうか?

 

4 製品がワールドクラスであること

そこで D-Revでは 私たちは別のプロジェクトを開始しました。私たちは3つのことに注目しました。これにより テクノロジーを 義足を必要としている顧客、ユーザー、人々へ 届けられると信じています。

1つ目は 製品がワールドクラスである必要がある ということです。市場の最良製品と同等 もしくは それ以上である必要があります。収入レベルにかかわらず あなたは目の前にある最も美しく 最もよい製品をほしいと思います。アッシュという男性のビデオをお見せしましょう。彼が歩いているのが見えます。彼はここにある単軸の義足と 同じシステムの義足を装着しています。彼は10メートルの歩行テストを行っています。彼は歩行中 不安定で苦しんでいるのに気づくでしょう。はっきりとは分かりませんが 転倒しないよう 神経をすり減らしているように見受けられます。今度はカマルのビデオです。先ほどのカマルを覚えているでしょう。竹の杖を握っていました。彼は私たちの旧型の義足を使っています。彼もまた同様に10メートルの歩行テストを行っています。彼の方がずっと安定していることが分かるでしょう。

 

5 製品はユーザー中心であること

つまり ワールドクラスなのは 単なる技術パフォーマンスだけでなく 人間のパフォーマンスも然りです。私たちが見てきた大半の医療機器は 本当に西洋人 西洋の裕福な人々のために 作られたものです。でも実際 私たちのユーザー、顧客は あぐらをかいて座ったり しゃがんだり 跪いてお祈りをしたりします。私たちは 市場のどの義足よりも 幅広い動きができるよう 自分たちの義足をデザインしました。

ですので 私たちが学んだ次のポイントは 今の話からつながる次のポイントは 製品はユーザー中心であるべき ということです。D-Revでは 私たちはさらに踏み込んで ユーザー執心であるべき としています。エンドユーザーだけを考えるのではなく プロジェクトに関わる全ての人 例えば 義肢を装着させる義肢装具士も指します。義肢が装着される状況も重要です。地元の市場とはどのようなものでしょうか? これら全ての部品は どのように病院に届くのか? すべて時間通りに届くサプライチェーンか? こんなあらゆる要素について 製品をエンドユーザーに届けるために考え システマチックに機能させて初めて 使われるようになります。

 

6 騒音緩衝材や見た目をよくした

初期のジャイプール・ニーをもとに 改良を重ねたものをいくつか紹介いたします。ちょうどここにあります (カチッという音) 何か気づきましたか? カチッと音が鳴ります。私たちは ユーザーが実際にこれを調節していたことを見てきました。ちょうどここに黒い細長いものが見えるでしょう? これは自家製の騒音緩衝材です。私たちは ユーザーが別の方法で これを調節していたのを見ていました。こちらの切断患者をご覧ください。彼は足の周りに包帯を巻きました。見た目を良くしたのです。膝を見ると 角が出ていますよね? もしズボンやスカート、サリーなどを はいていれば 人工義肢を装着していることは 明らかです。障害が恥だとされる社会では こうしたことをとても気にします。

そこで私たちが行った改善をお見せしましょう。私たちはこのことや他の課題についても 試作を何度も繰り返しました。しかしここでバージョン3 ReMotion Kneeが出てきます。ここを見てもらうと 騒音緩衝材があるのが分かるでしょう。静かです。その他としては 外形をなめらかに より細くしました。見た目では分かりませんが 大量生産向けに設計されています。

 

7 市場主導型であること

このことは最後のポイントに繋がります。私たちは本当に こう信じています。ユーザーに必要なだけ 製品を届けるためには 市場主導型である必要があります。マーケット主導型は 製品が売られることを意味します。寄付ではありません。補助金を多く受けることでもありません。私たちの製品はエンドユーザーに価値を提供するために 作る必要があります。また 非常にお手頃に作らなければなりません。しかし顧客にとって価値のある製品は 顧客によって使用され 使用することは大きな影響を生み出します。デザイナーとして 私たちは顧客に責任を負っています。製造を集中化することにより 品質管理を一定にし 80ドルという価格を実現しました。利鞘込みです。そして今 それらの利鞘は決定的です。もし世界中の義肢を必要とする 全ての人々に届けようとするなら 経済的に持続できる必要があります。

ここで私たちの現状をお話しましょう。私たちは5000人を超える切断患者に義肢を装着させてきました。そして 私たちが向かっている大きな指針は もちろん 生活を向上できるか?ということです。そこで 基準となるのは 義肢を6ヶ月以上装着しているか ということです。業界平均は約65%です。私たちは79%です。さらに高くしたいと願っています。現在 私たちの義肢は12カ国で使用されています。今後3年間での 達成目標として 2015年には影響力を2倍にしようとしています。その後 私たちは一年ごとに2倍にしていく予定です。しかし私たちは新たな壁に直面しました。義肢を装着できる 腕のある義肢装具士の数です。

 

8 次世代の義肢装具士プリニマ

では プリニマの話で締めくくりたいと思います。プリニマは18歳でした。交通事故で足を失ったとき 彼女は列車に12時間乗って 義肢を装着するためにクリニックにやってきました。私たちの義肢を装着するすべての切断患者から デザイナーである私たちは大きな影響を受けます。彼女はエンジニア また女性として とりわけ私にとって意味がありました。なぜなら彼女は学生であり ちょうど工学を学ぶために 学校に入ったところでした。彼女は言いました 「再び歩けるようになったお陰で 学校へ戻り 勉学を終えることができます」 私にとって彼女は 次世代のエンジニアを象徴する人です。問題解決し 有意義な技術を 確かにユーザーに届けてくれる 次世代のエンジニアです。ありがとうございました(拍手)

 

最後に

1日4ドル以下で生活する人たちに何ができるか。毎年300万人以上の切断患者がいる。2万ドル、1400ドル、105ドル、80ドルの義足。製品がワールドクラスであること、ユーザー中心であること、市場主導型であること。未来の義肢装具エコシステム

和訳してくださったASAKO SHIMAOKA 氏、レビューしてくださった Yuko Yoshida 氏に感謝する(2013年12月)。

義肢装具のチェックポイント 第8版


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