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アレックス・ラスキー 行動科学で電気代が安くなるわけ

「電気代を安くする実証された方法とは?それは近所の家庭の利用料を知ることです」アレックスは語りかける。ここでは、80万ビューを超える Alex Laskey のTED講演を訳し、賢い資源節約家になるために必要なことについて理解する。

要約

電気代を安くする実証された方法とは?それはなんと近所の家庭の利用料を知る事なのです。アレックス・ラスキーが、人間の奇妙な性質が人々をより善良な、賢い資源節約家に変えられることを示します。電気代が下がるという証拠付きです。

Alex Laskey helps power companies to help their customers cut down — using data analysis, marketing and a pinch of psychology.

 

1 ハリエットは自分のエネルギー消費に関心を持っている

今日メールをチェックした人はどのくらいいますか? 手をあげてください。今 チェックしている人は?(笑)資産はどうでしょう。クレジットカード 投資口座など 今日確認しましたか? 今週はどうですか?家庭のエネルギー消費はどうでしょう? 今日確認した方いらっしゃいますか。今週 先週でもいいですよ。エネルギーおたくが少しはいるようですね。会えて嬉しいです。残りの人はというと どうやらこの会場は 地球の未来に関心を持ちつつも 気候変動を促しているエネルギー消費には 注目していない人たちでいっぱいのようです。私と一緒に写っている女性はハリエットです。初めての家族旅行先で出会いました。ハリエットは自分のエネルギー消費に関心を持っています。エネルギーおたくというわけではまったくありません。これは 彼女がどうやって関心を持つに至ったかというお話です。

 

2 私たちは消費エネルギーの9倍無駄を出している

これは石炭です。地球上で最も利用されている電力資源です。この石炭には この電球を1年間以上光らせられるだけのエネルギーがあります。残念ながら石炭から電球までの間で 送電ロスや放熱によって ほとんどのエネルギーが失われてしまいます。実際は 10% しか光になりませんから この石炭は1ヶ月強しか持ちません。1年間この電球を点けたければ これだけの石炭が必要です。悪いニュースは 私たちは消費エネルギーの9倍 無駄を出しているということです。これは逆に良いニュースとも言えます。私たちがエネルギーを節約すると その9倍の資源を節約している事になるからです。問題は 会場のみなさんや世界中の人たちに どのようにして自分たちのエネルギー消費に 関心を持ってもらうか 節約してもらうかということです。

 

3 3つのメッセージに効果はなかった

その答えは 10年前の夏 ここから約 145km の距離にある カリフォルニア州 サンマルコスで実施された 行動科学の実験によりもたらされました。大学院生たちが近所の家のドアのノブに 冷暖房を切って ファンをつけるよう記した メッセージを掛けて回りました。四分の一の家に配ったメッセージはこうでした 「今年の夏 1ヶ月に 54 ドル節約できるのをご存知ですか」 「冷房を切ってファンをまわしましょう」 別のグループの家庭には環境に関するメッセージを配り 3つ目のグループの家庭には 停電を防ぐ 善良な市民になろうとメッセージを配りました。通常 電気代節約の通知がもっとも有効だろうと思いますが 実際は どのメッセージも効果がありませんでした。エネルギー消費に全く影響がなかったのです。大学院生の来訪が 初めから無かったかのようにです。

 

4 調査の結果、ご近所の家庭の77%が冷房を切ってファンをまわしています…

でも4つ目のメッセージには ただこう書かれていました 「調査の結果 ご近所の家庭の 77% が 冷房を切ってファンをまわしています。どうぞあなたもご一緒に 冷房を切って ファンにしましょう」 するとどうでしょう 皆ファンに切り替えました このメッセージを受け取った人たちのところでは エネルギー消費の著しい低下が見られました 近所の家庭について伝えただけでです。

 

5 社会的プレッシャーはとても強力

この結果は何を示しているのでしょう? そこに不便さがあるならば 節約が重要だと分かっていても 良心への訴えや経済的インセンティブでは人を動かせません。しかし社会的プレッシャーはとても強力です。うまく利用すれば世のため人のためになります。実際 すでに結果が出ています。

 

6 今年だけでも2テラワット時の電力を節約する見込み

この知見に感銘を受け 友人のダン・イェイツと私で Opower という会社を設立しました。ソフトウェアを開発し 消費者の節電に貢献したいと考える 電力会社と提携しました。私たちはそれぞれの家庭に合わせて 同規模の近隣の家と比較した 消費電力レポートを届けます。先の実験のメッセージと同様に 私たちは各家庭を近所と比べ 各々の奨励値を示して 節約を後押しします。最初は紙面でやり 携帯アプリ ウェブ 更には遠隔温度調節器を用いるまでになり 私たちはここ5年間 世界最大の 行動科学実験を実施中であり、うまくいっています。一般の持ち家や借家の電気代を 2.5 億ドル以上削減してきましたが 私たちはまだ始めたばかりです。今年だけでも 6カ国 80 以上の 施設との提携で 私たちは 更に 2 テラワット時の電力を節約する見込みです。

 

7 セントルイスとソルトレイクシティの全住宅に対し、1年以上電力供給できるほどの量

エネルギーおたくの皆さんはどれだけの量かご存じでしょうが それ以外の皆さんに説明すると 2 テラワット時というエネルギーは セントルイスとソルトレイクシティの全住宅に対し 1年以上電力供給できるほどの量です。2 テラワット時はおおよそ アメリカの太陽光発電産業の 昨年の発電量の半分です。2 テラワット時を石炭で表すなら あの手車 34 台分を 1年中 毎分 燃やし続けて ようやく得られる電気量です。私たちは何も燃やしていません。ただ人々の関心を向け 行動を変えるよう 働きかけているだけです。

 

8 家庭の消費電力の20%は無駄になっている

私たちはただの1企業で エネルギー問題の表層をひっかいているに過ぎません。家庭の消費電力の 20% は無駄になっています。ここでいう無駄とは 非効率な電球を使っている事ではありません。使っているかも知れませんけどね。無駄とは 誰も居ない部屋の照明を付けっぱなしにしたり 家に誰もいないのに空調を付けていることです。年間400億ドルが無駄に 誰のためにもなっていない電力に費やされており それは同時に 気候変動を助長しています。400億ドル — 億ですよ。毎年 アメリカ単独でです。私たちの石炭の消費の半分がこちらです。

 

9 行動科学を適用すれば私たちという資源を活用できる

ありがたいことに 世界でも優秀な物質学者たちが 石炭の代替品としてこのような サステイナブルな資源を研究しています。素晴らしいし 不可欠な事です。でも 未来のために最も考慮すべき 持続可能なエネルギー源はこのスライドにはありません。それはこの会場にいる皆さんであり 私なのです。新しい物質科学はいりません。単純に行動科学を適用すれば 私たちという資源を活用できます。今日から始められます。うまくいく事もわかっています。電気代も即座に節約できます。

 

10 電力会社は消費者が節約をすることで利益を上げるべき

始めない理由がありますか? 発電に関する規制は 多くの地域で トーマス・エジソンの時代以来大して変わっていません。電力会社は未だに消費者がエネルギーを浪費する事で 利益を得ていますが 消費者が節約をする事で利益を上げるべきなのです。

 

11 行動科学にも資金投入したからこそ効率のよいものが生まれた

この話は 家庭の電力消費だけのことではありません。プリウスを見てください。トヨタが物質科学にだけでなく 行動科学にも 資金投入したからこそ 効率のよいものが生まれたのです。このダッシュボードはリアルタイムで どれだけのエネルギーを節約しているか示し かつてのスピード狂たちの運転を 慎重なおばあちゃんのように変えました。

 

12 人々の節電のために電力会社と一緒に働いている

ここでハリエットの話に戻ります。初の家族旅行中に彼女と出会いました 彼女は私の娘に挨拶しに来て 娘の名前も同じくハリエットだと知って 喜んでいました。何をして生計を立てているのか尋ねられ 私は 人々の節電のために 電力会社と一緒に働いていると答えました。すると彼女は目を輝かせ始めました。

 

13 私の目標は皆にそのような疑問を持ってもらうこと

私を見て言うのです 「あなたは正に私がお話したい人です。夫と私は 2週間前に電力会社から 手紙を受け取とりました。私たちが近所の2倍も電気を使っているって書いてあるの」 (笑) 「それ以来2週間 私たちが考え 話し合い 議論し合ってきたことは 節電しなくては ということだったわ。手紙に書いてあった事は全てやったけれど もっと他にもできることがあるのは知っています。そうして今 専門家と出会えました。教えてください。節電のために何をしたら良いですか?」この疑問に答えられる専門家は沢山いるのです。私の目標は 皆に そのような疑問を持ってもらうことです。ありがとうございました(拍手)

 

最後に

「調査の結果、ご近所の家庭の○○%が××しています」これだけで行動が変わるほど、人間は社会的な動物。行動科学を適用すれば、私たちも資源となる

和訳してくださった Keiichi Kudo 氏、レビューしてくださった

 Norifumi Kasai 氏に感謝する

(2013年6月)。


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